気分で選ぶ、私のおすすめ映画。♯01 松居大悟が選ぶ、笑いたいときに観る映画3本。

Culture 2017.01.20

映画監督、そして劇団代表や俳優として活躍している松居大悟さんには「笑いたいときに観たくなる映画」をセレクトいただきました。日本アニメからインド映画など幅広いジャンルから選ばれた3作品、思い切り笑ってしまうのに、最後は感動の涙があふれてくる作品たちをご紹介します。

思い切り笑って、でも泣ける。感情を解放する映画。

まず、頭を空っぽにして笑いたいと言えば、傑作揃いのクレヨンしんちゃん劇場版ですね。すべて最高でして、『オトナ帝国』と迷いましたが、笑えるという意味では『映画 クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃんをおすすめします。これはもう、子ども向けではなく完全に大人をターゲットにしたブラックな笑いを散りばめながら、終始とにかくゲラゲラ笑えます。しかも笑った果てに、なぜか涙が流れてしまうんですよね。本当のとーちゃんと出会った後に、ロボとーちゃんと過ごしてきた時間は間違いなく存在していて、どっちが本当のとーちゃんなんだっていう迷いを悲しくなくポップに昇華させるので幸せな気分になります。

そしてインド映画『きっと、うまくいく』。映画好きの方は知ってるかもしれません。3時間近くある大作なのですが、一秒も飽きず、それどころか体感時間3分ぐらいです。インド映画がすごいのは、15分に一度くらいは歌と踊りのミュージカルシーンが挿入されるんです。それが物語の延長のときもあれば無理やりのときもあって、すごく楽しくて! 映画の波に乗せられるんです。これは3人の大学生のどうしようもない日常と、その後の物語なのですが、難しくはないので、何も考えずにゲラゲラ笑えて、こちらも泣けます!気づいたら!

最後に、『リトル・ミス・サンシャイン』。これは映画に興味のない人から「何かおすすめな映画ある?」という雑な質問に対しても答えられる強度を持った大傑作なのですが、登場人物が全員とにかく愛おしい! そして不器用! ダメな家族が、ボロい車に乗って、デブな娘をミスコンに出場させるために遠出するロードムービーなのですが、ダメだからこその空回りがすごく笑えてしまうんです。そしてこちらも泣けてしまうという!

……つまり3作とも、めちゃくちゃ笑えるんですが、めちゃくちゃ泣けるんですよね。でもそれは、悲しい涙とかじゃなくて、笑いながら流れる心地のいい涙で、すっきりするんです。頭を空っぽにして笑うことによって、感情が解放されて、涙も流れやすくなるのかもしれません。まあでも、涙はいいんです!笑えるんだ!映画の笑いって簡単なようでいちばん難しいので、本当に憧れます。僕もいつかそんな作品が作れるようになりたい。寒い季節になってきているので、ぜひ面白い映画で感情を解き放って、暖まってください。

01.『映画 クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』

shin_robo_B_10-580.jpgshin_robo_B_01-580.jpg

野放図な幼児キャラでおなじみの野原しんのすけの父・ひろしが、突如万能のロボットに改造されてしまう。それは邪険に扱われる父親の復権を目論む、謎の組織による陰謀だった! 崩壊寸前の町と家族を守るため、ロボとーちゃんとしんのすけは立ち向かう。

170120-kureyonshinchan-200.jpg

●監督/高橋渉
●脚本/中島かずき

●2014年、日本映画
●DVD ¥4,104
●販売元/バンダイビジュアル
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2014

02.『きっと、うまくいく』

main-580.jpg

sub5-580.jpg

インドの名門大学で青春を謳歌していたランチョー(アーミル・カーン)が突然姿を消してから10年。彼の消息がつかめた友人たちは、その謎を解き明かすためにランチョー探しの旅に出る。青春ドラマ、ミュージカル、サスペンスが交錯するマサラムービーの傑作。

BIBF-8354-200.jpg

●監督/ラージクマール・ヒラニ
●字幕監修/いとう せいこう

●出演/アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R・マーダヴァン、シャルマン・ジョーシー
●DVD ¥4,536
●発売元・販売元/ハピネット
©Vidhu Vinod Chopra Production 2009.All rights reserved

03.『リトル・ミス・サンシャイン』

 

lms-BH1209_SD_S1-580.jpg

lms-BH1209_SD_S2-580.jpg

美少女コンテストで優勝することを夢見る少女とその家族が、黄色いワゴンに乗って、カリフォルニアのコンテスト会場まで珍道中を繰り広げるロードムービー。ヘロイン中毒の祖父や誰とも口をきかない兄など、問題だらけの家族が旅を通して再生していく。

lms-FSPBD1310_SB_J-200.jpg

●監督/ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
●脚本/マイケル・アーント
●出演/アビゲイル・ブレスリン、グレッグ・キニア、ポール・ダノ、アラン・アーキン、トニ・コレット、スティーヴ・カレル

●2006年、アメリカ映画
●ブルーレイ ¥2,057
●販売元/20世紀フォックス ホーム エンターテインメント ジャパン
©2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

松居大悟 Daigo Matsui
1985年、福岡県生まれ。劇団ゴジゲン主宰。2009年、NHK『ふたつのスピカ』で同局最年少ドラマ脚本デビュー。12年に『アフロ田中』で長編映画初監督。そのほか映画『ワンダフルワールドエンド』『私たちのハァハァ』など発表し、最新作『アズミ・ハルコは行方不明』が公開中。1月よりドラマ24『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』放送開始。

selection et texte:DAIGO MATSUI,texte:ERI ARIMOTO

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories