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日本の暮らしに息づく季節のたよりを
うつくしい巻物で受け取る喜び
2010.12.24
あんなに暑かった夏が遠ざかり、気づけばコートに手ののびる季節となった。かといってただ寒がっているだけではもったいない。日本には、四季の変化を暮らしにとりいれて喜びを生み出す文化があるのだから。
日本で古くから用いられてきた季節のひとつの区切りとして、太陽の通り道にもとづく「二十四節気」と、それをさらに細かく区切った「七十二候」がある。人々は72の季節それぞれに「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」「桃始笑(ももはじめてさく)」「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」といった美しい名前をつけて、季節を味わってきた。
「くらしのこよみ」(無料)は、この七十二候を、美しいビジュアルと読み物で堪能できる、巻物仕立てのアプリ。巻物に描かれているのは、その季節の植物、野菜や魚、お祭りや風物詩、俳句と季語......。12カ月という大きなくくりよりもいっそう豊かに、季節を感じることができるはず。
使われているビジュアルがすばらしい。とくに巻頭は、写真や図版が七十二候の言葉と重なり、季節感がビビッドに伝わってくる。
巻物の内容は多岐にわたる。製作はうつくしいくらしかた研究所。研究所の理事は小澤實(俳人)、山口信博(折形デザイン研究所)吉岡幸雄(染織史家)。
毎回、旬の野菜や魚、風物詩などいくつかのコンテンツがひとつながりの巻物のなかで紹介されていく。今昔の図版が入り、説明も博物学的で興味深い。
- ● おすすめポイント
昔の考え方に基づいているけれど、いまの暮らしでも楽しめる内容なのが、このアプリの嬉しいところ。巻物は年間で72本(予定)、ほぼ5日ごとに新しい巻物に更新される。アプリを開くたび、つねに「いま」の季節と向き合う喜びがある。おすすめ!