道端ジェシカ、アヴェダのスピリットが宿る地を訪ねて。

Beauty 2017.02.08

モデルとしての活動だけでなく、ヘルシーでオーガニック感度の高いライフスタイルが注目される道端ジェシカさん。そんな彼女のアンテナが反応したのが、アヴェダの掲げるサスティナブルなものづくり。人にも、地球にもやさしい美しさのあり方とは? ミネアポリス郊外にある本社を訪ね、その真髄に迫ります。

■自然と共存する、クリーンエネルギーの製品づくり。

アヴェダが本社を構えるのは、豊かな自然が広がるミネソタ州ブレイン。総面積23.4ヘクタール(東京ドーム約5個分)もの敷地には、森や湖があり、野生生物生息地域にも指定されている。創設者のホースト・レッケルバッカー氏は、1960年代にトップヘアスタイリストとして国際的に活躍していたが、慢性的な疲労を癒すため訪れたヒマラヤでアーユルヴェーダに出合い、ヨギのスワミラマに師事。帰国後、アーユルヴェーダの教えをもとに、花と植物の生命力を活用するパーソナルケア製品の開発に取り組みはじめた。最初の製品「ピュリファイング クローブシャンプー」は、自身で育てたハーブから作ったアイテム。これを筆頭にヘアケア製品を開発し、1978年にこの地にアヴェダを設立した。

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「美、健康、地球環境」の三位一体を実現するため、ホースト氏は敷地の植林や生態系を保護する取り組みもスタート。現在、工場のエネルギーは100%風力発電でまかなわれ、太陽光を活用する自然照明装置を使用している。2008年には持続可能な新しいものづくりの発想を提唱する環境基準の国際認証機関Cradle to Cradle(ゆりかごからゆりかごへ)の企業認定を化粧品業界で初めて取得。

「アヴェダがオーガニックの原料を使用していることは知っていましたが、ここまで深く環境保全活動に取り組んでいるとは知りませんでした。いまでこそ、ナチュラルな成分や環境についてよく議論されるようになりましたが、ホースト氏は40年前にこのことについて考えていたんですね」と驚く道端さん。「こうしてグローバルに愛されるブランドになったのも、ホースト氏が大切にしていたオーガニックや地球に関しての考え方が時代の先端をいくもので、人類が求めるものだったからだと思います。それは私たちがこれからの時代にも大切にしていかなければならないことですよね」


本社併設のショップにて、日本では取り扱いのないメイクアップラインを体験中の道端さん。アーティスティックチームのトップメイクアップアーティスト、ジャネル・ギースン氏はコレクションのバックステージでも活躍している。

■独自の哲学に満ちた、アロマブレンドへのアプローチ。

道端さんがアヴェダに興味を持ったきっかけのひとつが、製品の心地よい香り。そんなわけで今回、本社ラボでアロマブレンド体験をすることに。アヴェダには専属の調香師が所属しているが、初代調香師は日本人の塩沢紘一氏が務めていた。彼の指導のもと研究を重ね、独創的なブレンドを行ってきたのが調香師のガイ・ヴィンセント氏だ。

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香りはすべて社内のラボで調合される。「ブレンドは鼻ではなく脳で感じるもの。アートであり、アヴェダの製品はこの香りが加わってこそ完成します。よい香りというだけでなく、身体への影響、機能を考えて、音楽の指揮者のようにブレンドを組み立てていきます」と語るヴィンセント氏。

「たとえばベーシックスキンケア『ボタニカル キネティクス』のフェイスクリームは、しっかりと保湿してくれるのが特徴ですが、それに合わせて“潤わせる香り”を求められました。通常、潤うクリームは重い香りであることが多いのですが、今回はユーザーの好みに合わせて、しっかりと潤わせながらも軽い香りを表現するため、さまざまなアロマのブレンドを行い、作り上げました」と開発秘話を披露するヴィンセント氏に、「このブレンドは私もお気に入り。ロールオンアロマなどでも楽しめるような製品が登場するといいな」と答える道端さん。香りについての楽しい会話はなかなか尽きない様子。

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香りや身体への作用は、植物が持つ何百もの芳香成分の複雑な組み合わせから生じるもの。「エッセンシャルオイルは独自のパワーに満ちています。ですので、私たちは “フレグランス”ではなく“アロマ”と呼んでいるのです」

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オーガニックのローズと、オーガニックではないローズのエッセンシャルオイルの香りを比べ、「まったく違いますね。オーガニックのものは香りが深く、さまざまな成分が含まれているのを感じます」と道端さん。

