MUSIC DIARY 24/7

MUSIC DIARY 24/7/伊藤なつみ

最高に楽しかった yoshiokubo 2017 s/s collection (後編)

当日は15時半に会場入り。直前にランニングは42体になり、まさにリハをやってみないと曲の長さ加減もわからずドキドキ。ドラムの前にはYuumiさんの後輩ドラマーの喜納くんがローディーとして付き、私もモデルの進行具合(時間配分)を合図したり、フィナーレに移る前に音が切れないようにミキサーのスイッチを切り替えたり、幾つか役目を担当。もう一人、スタッフの森田さんも加わって、3人体制でYuumiさんの前に待機していました。

 

 

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*会場はラグビー場を背にして準備。奥には神宮球場が。

 

そしてリハ終了後、辻井さんから「長いランウェイ上を間延びさせないために、もっと短い間隔でモデルを出していきたいから、曲を短くしたい」と、まさかの変更が。さすがに直前での構成変更は危険なので、モデルの登場を当初の予定から40秒ほど遅らせてもらうことにしました。

 

 

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*"今回のコレクションを造り上げる上で重要となるキーワードは「Synthetic」、「合成、人工的」等を意味するこの単語を基にイメージされた要素を全体に散りばめている"とのこと。 生ドラムとサンプリングを使った電子パッドの音質と見事にマッチ。

 

 

 

しかし、コム・デ・ギャルソンほか、多くのショーを手がけている辻井さんだけあって、19時40分あたりから本番がスタートしたところ、全く不安がなかったですね。あと、音響担当の塚本洋さんとも細部まで打ち合わせできたので、生音とパッドの音のバランスなど、ここも安心でした。というか、ショーが始まってからは本当に楽しかった。音楽とモデルの動きを確認しつつも、PA横の全体を見渡せる位置に立つ辻井さんとモデルを送り出す位置にいるスタッフのやり取りをインカムから聞いているだけで面白く、「あっ、このモデルが歩くのが遅いんだな」といった会話や、DJもやる辻井さんだけに「Let's Go!」という言い方がカッコよくて、それも楽しんでいました。

 

 

 

 

 

 

一方フィナーレに関しては、Yuumiさんの位置からランウェイがよく見えることがわかったので、お任せにしたところ、まさに彼女の独壇場。神宮球場では5回の裏に花火が上がるとのことで、「いいタイミングで上がるといいね」と話していたら、花火もタイミングよく上がり、思わず喜納さんとガッツポーズしてしまったほど。私はもう安心して、満願の笑みを浮かべて叩いている彼女を途中から写真撮影していました。モデルさんたちも花火を見ながらランウェイを歩くし、最後に登場した久保さんはYuumiさんに向けて拍手するほど、大成功となりました。Yuumiさんは直前まで、今までにないくらい緊張しているとのことで、「胃から心臓が飛び出そう」などと話していたけれど、やはり本番に強いし、雨には降られず花火は上がるわ、で、持ってますね〜。終演後、モデルさんたちからも褒められていました。

 

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*Yuumiさん、花火が上がったのに気づき、本当に楽しそう!!!

 

 

撤収後には場所を移して打ち上げの会場へ。4台のカメラで撮影されていた映像が早くも編集されて上映会となり、その映像を繰り返し見ながら、「花火のタイミングまでバッチリで、これまでで最も見せ場の多いショー」ということで、宴会も盛り上がりました。本当に参加できて幸せでした。

 

 

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*フィナーレの最後に登場した、実はとってもお茶目な久保さん。

 

改めて動画を見ていると、服と会場の雰囲気、そして音楽がぴったりで、このイメージを早い段階で掴んでいたスタッフの皆さんは本当にすごいなと。そして、前日から16秒ごとにモデルを送り出すタイミングの練習をしていた辻井さん、結果、時間配分も見事で、花火もしっかり計算していて、素晴らしいですね。何より仕事しやすいチームで、本当に気持ちよく進められました。それもこれもボスである久保さんのお人柄ゆえだと思います。もちろんYuumiさんの音楽も演奏も、誰もが初めてのこととは思えない完成度の高さ。ショーを意識した曲作りに加え、ちょっとした音の選び方、加え方、リズムの変化も面白く、私はLOOP×RHYTHMということで、勝手に"LOOPHYHM"と命名させていただきました。

 

私は元々イベントや舞台が好きで、一方でプロデュースやマネージャー的なことも好きで時々やってきた身としては、今回のyoshiokubo 2017 s/s collectionmの音楽スタッフとして参加できて、みんな素敵で温かい人達ばかりで、すべて楽しかったです。ショーの後のハグは感動あってこそだし、人のつながりは本当に大切なので、この輪をもっと広げていきたいと思いました。そして、愛嬌のあるキャラクターのYuumiさんは、いろいろな才能やアイディアを持っているので、これをきっかけにソロ活動でも頑張ってほしいですね。それにしてもyoshiokuboのショーで、ソロデビュー!というのは凄いです。おめでとう!!!

伊藤なつみ

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
Twitter:@natsumiitoh

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