少女たちの美しき反抗を描いた映画『裸足の季節』。
来日した監督と姉妹役のキャストにインタビュー!

インタビュー

フィガロジャポン6月号「シネマの中の、力強い女たち。」でも紹介した映画『裸足の季節』。カンヌ国際映画祭、ゴールデン・グローブ賞など40近くの賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた本作が、日本でも待望の公開となった。トルコの小さな村で、古い慣習と封建的な思想のもと一切の外出を禁じられ、「カゴの中の鳥」となってしまった5人姉妹の物語。この作品を見れば、彼女たちが運命を掴み取ろうと奮闘する姿に勇気づけられ、みずみずしい映像美に魅了されることだろう。日本での公開を記念して、監督のデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン、長女ソナイ役のイライダ・アクドアン、3女エジェ役のエリット・イシジャン、4女ヌル役のドア・ドゥウシル、そして5女ラーレ役のギュネシ・シェンソイが来日。作品にまつわる話を伺った。

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― 本作で、少女が意思なくお見合い結婚をさせられるトルコの現状を知り、驚きました。このような慣習は田舎だけでなく、都市部でも見られることなのですか?

デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督(以下、デニズ):「ええ。トルコはとても多面的な社会です。早い段階で女性の参政権が認められた一方で、いまも児童婚の風習が残っているなどの問題もあります。田舎に限らず、アンカラやイスタンブールなどの都市でも保守的な考え方は見られますし、花嫁が新婚初夜に処女検査をされるというシーンは、実際に私がアンカラの国立病院の医師から聞いた話です。ひとつの家族の中でも、古い考えの人とモダンな人が同居していたりもしますね」

ドア・ドゥウシル(以下、ドア):「私は15歳なのですが、この夏にお見合い結婚する同級生がいます。学校の成績が悪いので、親が『勉強しても意味がない』と結婚を決めたそうです」

ギュネシ・シェンソイ(以下、ギュネシ):「私の知り合いにはそういう人はいないけれど、SNSやニュースで話は聞きますね」

160613_hadashimovie_03.jpgYEBISU GARDEN CINEMAでの舞台挨拶。左から、イライダ・アクドアン、ギュネシ・シェンソイ、デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督、エリット・イシジャン。

― 映画にはそんな文化への批判が込められる一方で、トルコの料理や結婚式など、伝統的でとても心惹かれるシーンもありました。

デニズ:「もちろん、批判の意味だけで撮ったわけではありません。トルコのことをとても愛しているからこそ、自分たちの国について考え、より良くしていきたいという気持ちなんです。2013年にイスタンブールのゲジ公園事件で起きた反政府デモ。あの時に若者たちが見せてくれた勇気にも、同じ想いが込められていると思います」

エリット・イシジャン(以下、エリット):「外国からのいろいろな物事を吸収しているけれど、私も生まれ育ったトルコが大好き。結婚式でダンスをするのも、トルコの自然も、料理も、イスタンブールの街も、ボスポラス海峡も......。でもミニスカート姿の女性や、夜遅くにひとりでいる女性を見ると不安になります。そういう心配をしなくてはならないのは悲しいですね」

― ドアとギュネシのふたりは、これが初めての出演作だったそうですね。これからも演じることを続けていきたいですか?

ドア:「はい、今後の道を開いてくれる作品に出合えて、とても良かったです。これからも演技の仕事は続けていきたいと思っています」

ギュネシ:「初めての作品でこんな成功に恵まれて、とてもラッキーでした。私も俳優を続けていきたいです」

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― レッドカーペットや舞台挨拶などでは、シャネルが衣装サポートをしていますね。ガブリエル シャネルも、女性の価値観を変える革命を起こした人でした。

デニズ:「力強い女性を描いたという点が、シャネルが私たちをサポートしてくれた理由だと思います。実はトルコではずいぶん厳しい反発も受けていますし、カンヌに出品した時は、ある男性の監督に『女性は自分よりも下にいるべき存在でなければならない』というような攻撃的なことを言われたりもしました。そんな時にシャネルを着ることで、美しい甲冑を着ているような感覚になります。シャネルのデザインにはセダクションとも言うべき、人々を惹きつける力があります。身に纏うことでわが身を守り、美しく対抗していく自信がつくのです」

― 日本についてのイメージはいかがですか?

エリット:「仕事が終わったらいろいろなところに出かけたいです。授業で『原爆の子の像』のモデル、佐々木禎子さんのことを学び、折り紙を習ったことがあるので、折り紙を買いに行きたいと思います。日本文化の細やかなところが好き。松尾芭蕉の俳句や、北斎の『富嶽三十六景』、宮崎駿監督の作品も!」

デニズ:「日本は映画文化の水準が高い国ですよね。河瀬直美監督、溝口健二監督など尊敬する監督もいますし、川端康成の小説も好きです。来日して、いろんな人と出会うことができたのも良かったです。作品を見た方からお手紙をいただいて、『自分の経験に重ね合わせてとても感動した』ということが書いてあったのですが、私たちもそれを読んで抱き合って喜びました。お互いに理解しあえる、同じベクトルを感じています」

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シャネルの衣装を纏って撮影。左から、デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督、イライダ・アクドアン、ギュネシ・シェンソイ、エリット・イシジャン、ドア・ドゥウシル。インタビュー中も実の姉妹のように仲良くじゃれ合う姿を見せてくれた。

 

 

『裸足の季節』

監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
音楽:ウォーレン・エリス
出演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアン、ニハル・コルダシュ、アイベルク・ペキジャン
配給:ビターズ・エンド
© 2015 CG CINEMA - VISTAMAR Filmproduktion - UHLANDFILM- Bam Film - KINOLOGY

シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか上映中。
www.bitters.co.jp/hadashi
Facebook:https://www.facebook.com/hadashinokisetsu/
Twitter:@Hadashi_movie

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