マックスマーラが選んだ注目の女性アーティストとは？

昨年2月に開催された、第6回マックスマーラ アート・プライズ・フォー・ウィメンの受賞者である、エマ・ハートの個展が、この授賞式が行われたロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーにて、7月12日（水）より9月3日（日）まで開催された後、マックスマーラ本社のあるイタリア、レッジョ・エミリアにある、マックスマーラのオーナー、マラモッティ家のコレクションを常設している美術館、コレツィオーネ・マラモッティにて巡回展示予定。

©Thierry Bal / Courtesy Whitechapel Gallery

エマ・ハート：1974年生まれ。2004年にロンドン大学スレード校で美術修士を取得後、2013年キングストン大学で博士号を取得。現在はロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインの学部コースにて講師も務める。アーティストとしては、欧州を中心に個展やグループ展などを開催し、目覚ましい活躍を見せている。

エマ・ハートは、ロンドンを拠点に活動するアーティスト。受賞後、ハートは、昨年より半年間、イタリアのロンバルディア、ウンブリア、エミリア・ロマーニャ各州にて、自己の知見を深める滞在をする機会を獲得した。イタリアでの研修にあたり、彼女が提案したのは、彼女の人生と作品の中心的主題である「家族の力」にフォーカスすること。イタリア独自の家族の精神と伝統を、イタリア文化の中に存在するシステムと人間関係だけでなく、シンボル、情熱、オブジェを通して探求することによって、日常の家族生活の浮き沈みを表現しようとした。その滞在をもとに作り上げられた作品が、今回の個展で公開される。

イギリスを拠点とする女性で、今までに特定テーマの作品だけを集めた個展を開催したことのない、またはこの賞に類似する英国内のビジュアルアート賞を受賞したことのないアーティストを対象にした、このマックスマーラ アート・プライズ・フォー・ウィメン。審査員団長を務めたイウォナ・ブラズウィックOBEは、「エマ・ハートの作品は彼女の人生と創作が鍵となる私的な主題、『家族の力』に深く根ざしたものでした。家族精神療法であるミラノ派の”システミック・アプローチ”から、エレナ・ファレンテの小説、イタリアの伝統であるマヨリカ焼き陶器にいたるまで、ハートが基準とするアプローチの深さと幅は、驚くべきものです」と語り、マックスマーラ会長であるルイジ・マラモッティは、「イタリアの文化遺産と美学を体験する機会や、新しい作品を制作する時間と滞在先、そして自由をアーティストたちに提供するMMAPの活動を誇りに思っています。今回エマには、家族と共にイタリアでの時間を過ごしてもらい、私的・芸術的どちらの観点からも、彼女の人生における豊かな経験になったと信じてやみません」と述べた。この栄誉ある受賞について、エマ・ハートは「受賞を本当にうれしく思います。普段はなかなか確保するのが難しい、集中して作品を制作するための時間とスペースを与えていただけたことは、ロンドンから本当の意味で離れたことがなかった私にとって、６か月のイタリア滞在は人生の冒険でした」と話した。大きな実りとなったに違いないイタリア滞在を経て完成した作品は、いったいどのようなものだろう。大きな期待を一身に集めたエマ・ハートの作品、この夏から秋にかけてロンドンとレッジョ・エミリア付近に滞在する予定があるのなら、ぜひ足を運んでみたい。

And? ©Emma Hart / Courtesy of the Artist

I WANT WHAT YOU'VE GOT, EVEN WHEN I AM ASLEEP ©Emma Hart / Courtesy of the Artist

THUMBS UP THUMBS DOWN ©Emma Hart / Courtesy of the Artist