立田敦子のカンヌ映画祭レポート2017 #02 木村拓哉も登場! 今年は日本映画4作品が上映。

Culture 2017.05.22

 今年のカンヌ国際映画祭では、カンヌ・クラシック部門でリバイバル上映される大島渚監督の『愛のコリーダ』(1979年)以外に新作として4本の日本映画が上映されます。

 映画祭2日目の5月18日に、先陣をきって登場したのは、アウト・オブ・コンペティション部門(招待作)に選出されている三池崇史監督の『無限の住人』。沙村広明による同名漫画を映画化した作品です。妹を亡くして生きる意味を失ったにもかかわらず、不死身となってしまった百人斬りの伝説の侍、万次(木村拓哉)が、親の仇討ちに命を懸ける少女、凛(杉咲花)の用心棒として雇われたことで変わっていくというストーリー。外連味のある殺陣の演出やブラックユーモアが効いたセリフで、三池ワールド全開! カンヌでも常連の三池監督にはファンも多く、シーンごとに拍手喝采や笑いが起こるなど、公式上映は大ウケでした。

 また主演の木村拓哉は、ウォン・カーウァイ監督の『2046』(2004年)以来、13年ぶりにカンヌのメインシアター「リュミエール」に登場。まだ成人式も迎えていない10代の杉咲花は、初めての振袖姿でレッドカーペットを歩きました。先立って行われた公式の記者会見では、「木村拓哉というスターがいなければ、この映画を撮ろうとは思わなかった」と、三池監督が発言。スーパーアイドル木村拓哉との相性は、なかなか良かったようです!

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左から、三池崇史監督、赤い振袖姿の杉咲花。『無限の住人』は絶賛公開中。
© Kazuko Wakayama

 さて、今後もカンヌでは日本映画の上映が続きます。5月21日には「ある視点」部門で黒沢清監督の『散歩する侵略者』が上映。前川知大主催の劇団イキウメによる舞台の映画化で、謎の侵略者による地球の危機を黒沢監督らしい淡々とした描写で映像化したSFサスペンスです。この種の作品はカンヌでなかなか観ることがないので、評判が楽しみ。黒沢監督は『岸辺の旅』(15年)でも「ある視点」部門監督賞を受賞していますが、2作連続での受賞もあるかもしれません。キャストは、長谷川博巳、松田龍平、長澤まさみなど。長谷川、松田、両氏の登壇も予定されています。

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散歩する侵略者』(9月9日公開)より。©2017『散歩する侵略者』製作委員会

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5月21日には上映会が行われた。左から、長谷川博巳、松田龍平、黒沢清監督©Kazuko Wakayama

 5月23日には、コンペティション部門に河瀬直美監督の『光』が上映。第50回カンヌの「監督週間」で上映された『萌の朱雀』(97年)でカメラドール(新人監督賞)を受賞、第60回カンヌでは『殯の森』(07年)でグランプリを受賞するなど、10年ごとに大きな賞を受賞している河瀬監督ですが、第70回となった今年も何かしら受賞を期待できるのでしょうか。ちなみに第50回のカンヌでは、今村昌平監督の『うなぎ』がパルムドールを受賞しています。『光』は、視力を失いつつあるカメラマンと人生に迷う若い女性の交流を描いた人間ドラマ。主演の長瀬正敏とは、前作『あん』(16年)に続いてタッグを組んでいます。

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』(5月27日公開) より。
©2017 “RADIANCE” FILM PARTNERS/KINOSHITA、COMME DES CINEMAS、KUMIE

 新人監督の登竜門でもある「批評家週間」にも、日本映画『Oh Lucy!(オー・ルーシー!)』がセレクトされています。監督は新鋭の女性監督である平柳敦子、キャストは寺島しのぶ、ジョシュ・ハートネットと豪華な顔ぶれ。正式上映は5月22日なので、こちらの続報も追ってお伝えします!

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映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。
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