芸術家たちの苦悩を描く、ドラマティックな映画。

Culture 2017.02.10

モデル出身のイケメン、ノア・サーベトラが演じるエゴン・シーレ、画家を主人公にした故アンジェイ・ワイダ監督の遺作……2017年も、アーティストものの映画が好調だ。

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アカデミー賞を賑わせた『リリーのすべて』など、2016年のアーティストものの好調は、17年も続く様子。クリムトの弟子であり友だったウィーン画家を描く『エゴン・シーレ 死と乙女』が満を持して登場! まさに描くために生まれてきたシーレは、20世紀初頭、エロスに関して不寛容な時代に純粋に、かつどん欲に己の芸術に挑み続ける。その死の予感とエロスを強烈に放つ作風を支えた女性たちの姿も鮮烈だが、モデル出身の主演ノア・サーベトラのイケメンぶりにも注目が集まりそう。

そして鬼籍に入ったポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダの遺作『残像』も主人公は画家。スターリンのポーランド侵攻が進む中、画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキが迫害に屈することなく、信念を貫く姿を描く。その他、ゴッホの人生を彼のタッチによる油絵アニメーションで表現する話題の『Loving Vincent』も今年こそ、その全貌を見せてくれる日がくるか⁉

文/久保玲子(映画ライター)

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『エゴン・シーレ 死と乙女』

20世紀初頭のオーストリア。幼い頃から天賦の才に恵まれながら、当時タブーだったエロスを描くことで茨の道を歩くことになる画家。モデル兼パートナー、ヴァリとの関係や代表作『死と乙女』誕生秘話にも迫る。

監督・共同脚本/ディーター・ベルナー
出演/ノア・サーべトラ、マレシ・リーグナー、ファレリエ・ペヒナー
2016年、オーストリア映画 109分
配給/アルバトロス・フィルム 
Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開中

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『残像』

彫刻家の妻とともにポーランド前衛芸術の地盤を築くが、時代の波に抗い、大学の職を追われる画家ストゥシェミンスキ。それでも信念を貫くことで、彼は全体主義に対するアーティスティックなシンボルへとなっていく。

監督・共同脚本/アンジェイ・ワイダ
出演/ボグスワフ・リンダ、ゾフィア・ヴィフラチュ
2016年、ポーランド映画 98分
配給/アルバトロス・フィルム
6月より、岩波ホールほか全国にて公開予定

*『フィガロジャポン』2017年3月号より抜粋

 

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