立田敦子のカンヌ映画祭レポート2019 #01 スター勢揃い! ゾンビ映画でカンヌ開幕!
Culture 2019.05.15
第72回を迎えたカンヌ国際映画祭が、開幕しました! お天気に恵まれた初日は、日中、審査員記者会見が行われ、夜はオープニングセレモニーとオープニング作品であるジム・ジャームッシュの『The Dead Don’t Die』(2020年春、日本公開予定)の上映です。
第72回カンヌ国際映画祭は、晴れやかな天候で幕を開けた。
カンヌはSNS漏洩対策に必死!
昨年からSNSでの漏洩対策として、プレススクリーニングをソワレ(公式上映)より前には実施しない、という奇策に出たカンヌ国際映画祭。ジャーナリストからは文句たらたらですが、2年目の今年もこのルールを適用。入場時に隣で並んでいたイタリア人ジャーナリストは、「どんどんスクリーニング環境が悪くなる。来年はもっと悪くなるよ、保証する! 」と開き直ってジョークを飛ばしていました。
ということで、公式上映がメイン会場のグランド・テアトル・リュミエールで開催される裏で、隣のテアトル・ドビッシーでオープニングセレモニーを観て、その後ジム・ジャームッシュ最新作を鑑賞。今年は、このセレモニーのライブインシアターをフランス全国で開催したとのこと。そのせいか演出もフランス寄り。
ジム・ジャームッシュ(左)と、ティルダ・スウィントン、アダム・ドライバー、クロエ・セヴィニーなど豪華な役者陣がオープニングセレモニーで登場。Photo : Tony Barson/FilmMagic ©Getty Images
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フランスの人気コメディアンが司会に。
司会は、コメディアンで俳優のエドゥアール・ベア。日本ではそれほど有名ではありませんが、『モリエール 恋こそ喜劇』(2010年)、『チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢』(12年)などにも出演していて、フランス映画ファンなら顔は観たことがあるかもしれません。
その彼が、アコーディオン奏者や自らピアノの弾き語りをしながら、司会を進めていくのですが、すべてフランス語で会場での同時通訳はナシ。9人の審査員団は、壇上でイヤホンをしていたので恐らく通訳を聞いていたのだと思いますが、客席の中央に陣取ったジム・ジャームッシュ御一行様が、いじられても反応が薄かったところをみると、彼らはイヤホンの支給はなかったよう。しかしながら、メインのGTRでもプレススクリーニング会場でも、フランス人は大ウケしていました。
ジム・ジャームッシュ最新作はゾンビ映画。
さて、オープニング作品の『The Dead Don’t Die』。ジム・ジャームッシュ初のゾンビ映画ということで期待されていましたが、彼はヴァンパイア映画も撮っているし、ジャンル映画傾倒のジム・ジャームッシュの守備範囲ではありますね。
物語の舞台は、センタービルという田舎町。小さな警察署の3人の警官(ビル・マーレイ、アダム・ドライバー、クロエ・セヴィニー)が、墓場から蘇ってきたゾンビによるパニックに右往左往しながら対処するコメディです。
左から、警官役のビル・マーレイ、クロエ・セヴィニー、アダム・ドライバー。
謎のカギを握るキーパーソンとして、ティルダ・スウィントンが登場。また、トム・ウェイツ、イギー・ポップ、スティーブ・ブシェーミ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ダニー・グローバーなど、個性派も“彼ららしい”役柄で登場します。
キーパーソンとして登場する、ティルダ・スウィントン。
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映画の隠し味はセレーナ・ゴメス!?
また、音楽業界とも深い繋がりがあるジム・ジャームッシュだけに、トム・ウェイツ、イギー・ポップ、RAZといういつものお友達だけじゃなく、たまたま立ち寄った若者たちとして、セレーナ・ゴメスやヴァネッサ・ハジェンズの彼のオースティン・バトラーなど、ミュージシャンが多くキャスティングされています。
セレーナ・ゴメスの登場シーンは、まさに“衝撃的”。ハーモニー・コリンの『スプリング・ブレイカーズ』(13年)でもいい味を出していましたが、このヒップスター・ゾンビコメディの隠し味はセレーナかも!?
オープニングセレモニー時のセレーナ・ゴメス。トップス、スカート、ベルト/以上ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン クライアントサービス)© Louis Vuitton
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。
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