■原料が育つ環境そのものを支える活動。

製品原料に植物を使用するだけでなく、その植物が育つ環境を保護し、現地の人々とのコミュニケーションや持続的な栽培支援も行っているアヴェダ。たとえば、道端さんも愛用しているという「インヴァティ」シリーズに使われるターメリックは、オーガニック農法でハーブを育て、地球にやさしい成分抽出法を採用するインドのニサルガ社から調達されているが、同社で働く農夫たちの多くが住むウンバリ村は水不足と水質汚染に悩まされ、女性たちは1日6時間もかけて水を運んでいた。そこでアヴェダはこの村に水道管を新しく設置し、きれいな湧き水から水を引く支援を行い、家庭菜園を作るプロジェクトにも協力。いまでは村人たちの健康状態が大きく改善され、ハーブ栽培に集中できるようになっている。

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ボタニカル リサーチ エグゼクティブ ディレクター、シンディ・アンガーホファー博士と。シンディ氏自身も様々な地域に出かけ、実際に植物が育っている環境を見学し、その地域に住む人々とコミュニケーションをとる。

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ターメリックが配合されたベストセラーの「インヴァティ」シリーズは、頭皮と髪のエイジングケアに最適。左から、インヴァティ コンディショナー 195g ¥3,996、インヴァティ シャンプー 204g ¥3,564、インヴァティ スカルプ エッセンス<医薬部外品> 150ml ¥8,100

■現在だけでなく、未来の地球のためにも。

毎年4月をアヴェダは「アースデー月間」として、世界の環境保全活動サポートのための募金活動を行っている。中心となるのは限定販売のアースデーキャンドルで、これは売り上げの100%が寄付されるもの。前述のウンバリ村での水道管設置などの支援も、アースデー月間の活動でパートナーシップを組んでいるグローバル グリーングランツ ファンドを通じて行われた。

日本のアースデー月間で「キャンドルチャリティオークション」が行われた際に、自らがデザインしたキャンドルを出品したこともある道端さん。「持続させることは大変なことですが、だからこそ意味がありますね」と深く頷く。

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アースデー活動を中心となって行う、アース&コミュニティケア部門ディレクターのメリッサ・チェルミニアク氏と。手前のグリーンのボックスに使われているのは、アヴェダがネパールのコミュニティとのパートナーシップによって作り、ギフトボックスに取り入れている伝統工芸の「ロクタ紙」。彼らの生活の向上、伝統産業の保護、ネパールの豊かな自然を守ることにもつながっている。

現在、世界各地でミツバチの減少が問題になっていることを受け、3年前から養蜂も手がけているアヴェダ。このまま減り続けると近い将来、全滅も考えられ、作物の受粉を請け負うミツバチがいなくなる。それは、植物の減少、ひいては人類の食料難にもつながる危機だ。将来的に養蜂家となる人材を育てることを目的に、季節折々の花が咲く広大な敷地内で、現在はミネソタ大学の研究班とともに問題に取り組んでいる。

「単純に寄付をするのではなく、全世界のアヴェダ社員、カスタマー、関わる人すべてを巻き込んだこれらの活動は、ブランドを超えた、もはや文化ともいうべきものなのではないかと感じました」と道端さん。今回の旅は、時代のパイオニアとも言えるアヴェダの精神を肌で感じる貴重な体験となったようだ。

アヴェダのユニークな取り組みは他にもたくさん。続きはフォトギャラリーで!

社長のドミニク・コンセイユ氏と。アヴェダ創設者ホースト・レッケルバッカーに影響を与えたスワミラマ著作の自伝本が贈られた。

エントランスには、ホースト氏によるブランドのミッションが掲げられている。「社員として長く働いている方々が多いこと、そして自分の会社に誇りを持っていて、アヴェダを愛している人が多いことが本当に印象的」と道端さんも目を輝かせる。

食堂は一般にも開放されている。オーガニックや地産地消の食材にこだわり、サラダバーや日替わりのメニューがある。こんなヘルシーな食事がとれるのがうれしい。

本社敷地内にある社員用のオーガニック農園。一人ひと区画の畑が提供され、好きな植物や花をオーガニックで育てることができる。大人気で拡大を計画中。

社員が自由に使えるジムでは、だれでも参加できるヨガなどのプログラムも実施している。本社内にあってシャワー施設も完備され、手軽に毎日運動をすることができる。

野生生物生息指定地域になっている自然いっぱいの本社の周りには季節に合わせて様々な花が咲き、色々な動物も見られる。この時はなんと野生の七面鳥が出現!

養蜂に使われているミツバチの重箱式巣箱。1年前は1個だった巣箱が現在は3つに増え、2万5千匹の蜂が忙しく働いている。

ミネアポリス市内には1982年につくられたアヴェダのスタイリスト、スパスペシャリスト、メイクアップアーティストを育てる専門学校もある。

●問い合わせ先:
アヴェダ
tel:03-5251-3541(お客様相談室)
www.aveda.jp

photos:Chika Okazumi, Stephanie Colgan

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