毎時ぴったりになると小窓から鳥が顔を出し、「かっこう」と鳴く、あの鳩時計をめっきり見掛けなくなった。鳩時計を懐かしいと思う人はどれだけいるのだろう？　かつては、子供の健やかな成長を願って親から子へ買ってあげたものだとか。昔は当たり前にどこの家にもあったけれど、今となってはレトロ感たっぷりなアナログ時計である。発祥はドイツの南西部にあるシュヴァルツヴァルト地方。「黒い森」と呼ばれていた地域で作られたとあって、その風貌は深い森がぴったりな雰囲気だ。ちなみに、日本では鳩時計と呼ばれてはいるが、実際はカッコウが鳴いているのをご存じだろうか？　なんとも不思議で謎めいた時計である。最近では、現代的にアレンジされた鳩時計をオシャレに楽しむ人もいるようだ。

普段、時計は自ら見ようとしなければ時間を知ることはできないが、鳩時計は勝手に時を知らせてくれる。それって、実はかなり便利だったりするのだ。アラームほど強制力もなく、鳥が勝手に鳴いて知らせてくれるのだから、これほど自然に聞き流せる時報はないだろう。「Cuckoo」は、iPhoneでも鳩時計の雰囲気が味わえるユニークなアプリ。時計の上には、つねに小鳥が顔半分だけ出ていて、毎時ちょうどになるとゆっくり飛び出して時の数だけ鳴く。最初はドキッとするのだけれど、慣れてくるとそれは心地よく聴こえてくる。一時間に一度だけ現れる鳥と遭遇できるのも、なんだかうれしかったりするのだ。