気分で選ぶ、私のおすすめ映画。#05 犬山紙子が選ぶ疲れたときに観たい映画3本。

Culture 2017.02.03

テレビや雑誌、ブログで大人気の犬山紙子さんに教えていただいたのは「疲れたとき」に観たい3作品。映画に支えられた過去、そして今、犬山さんがもっともおすすめする疲労回復映画とは。今週末、観てみませんか?

日々の疲れを癒してくれる、愛おしい主人公たち。

『銀河鉄道の夜』(アニメ版)。主人公のジョバンニのお母さんのために健気に働く姿は、私たちの日々を肯定してくれる力があります。社会に出て働くにしろ、家事・育児をするにしろ、それはどこか自分を犠牲にしたり、人のために何かをすること。すると「こんなにしているのになんでわかってもらえないんだろう」「ほかの人はもっともっと楽で幸せそうに見える」と葛藤を抱いてしまいそうになる。この作品は、そんな全ての大人の気持ちをすくい上げ、極上のクオリティ(細野晴臣の幻想的な音楽、ますむらひろしの描く愛おしい猫たち、杉井ギサブロー監督の丁寧な描写、そして宮沢賢治の耽美で愛に溢れた世界!)で癒してくれるのです。

『ロシュフォールの恋人たち』。お酒をあけて、それこそ踊ったり歌ったりしながら、この世界観に参加する気持ちで楽しみたい作品。なんてったって60年代の良いところが全て詰まっているミュージカルですから。カトリーヌ・ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアック扮する双子の美しい姉妹が、お花の帽子やミニワンピースなど、華やかでかわいい60年代ファッションに身を包み、ミシェル・ルグランのキラキラワクワクする曲をかわいい振り付けで歌い踊る姿を見るだけで、かわいいもの欲が満たされまくり。(カフェをやっている彼女たちのお母さんもミニワンピースをかわいく着こなしていて最高!)その上、ジャック・ドゥミ監督が街の家々をパステルカラーに塗り替えるほどにこだわった美しい港町ロシュフォール! 色彩でこれだけ楽しませてくれる映画は後にも先にもこの作品だけかもしれません。そんな世界観に浸っているといつの間にか未来が明るく見えてくるから不思議なものです。

『ミラクル・ニール!』。疲れていても笑わずにはいられないコメディの最高峰。それもそのはず、モンティ・パイソン×サイモン・ペッグ×ロビン・ウィリアムズという夢のタッグで生まれた映画です。内容は、ほんとバカバカしくって、しょうもない(そして鋭角のジョークも飛んでくる)。でも、そんなアホさに笑い転げているうちに「人生バカでなんぼよ」と思い妙に元気が出るんですよね。全知全能のパワーを持ったというのに、主人公がその力を全然使いこなせませんから。(全知全能の力なのに、まー、しょぼいことに使うんですよ)

疲れているときに必要なのは、休息、そして笑い。思いっきり笑うと体がいつの間にか緊張からほぐれて本当に元気になるから不思議なもの。深刻だろうが、不謹慎だろうがなんだろうが、笑い飛ばしたもの勝ちです! 
 

01.『銀河鉄道の夜』(アニメ版)

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©朝日新聞社/テレビ朝日/KADOKAWA/アスミック・エース

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©朝日新聞社/テレビ朝日/KADOKAWA/アスミック・エース

病気の母と暮らす、孤独な少年ジョバンニ。星祭りの夜、丘の上で空を見上げていると“銀河鉄道”が到着する。乗り込むとそこには親友カムパネルラがいた。ふたりは幻想的な銀河の旅を続ける。宮沢賢治の同名小説をますむらひろしが漫画化、それを原案にアニメ制作された。

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●監督/杉井ギサブロー
●脚本/別役実
●音楽/細野晴臣
●出演/田中真弓(ジョバンニ)、坂本千夏(カムパネルラ)ほか
●1985年、日本アニメ
●DVD ¥4,104
●発売元/アスミック・エース株式会社
●販売元/株式会社KADOKAWA
DVD発売中

02.『ロシュフォールの恋人たち』

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年に一度の祭りを2日後に控える南仏の海辺の町ロシュフォール。双子の姉妹ソランジュ(フランソワーズ・ドルレアック)とデルフィーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は、それぞれ音楽家、バレリーナを志し、運命の恋人との出会いを夢見ている。ふたりはパリ行きを決意するが……。

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●監督、脚本、作詞/ジャック・ドゥミ
●出演/カトリーヌ・ドヌーヴ、フランソワーズ・ドルレアック、ジーン・ケリーほか
●1966年、フランス・アメリカミュージカル
●DVD ¥5,076 DVD&Blu-ray好評発売中
 ●発売元、販売元/ハピネット
©Cin -Tamaris

03.『ミラクル・ニール!』

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エイリアンが滅亡を狙う地球の命運を託され、なんでも願いが叶うという特殊能力を授かった英国人教師ニール(サイモン・ペッグ)。しかしせっかくの能力もろくなことに使わず、大騒動が巻き起こる。モンティ・パイソンのメンバーが再結集して、エイリアンの声で参加する。

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●監督/テリー・ジョーンズ
●制作/ビル・ジョーンズ、ベン・ティムレット
●出演/サイモン・べッグ、ケイト・ベッキンセール、ロビン・ウィリアムズ、モンティ・パイソンほか
●2015年、イギリス・コメディ、SF
●DVD ¥4,212 DVD&Blu-ray好評発売中 
●発売元、販売元/ハピネット
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●特集INDEX
●映画監督・俳優の松居大悟が選ぶ、笑いたいときに観る映画。
●フォトグラファーシトウレイが選ぶ、おしゃれしたいときに観る映画。
●アーティストのとんだ林蘭が選ぶ、怖くてドキドキしたいときに観る映画。

●シンガーソングライター石崎ひゅーいが選ぶ、人生を見つめ直したいときに観る映画。

「フィガロジャポン」2017年3月号は映画特集! 詳細はこちら

犬山紙子 Kamiko Inuyama
イラストエッセイスト。『負け美女』でデビュー。近著には『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)がある。ほかにも日本テレビ系情報番組『スッキリ!!』でコメンテーターとして活躍中。1月に出産を経験。その経過や日常を赤裸々につづっているLINEブログも人気。

selection et texte:KAMIKO INUYAMA, texte:ERI ARIMOTO

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