『ネオン・デーモン』監督が語る、女性の美への執着。

インタビュー

「フィガロジャポン」2017年3月号は映画特集。この特集では、エル・ファニング主演の話題作『ネオン・デーモン』を徹底解剖! 執筆を手がけた立田敦子さんによるこちらの監督インタビューでは、さらに深く、作品に込めた監督自身の想いに迫ります。

映画『ネオン・デーモン』、ニコラス・ウィンディング・レフン監督のダークロマンティック。

ライアン・ゴスリング主演のノワールなラブストーリー『ドライブ』(2011年)でブレイクしたニコラス・ウィンディング・レフン。デンマーク生まれ、ニューヨーク育ちの気鋭監督は、スタイリッシュな映像で定評があり、グッチなどファッション・ブランドとのコラボレーションでも知られている。新作はそんなファッション界で成功を夢見る若いモデルを主人公としたサイコ・ホラーだ。ダークでロマンティックな作風は、やみつきになること間違いなし!

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——『ネオン・デーモン』のメインテーマは、美に対するオブセッションですが、このアイデアはどこから来たのですか?

ニコラス・ウィンディング・レフン監督(以下、R):「僕は、つねに美に魅了されているんだ。映画を監督するということは、美を繰り返し捉えようとする作業なのかもしれないね。特に、僕は誇張されたリアリティや人工的なリアリティに興味がある。でも、本格的に映画の題材として考え始めたのは、ファッションブランドのキャンペーンの仕事をしたことがきっかけだね」

——グッチやH&Mなどですね。そういうブランドとの仕事を通じて、新たに発見したことはありますか?

R:「女性たちが、美を創造しようとするときのパワー。その狂気がとても興味深かったよ。男性でも美しいものは好きで、美しくありたいと思うものだ。でも、女性のそれとは質も熱量もまったく違うんだ。女性のその狂気とも呼べる熱意は、とても複雑なものなんだ」

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——美容整形に走るのは女性が圧倒的に多い。この映画では、美容整形で美貌を手にいれたトップモデルよりも、エル・ファニング演じる自然体のジェシーの方が、圧倒的に人を魅了してしまう。美には、力があるけれど、造形的な美に勝る何かもある。この映画は、そうした美に対する深い考察が興味深かったですね。

R:「一般的にというか、道徳的にというか、外見の美しさに囚われるのは浅はかだと人はいう。内なる美しさこそが大切だと。一理あるけれど、現実は理想とは違い、外見の美しさが大きな力をもっているんだ。特に、SNS時代においては、我々がどう感じるかよりも、目で見えるものに対する価値観が高まる傾向があると思うよ。インスタグラムとかに上がる画像には命はなく、でもそこに若い世代は夢中になる。なぜなら、そこは否定されない世界だからね」

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>>“ネオン”に込められた意味とは。

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“ネオン”に込められた意味とは。

——タイトルにも使用されている“ネオン”は、あなたにとってどういう意味があるのですか?

R:「ネオンは、個人的にとても好きなんだ。エイリアンとか異国的な力を感じる。未来的でありながら、手で触れられるアナログ的なものにも見えなくもない。つまり、僕にとってネオンは、ふたつの狭間で捉えられているものの象徴なんだ。現実と虚構。タイトルの“ネオン・デーモン“とは、まさにファッション界という現実と虚構の狭間で生きているヒロインそのものなんだ」

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——『ドライブ』、『オンリー・ゴッド』など、これまであなたは原色を好んで使用してきました。この作品では赤と青が特に際立っています。赤と青とは、動脈と静脈を象徴する色ですよね。

R:「僕は色覚障がいがあって原色のようなはっきりした色でないと認識できなんだ。色の分析に関しては、僕の専門じゃないし、その解釈については評論家に任せるよ」

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——前作『オンリー・ゴッド』はタイを舞台に撮影されました。米国のみならず、アジアにも興味を持たれているようですね。日本のポップカルチャーにも興味があるとか?

「僕はデンマーク人だけど、ニューヨークで育った。だから、パスポートはデンマークだけど、心はニューヨーカーなんだ。それも僕のアイデンティのひとつで、つねにストレンジャーという存在でいることが楽しい。異国の文化に興味があるし、楽しめるんだ。日本のサブカルチャーはとても面白い。多様さがあるし、フェティシズムを受け入れる懐の深さもあるしね。デンマークは一見、リベラルに見えるけれど、一方でとても管理された社会なんだ。だから、日本のまた違ったリベラルさはとても興味深いよ」

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【ストーリー】
モデルとして成功することを夢みてジョージアからロサンゼルスに出てきた16歳のジェシー。その自然体の美しさで瞬く間に気難しい写真家や一流デザイナーのお気に入りとなるが、落ち目のモデル、サラや整形で美貌を手に入れたジジらの嫉妬を買うようになり……。

 

『ネオン・デーモン』
●監督・脚本/ニコラス・ウィンディング・レフン
●出演/エル・ファニング、ジェナ・マローン、アビー・リー、キアヌ・リーヴス
●2016年、デンマーク・フランス・スウェーデン映画
●118分
●配給/ギャガ
●TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開中
http://gaga.ne.jp/neondemon/

interview et texte : ATSUKO TATSUTA
©2016, Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch., Everett Collection/AFLO

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