ポストカードって、不思議なツールだと思う。なにせ小さなサイズだから、文字数はかぎられる。それに手紙と違ってオープンな形式だから、あまり深刻なことは書かれない。書かれることといったら、たいていは、季節のあいさつとか、旅先の様子とか他愛ない文面と、きれいな絵、あるいは写真。ポストカードは、そんな単純なもので成り立っている。けれどもシンプルなぶん、行間から想いがたちのぼる。季節のあいさつは「健やかにすごしていますか」という心配り。旅先からの葉書は「あなたのことをいまも思い出していますよ」。相手への想いがストレートに書かれていなくても、選ばれた絵柄と、短い文章から、気持ちが伝わる。
　メールに添付して送るポストカードアプリ「Cartorlina」（230円）が、この6月にバージョンアップされた。たくさんの美しい絵柄が使えるようになり、添える言葉は言語を問わず入力できるようになった。メッセージ欄は4行と、相変わらずシンプル。けれども、一葉の絵と言葉少なな世界だからこそ、言葉に置き換えられない大切な想いを届けられる。ポストカードというのは、そういうスペシャルなツールだと思う。