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スノッブなモード誌「マスターマインド・マガジン」創刊

世の中、ブログやインスタが溢れているというのに、パリと東京を放浪しているせいか、なにか面白い情報をもっているのではないかと思われ、「メリメロ」(いわば「ごちゃまぜ」の意味)なブログを始めることに。

二月初めに極寒のパリから戻ってきた。滞在中最初に耳に入ったのは、仏版、米版、伊版「ヴォーグ」のフリーのモード編集者としてスター的存在の、マリ=アメリー・ソーヴェが、スノッブなファッション誌「マスターマインド・マガジン」を創刊するという噂だった。

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©Mastermind

バレンシアガ時代から、ニコラ・ジェスキエールのミューズというだけでなく、スタイリングの面でも彼と共に仕事をしてきたマリ=アメリーは、ニコラが2013年にルイ・ヴィトンのクリエイティヴ・ディレクターに就任すると、そのまま一緒にルイ・ヴィトンに移っている。

クリエーターとミューズ、なんだか素敵な関係だ。

彼女の周囲に集まった友人たちと創刊した「マスターマインド・マガジン」は、表紙をみるだけで心を奪われる。そこにはブルース・ウェーバー、スティーヴン・マイゼル、グザヴィエ・ドラン、といった名前が並んでいるだけなのに、そのひとりひとりが、研ぎ澄まされた感性の写真家や映像作家だし、なんだか眩しくなるような存在の人たちだから。

「従来の紙媒体のスタイルではなく、グローバルな方向性を模索しました」とマリ=アメリーはいっているし、誌面には、NYのグラマシー・パーク・ホテルやブエノスアイレスの建築の写真など、ボーダレスなミキシング・カルチャーの世界が広がっている。

誌名「マスターマインド」には、マリ=アメリーのイニシャルが隠されているし、どこまでもソフィスケートな雑誌といえる。

丁度メンズのコレクションの時期で、今回ハイダー・アッカーマンが手掛けたベルルッティの2017、18の秋冬メンズのコレクションをみたけど、エレガントなクラシシズムの中にミキシング・カルチャー感が漂っていて、パリに住んでいた頃から親しくしていたハイダーに、思わず「ブラボー!」と叫んでしまった。

メンズといっても、女性モデルも粋に着こなしていたし、ボーダレスはカルチャーだけではなく、ジェンダーレスに繋がるのかも?

村上香住子

フランス文学翻訳の後、1985年に渡仏。20年間、本誌をはじめとする女性誌の特派員として取材、執筆。フランスで『Et puis après』(Actes Sud刊)が、日本では『パリ・スタイル 大人のパリガイド』(リトルモア刊)が好評発売中。食べ歩きがなによりも好き!

Instagram: @kasumiko.murakami 、Twitter:@kasumiko_muraka

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