パリ街歩き、おいしい寄り道。

アントワープへ日帰りで。

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7月に行ったロダン展で、最後に展示されていた作品
「バルザックの部屋着」の彫刻を見たときに、実は
”あ〜マルジェラ展にも行きたいな”と思っていた。
白衣とその格好良さから、そう思ったのだ。
アントワープのモード博物館で開催されている、
エルメス時代のマルジェラ展。8月27日まで、
という期限を気にしながら、機会を窺っていた。
1泊したいところだったけれど、今回は難しく、
日帰りで行くことにした。パリからは電車で2時間。
アントワープで電車を降りる人はそれほどいなくて、
駅を出た途端、耳慣れない言語を耳にしたら、すぐに
わくわくしてきた。これだけで気分転換になる。
まずは”フリットを食べよう”と、目当てのお店へ。
街の様子を見ながら歩いていると、こじんまりとした
美術館があった。どうもルーベンスの家らしい。
まだフリット屋さんのオープン時間前だったし、
入り口から見える中庭が気持ち良さそうで、
寄ることにした。ルーベンスの作品だけではなく
彼が収集していたもの、使っていた家具も多く
展示されていた。その中で最も目を奪われたのは、
長さの短いベッドと、その3分の1を占めてるように
見えた大きな枕。そしたら、解説がちゃんとあった。
この時代、消化と血行を促すのに良い、と考えられ
ほぼ座った状態で寝ることが一般的だったそう。
へぇ〜と思いながら隣室に移ると、アイロン部屋で、
美しい17世紀のリネンが掛けられていた。
美術品よりも、窓の色合いや階段の踊り場など、
生活空間に惹かれたなぁ。パリでは、19世紀末
から20世紀半ばの作品を今年は多く見ていたから、
17世紀の作品や調度品には、時の重みを感じた。
そうだよなぁ江戸時代初期だものね。
美術館を出て向かうはFrites Atelier。このお店は、
オランダにあった3ツ星レストランOud Sluis
(2013年末に閉店)のオーナーシェフで、いまは
オランダのカトザントとアントワープで新たな展開を
しているセルジオ・ヘルマンがメニューを監修する
グルメ・フリット屋さんなのだ。
シンプルなフリットももちろんあったのだけれど、
ともかくビーフシチューか、ピーナッツソースの
かかったものがどんどん出て行くのを見て、
シチューがけにした。マスタードシードがたくさん
かかって、飽きることなく完食。じゃがいも自体が
パリでふつうフリットに使われるものよりも、日本の
ものに近い気がした。

腹拵えもして、いよいよモード博物館へ。
行ってわかったことは、館内撮影禁止。入り口で
チケットを見せると、ロッカー用のコインを渡され
荷物全てを入れるよう指示される(電話も)。
お財布だけはOKと言われたけれど、厳戒だったなぁ。
なので写真はないのですが……数あるテーマをもとに、
メゾン・マルタン・マルジェラ時代に作ったものと、
その後エルメスのデザイナー就任時の作品とが
対比するよう隣り合わせで展示されていた。
とても見ごたえがあった。同じテーマで、異なる展開
をさせていることに、ものすごく興味をそそられた。

たっぷりと見た後は、電車の時間まで街歩きを。
まずは街の中心にある大聖堂へ。
ぱきっとした明るさのある、鮮やかな場所だった。
そのあとは、またモード博物館の方に戻り、さらに
南の地区へ。アントワープのレンタサイクルは、
赤と白で可愛らしい。広場に面した寛げそうなカフェ
に入ろうかと思ったけれど、その前に通ったレトロな
趣のワッフル屋さんが気になって仕方なかった。
結局そこでワッフルを食べることにした。
外はかりっと中はしっとりほわっとしていて、
このお店にして大正解!
美しい駅舎に別れを告げ、セルジオ・ヘルマンの
教会だった建物に作ったレストラン、The Janeを
訪れにまた来よう、と思いながら電車に乗った。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


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