Paris 連載
今週のPARIS
新装開店したヴァンドーム広場のレポシ。
今、このブティックとジュエリーは見逃せない。
今週のPARIS
昨年末にLVMHグループとのパートナーシップ提携を発表したジュエラーのレポシ。このメゾン、創業はイタリアのトリノだが、1985年からヴァンドーム広場6番地からジュエリーを発信しているので、なんとなくフレンチ・ハイ・ジュエラーの一員のような印象がある。2007年からジュエリーをデザインしているのが、創業者の曽孫の美しきガイア。今ではどのジュエラーでも見つけられる関節にまたがるリングだが、これをハイジュエラー界にいち早くもたらしたのが彼女である。若い彼女の感性から生まれるジュエリーは、常にシンプルでコンテンポラリーそのもの。最近改装が終わったブティックは、そのジュエリーの宝石箱となるにふさわしい空間である。この新装開店と同時に、この新しい内装に呼応するようなラテラル、サスペンションといった斬新なジュエリーも発表された。
改装に際して設計を任されたのは建築家レム・コールハウスが率いるOMA。ニューヨークのプラダのブティックEpi Center や、昨年ミラノにオープンしたプラダ財団を手がけた、といったら、コールハウスの名前を知らなくても、ああ、と思うのでは? そして、ヴァンドーム広場やハイジュエリーといった言葉に結びつくようなクラシックな内装のブティックには程遠いことも想像できるだろう。3フロアからなるブティックを簡単に紹介しよう。広場に面した扉のサイズからも察せられるように、合計で90平米というとても小さなスペースである。"速い""ゆっくり""とてもゆっくり"という、ジュエリーを試してそして購入に至る3種のスピードをベースにした3フロアの構成という発想が面白い。
アクセスが地理的のみならず、精神的にも最も簡単な地上階。ここはストリートの延長という感じで、入るやいなや左右の壁のスピーディな動きに圧倒される。鏡、ゴールドの鏡、ジュエリー・ディスプレーという3面を持つ柱が動くと、ジュエリーがまるで壁面を走って行くような錯覚に陥るキネティックインスタレーションは要体感だ。2階は"ゆっくり"のギャラリーである。窓からはヴァンドーム広場が眺められるフロアで、レポシのジュエリーコレクションの全てを展示。鮮やかな色石や装飾には一切無縁のミニマルなジュエリーは、創業の1920年からメゾンが大切にしているクオリティとクリエイティビティを誇っている。地階のサロンは、さらにスピードが落ちる。ここは顧客が特別オーダーをしたり、時間をかけてジュエリーをじっくりと選べるという、時間の流れが実にゆったりとしている空間だ。3フロアを貫く階段も圧巻! ジュエリー界だけでなく、建築界でも多いに話題を呼んでいるブティックなので、ぜひ訪ねてみよう。
Repossi
6, place Vendôme
75001 Paris
Tel. 01 42 96 42 34
http://www.repossi.com/