マイ・フェイバリット・ニューヨーク・ムービー #03 伊藤なつみ( 音楽ジャーナリスト) ニューヨークの街に育まれた音楽。
Culture 2016.08.19
いつの時代も映画人をインスパイアし、
数々の映画の舞台となった街、ニューヨーク。
各ジャンルで活躍する、映画とニューヨークを愛する人たちが、
ニューヨークを舞台にした映画の中から、自身のベスト3を推薦します。
ニューヨークは多くのミュージシャンたちを惹きつけてきた。
奇跡のようなメンバーが一堂に会した
シークレットライヴのドキュメンタリーに、
アートシーンとミュージックシーンが見事に交錯する伝記映画、
街の持つ緊迫感に呼応するかのような
ドラム演奏が効果的に使われたフィクション。
伊藤なつみさんがセレクトした、ニューヨークのエネルギーを感じさせる
さまざまなジャンルの音楽を、映像とともに堪能しよう。
『ブロック・パーティー』
ミシェル・ゴンドリーが監督したドキュメンタリー映画。ジェイ・Zをはじめ多くのミュージシャンを輩出したブルックリンのベッドフォード・スタイベサント地区の路上で2004年9月に行われたシークレットライヴの模様を収録。ローリン・ヒルがフージーズの再結成という形で出演し、カニエ・ウエスト、ザ・ルーツ、コモンなども登場。特に、エリカ・バドゥがアフロヘアのウィッグを取ったシーンに驚き、ジル・スコットとの共演には感動した。貴重なインタビューやオフショットも多様で、2006年公開当時も内容の濃さから学ぶことは多かったが、いま見直しても、世相は何も変わっていないことを痛感する。そして企画・製作したコメディアンのデイヴ・シャペルの才能に感服。
『フィガロジャポン』2016年9月号は待望のニューヨーク特集! 「ベスト・イン・ニューヨーク。」と題して、日本未上陸の最旬ファッションからグルメ、ブルックリンのクラフトシーンまで、この刺激的な街を最大限に楽しむためのトピックが満載! もちろん詳細で便利なマップ 付き。読めばすぐにでもニューヨークへ旅したくなる決定版!
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音楽通であるジュリアン・シュナーベル監督がニューヨークのアートシーンとミュージックシーンを、バスキアを主人公に交錯させた。音楽担当はジョン・ケイルで、サントラも人気だったように選曲もよく、映像と音楽が生み出す空間そのものがアートのようで、見ているだけで触発されるシーンが多い。キャストもデヴィッド・ボウイがアンディ・ウォーホルを演じたのをはじめ、デニス・ホッパー、ゲイリー・オールドマン、コートニー・ラヴ、ベニチオ・デル・トロなど豪華。その後、公開されたドキュメンタリー映画『バスキアのすべて』とセットで見ると、なお興味深くバスキアを知ることができる。
『フィガロジャポン』2016年9月号は待望のニューヨーク特集! 「ベスト・イン・ニューヨーク。」と題して、日本未上陸の最旬ファッションからグルメ、ブルックリンのクラフトシーンまで、この刺激的な街を最大限に楽しむためのトピックが満載! もちろん詳細で便利なマップ 付き。読めばすぐにでもニューヨークへ旅したくなる決定版!
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『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
ほぼワンカットで撮っているかのような長回しの撮影に、観る側の心拍数をコントロールするかのようなビート感で追従していく、アントニオ・サンチェスのドラムソロ。この即興演奏が、映画に流れる唯一のサウンドトラックだ。劇中劇となっていくメタ構造に、主人公が現実と妄想、幻覚に囚われていく非現実的な危うさも、ドラム演奏やニューヨークという街から醸し出される緊迫感にとても合う。あまりにカッコイイ映画で、見た時の衝撃はいまも忘れられない。ジャズの映画ではスパイク・リー監督の『モ’・ベター・ブルース』も候補にしていたが、個人的にも『バードマン』は何度も見直してしまう好きな映画のひとつだ。
『フィガロジャポン』2016年9月号は待望のニューヨーク特集! 「ベスト・イン・ニューヨーク。」と題して、日本未上陸の最旬ファッションからグルメ、ブルックリンのクラフトシーンまで、この刺激的な街を最大限に楽しむためのトピックが満載! もちろん詳細で便利なマップ 付き。読めばすぐにでもニューヨークへ旅したくなる決定版!
texte: NATSUMI ITOH