編集KIMのシネマに片想い

ロングロングスパンの恋愛って、どう?

編集KIMのシネマに片想い

……こんにちは……編集KIMです……
なんと長い間「シネマに片想い」の記事をアップしていなかったことか……。
片想い、の気持ちが募りまくるくらい、映画を観る時間もない多忙な秋を過ごしていました。

ここから2017年1月20日発売号大ボリューム映画特集まで、めいっぱいシネマへの愛を綴るべくがんばります!

ロングスパンの人生を描くのがライフワークの映画監督リチャード・リンクレイターの新作『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』が2016年11月5日から公開されました。う~~む、おもしろい青春映画。笑える! アメリカ、80年代、大学野球部。ただし、これはロングスパンものではございません。でもリンクレイター=ロングスパン、それは映画好きには絶対的コードのようなものゆえ、紹介したい他の作品もあって、今回はこのテーマにしました。秋は「愛」をじっくり考える季節でもあるし。2017年はパートナーシップを考えるべき年だそうなので(KIMの隣席に座る占い担当エディターAYによる)。

リンクレイター監督作、愛のロングスパンムービーといえば「ビフォア」シリーズ。ウィーンでの出会い『ビフォア・サンライズ』、パリでの再会『ビフォア・サンセット』、ギリシャでのヴァカンス『ビフォア・ミッドナイト』の3本までが公開されています。おそらく次もありそう? なんて期待大。

ここに掲載する用に場面写真を選んでいると、甘い気分いっぱいの「サンライズ」時代は見つめ合うシーンが多く、「ミッドナイト」になると早口でまくしたてるジュリー・デルピー演じる女を困った顔して後からついていくイーサン・ホークをとらえたものが多かったりして、男女の関係って、世界基準で同じように経年変化するのだなあ、としみじみ感じます。デルピー&ホークの軽妙なセリフとそのマシンガン的やりとりのリズムもこのシリーズのウリ。偶然を愛おしむこと、そこから得られるささいなチャンスを自然に受け入れて関係を続けること、相手のマイナス部分へも慣れが生じ、許せて好きになってしまうこと、そして最後には男と女として見つめ合うこと……。男女が長く一緒にいる時に必要なのは、目を背けてしまったほうがいいかもしれないことは、杓子定規に善悪や好き嫌いを決定的に明らかにせずに、知らぬふりをすることもいいかも……セリフにセリフを重ねるシーンを見せられることで、観客がそんなふうに納得させられちゃうのがスゴイところです。ロングスパンで関係続けるなら、こんな感じ、なの?かもね、と、「ビフォア」シリーズを3本連続で観ながら秋の夜長を過ごしてはいかがでしょう。

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『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 <ディスタンス>』
●監督・共同脚本/リチャード・リンクレーター ●出演/ジュリー・デルピー、イーサン・ホーク ●1995年、アメリカ映画 ●DVD ¥1,543  発売・販売ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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ここからは主演のふたりが脚本にも参加。

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『ビフォア・サンセット』
●監督・共同脚本/リチャード・リンクレーター ●出演/ジュリー・デルピー、イーサン・ホーク ●2004年、アメリカ映画 ●DVD ¥1,543  発売・販売ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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『ビフォア・ミッドナイト』
●監督・共同脚本/リチャード・リンクレーター ●出演/ジュリー・デルピー、イーサン・ホーク ●2013年、アメリカ映画 ●Blu-ray¥2,571、DVD ¥1,543発売・販売ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

2013 Talagane LLC. All rights reserved.

 

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片想いはいつまでも片想いなのか?
いつも幸せでフツウでなくてはいけないのか?
「親友」である男女の間にホントに恋は生じないのか?
観ている間に、恋愛についてさまざまな揺らぎを味わわせてくれるのが『ワン・デイ 23年のラブストーリー』。いまや大人気女優アン・ハサウェイが、学生時代から中年女性までを演じています。彼女の片想いで始まる学生時代――マジメな女学生がイケイケの男子学生にひそやかに想いを寄せていて、その想いに気づきながらも、絶対的なパートナーにはしないテキトー男をジム・スタージェスが演じます。合意に基づくいつまでも「親友」な男女。毎年7月15日は必ず会う、というちょっとユニークなシチュエーションで映画は進んでいきます。本当はいちばん気が許せて、一緒に時間を過ごせて楽しくて安らぐ関係を、思い込みや偏見や見栄や誤解が邪魔してしまうコトがある。大きなまわり道をしながらも、心の奥底に眠っている感情はふたりの間でずっと息づいていて、低空飛行を続けながらも、「恋」の匂いがずっと漂い続けるところが、非常にロマンティックです。

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『ワン・デイ 23年のラブストーリー』
●監督/ロネ・シェルフィグ ●出演/アン・ハサウェイ、ジム・スタージェス ●2011年、アメリカ映画 ●DVD¥1,620、Blu-ray¥2,700 発売:アスミック・エース 販売:KADOKAWA

Ⓒ2013 Untitled Rick Howard Company LLC. All Rights Reserved.

 

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「泣ける映画、教えて下さい」と、ときに聞かれます。

その際に、説明するだけでいつも目に涙が溜まってくるのが分かる(流しませんけど!恥ずかしいから)のが香港映画『ラヴソング』です。男女の10年愛を描いています。香港の中国返還、それによって大陸から香港に人々がどっとやってくる。そんな同じ背景を持つ男女(レオン・ライとマギー・チャン)が出会い、愛し合い、そして別れて……というストーリーです。ちょっとした旅も困難であった時代の中国から解放されて、人々が自由と夢と富を求めて動き出した90年代半ば。当初期待した人生に進まず傷つき、社会の底辺をさまようふたりが、生活のために違う方向に向かって離れていく。仕方なく……。ヤクザにみそめられて、でも、その年上のヤクザ(エリック・ツァンが演じてます!)が意外にも心根の優しい男で惹かれてしまう。ヤクザものは自身がトラブルで追いつめられた時、マギー・チャン演じる愛する女に、彼女が愛する男(レオン・ライ)の元に帰れ、と口では言います。外にはザーザー雨が降っています。でも、身体が離せない。女も心の奥底では、別の男を愛していても、深い深い情愛を感じるヤクザ男から離れられない。割と遠景です、画面は。でも切ないくらい、感情が伝わってくるシーンです。「いちばん愛する人とでなくても、続けていくべき、選ぶべき人生があるのではないか」と考えさせられるシーンです。

人生の底からどうにか這い上がり、ふつうの日常を送るようになったふたりは、ラストで再会します。アジアではないまったく別の場所で。ふたりの約束の歌(テレサ・テンが効果的)が、引力のようにふたりを繋げて、互いの姿に気づきます。別れる時のあまりにもあふれる感情とは別に、再会は、とてもさりげない。

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『ラヴソング』KIMは、この映画を観た後に、テレサ・テンのアルバムを買いました。カラオケも練習しました。

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●監督/ピーター・チャン ●出演/レオン・ライ、マギー・チャン、エリック・ツァン ●1996年、香港映画 ●DVD ¥1,543 販売・発売:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

COMRADES, ALMOST A LOVE STORY Ⓒ1996 Golden Movies International Limited. Package Design  Ⓒ 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. Distributed by Warner Home Video. All Rights Reserved.

ロングスパンで続く愛を描いた映画は、良いものであればあるほど、ベタついた結末もドラマティックなエンディングもない、とKIMは感じます。どこかさっぱりとしたムードが漂っているような。主人公たちは結局「それしか選べなかった」という諦めみたいな。そして、そのことを決して後悔していない、みたいな。

 

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