パリ、恋のエトセトラ

フランス人男性が求める「セクシー」の定義とは?

さて、いつもフランス人女性が好きな男性のタイプについてばかり書いている気がするので、今回は肝心のフランス人男性が好きな女性のタイプについて書いてみようと思います。

「いや、好きな女性のタイプってそんな一律化できるものじゃないでしょ? みんなそれぞれ好みはちがうものなんだから……」と思われた方はもちろん正しい。その通りです。でも日本にもやはり「多くの日本人男性が好む日本人女性像」ってありますよね? 小柄で、かわいくて、ひかえめだけど明るくて、いつも笑顔でニコニコ。肌がすべすで色白、やわらかくてまっすぐな黒髪。か弱くて、優しくて、上品。どんなに賢くても自分よりは下だと思える。女性が抱くコンプレックスの多くが、そこからハミだしてるんじゃないかと思うこと、またはハミだしているのだという現実を認識することから生まれるのだと思います。私個人としてはこれについて積極的に考えを巡らせてきたんですが、最近また唸りながら考えた挙句、まわりまわってその「多くの日本人男性が好む日本人女性像」に女性が近づこうと努力するのはやっぱり得策じゃないばかりか危険だと思うようになりました。でもまあ、それはまた別の話です。話を戻しましょう。

170523_paris_etc_01.jpg

「欧米」と、ひとくくりにしてしまうのは正確さを欠くのでよくないかもしれませんが、やはり全体的に欧米の男性は「セクシーな女性」に否応なく引かれるものだと思います。多くの男性が女性を「彼女はとてもセクシーだ」とストレートな褒め言葉として使います。とくにフランスなんてラテン系ですから、その傾向はより強くなるでしょう。

しかし、この「セクシー」の定義が問題です。

日本では「セクシーな女性」がモテる印象はあまりないように思います。「セクシーな女性」に対して、「気が強い」「派手」「グイグイくる」「口から火を吹く」「寝てる間に暗殺」みたいな、上記の「多くの日本人男性が好む日本人女性像」からかけ離れたイメージがあるからでしょう。ただしこの「セクシー」が「色っぽい」に変わると話はまったく変わり、日本人男性に好まれる女性像がイメージされます。これは「色っぽい」という言葉に変わるとその定義が「たおやか」「上品」「おっとり」というような、やまとなでしこ風味に変わってしまうからです。両者はちがうものとしてとらえられています。

ただ、「セクシー」も「色っぽい」も女性であること、フェミニンであることを強調することが男性にアピールしているという点では同じです。
要するに、日本人男性もフランス人男性も結局は「女っぽい女」が好きです。しかしその「女っぽいとはどういうことか」に乖離があるのです。

フランスはわりと、女は女っぽく、男は男っぽく、というような意識が強く、ヨーロッパでも南にいけばいくほど、フランス国内であればパリよりは南仏の方がこの傾向が強いのではと思います。あと、それほどレディファーストだとか「女性を守らないと!」というような騎士道精神にあふれた男性はいません。フランス人男性は、女性には圧倒的に自立していてほしいし、困っていたら女性に助けてもらうのも普通です。
そうすると、彼らのいう「女っぽさ」、つまり「セクシー」は、ひかえめであることよりもむしろ強いこと。主張ができて、賢くて、グイグイ前に出てきても別にオッケーということになります。だってそれが女というものなのです。
その前提として「肉体的に女っぽいライン」は必須です。日本でもフランスでも、中身に肉体のセクシーが備わっていなければ、男性のセクシーカウンターは数値ゼロからぴくりとも動かないものです。そして「肉体的に女っぽいライン」とは、華奢で折れそうな身体と困り眉、小学生のような服装ではありえません。彼らはもっと分かりやすく、濃厚でストレートで、守る必要のないものを求めています。

具体的には、メイクはぐっと引いた強いアイラインが好きという人が多いです。とがったピンピールはとてもセクシーという声も多く、足の美しさは重要。マニキュアはカーキなどモードな色には理解がないのは万国共通で「うーん何色でもいいけど……赤の方がいいな」という感じ。
最も日本と違うのは、「日に焼けた肌の方が好まれる」ということでしょうか。これは白人女性に限定されるかもしれませんが、小麦色の肌は「バカンスにいける」ことの象徴だとされ、リッチで余裕のある人生の証となるようです。アフリカに「女性は太っていた方が裕福な証だから美しい」とする国が多いのと同じですね。そういえばブリジット・マクロンもこんがり焼けた肌が目立ちます。大統領の方は全然焼けてないのに。

「セクシーな女性」とは、フィジカルな要素がまず先にあり、それに中身が伴っていれば「セクシーが及ぼす効能が長く続く」というのが私の見解です。だからやっぱり両方そろっていなければいけません。
こういったフランスの「セクシーな女性」、日本人男性とフランス人女性のカップルを見ていると、実は日本人男性と相性は悪くないんじゃないかと思ってるんですが、どうでしょう。

シロ

パリの片隅で美容ごとに没頭し、いろんな記事やコラムを書いたり書かなかったりしています。のめりこみやすい性格を生かし、どこに住んでもできる美容方法を探りつつ備忘録として「ミラクル美女とフランスの夜ワンダー」というブログを立ち上げました。

パリと日本を行き来する生活が続いていますが、インドアを極めているため玄関から玄関へ旅する人生です。

ARCHIVE

MONTHLY

清川あさみ、ベルナルドのクラフトマンシップに触れて。
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
2024年春夏バッグ&シューズ
連載-鎌倉ウィークエンダー

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories