編集KIMのシネマに片想い

2017年のアカデミー賞、作品がいいヒト、纏い方もいいヒト。

編集KIMのシネマに片想い

こんにちは、編集KIMです。

パリ大特集が組まれるこの時期、慌ただしくしていてなかなか映画も観られず、記事も書けず、でした。そんななか、2017年2月27日(日本時間、現地アメリカは26日)に行われた米国アカデミー賞の生中継をWOWOWの視聴ルームにて観ることに。編集サンタニも後から駆けつけ、当日の作品賞授賞ハプニングもリアルタイムで、ツイートしてくれていました。

それにしてもビックリでしたね、『ラ・ラ・ランド』→『ムーンライト』の作品賞。あの受賞作品・人名が書かれた封筒を厳重管理する会計事務所、以前何かの番組でフォーカスされていました。誇りをもってあの仕事をしていただろうに……この大ミスで、さらばオスカーの華やかな場!ですね……。

レッドカーペットから授賞式まで、人々の目を楽しませるドレスやタキシードの纏い方がいいヒト、そして、作品そのものが素晴らしいヒト、そしてスピーチがいいヒト……。

アカデミー賞には、さまざまな「心震わすシーン」があります! 今回の「シネマに片想い」では、そのあたりをミックスし、”KIMのパーソナル賞”名を冠して、お届けします。

素晴らしきワントーンコーデ+レッドリップ!女優も素晴らしい作品で賞。

ニコール・キッドマンとエマ・ストーン。このふたりは、ニコールが『ライオン 25年目のただいま』で助演女優賞ノミネート、エマが『ラ・ラ・ランド』で主演女優賞をゲットした、最注目の女優たちです。彼女たちのドレスアップの方向性が似ていたのでご紹介。ふたりとも、まあ、肌質の美しさはニコールのほうが上かもしれませんが、白い肌を生かし、全身は肌になじむようなワントーンになるようにゴールドのドレスを着ていました。ブロンドヘアというのも味方して、ほんとうに神々しいワントーン! そこに、真っ赤なリップだけがキリリと映えるようなメークをしていたのです。これは……日本人には決して真似できない、ハリウッドスターらしい着こなしだと思いました。『ライオン~』は未見ですが、『ラ・ラ・ランド』は(今度KIMブログでまたじっくり触れますが)エマが取るべくして取ったオスカーと言える内容でした。アカデミー賞の選考は俳優陣も多数投票に参加しているので、努力の女優、エマ・ストーンに軍配があがったのかもですね。ニコールですが、WOWOWの生中継コメンテーターのひとり大友啓史監督(神木隆之介主演『3月のライオン』)は、助演女優賞はニコールに上げたい、と言ってました。養子という習慣に遠い日本人の観客が観ても、互いがリスペクトしあう感情を、ニコールはとてもよく演じていたと思う、というようなコメントをなさってました。

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エマ・ストーンのドレスはジバンシィ。ボトムが幾重にもフリンジになっていてリーンなシルエットもかえってゴージャスな印象。ハンドメイドのオートクチュールのドレスで、11人の職人が1750時間かけて仕上げたもの。イヤリングはティファニー。そしてリップは、まさにストレートな赤です。ストロベリーブロンドのヘアスタイルがとてもクラシックなことも効果アリ。ペチャパイな感じが初々しさを表わしていて好印象でした。

170309_2.jpg© 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
Photo credit:  EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.

『ラ・ラ・ランド』(現在公開中)では、そうとう時間を割いてダンスを練習したに違いありません! 表情がくるくると変わりとてもスピーディで豊かでした。いきいきした、弾けるような魅力を放っていました。スピーチでは、「撮影中、たくさん笑わせてくれて、そして、ハードルを高めてくれたパートナー、ライアン・ゴズリング、ありがとう」と言ったところが印象的。かたや、ライアン・ゴズリングは、今年は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(5月13日公開)のケイシー・アフレック、『フェンス』(日本公開未定)のデンゼル・ワシントンにフォーカスされた主演男優賞だったため、賞レースでは注目されていませんでしたが、なんとおしゃれになったことか!!! グッチのタキシードに身を包み、黒いトリミングされたフリルのドレスシャツとは! 驚愕のおしゃれ出世です。

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realfinal_170309_07-harris,naomie-calvin-klein-by-appointment-ACADEMY-AWARDS-022617_ph_wireimage-global-6-mos.jpgニコール・キッドマンは、ジョルジオ アルマーニ プリヴェのオートクチュールドレスにオメガのジュエリー。そして唇をバーミリオンレッドで纏いました。素晴らしい白肌が映えるコーディネートです。美女はやることが違う。『ライオン 25年目のただいま』(4月7日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開)では、包容力のある養母を演じてます。ちなみに、この作品に出ている少年はハリウッドでの授賞レースに向けてのキャンペーン合戦(10億ぐらいのお金が動くとか!)の一端で、移民であることを(現政権へのあてつけ含め)訴えた広告ヴィジュアルに起用されたりと社会的な側面からも話題だった模様。アカデミー賞は、かなり社会的なことが反映されますしね。

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でも、ベストドレッサー賞はナオミ・ハリスです。

なんとまあ、モダンで知的な着こなしでしょ!と感心してしまったのが、作品賞と助演男優賞を受賞した3月末公開の『ムーンライト』の助演女優ノミネート、ナオミ・ハリス。褐色の肌に真っ白なススパンコールのリーンシルエットなドレスなのですが、トレーンも付いていてなんとも豪華かつシャープ。これは新たに就任したラフ・シモンズによるカルバン・クライン バイ アポイントメントのドレスです。シューズだけイエローというのも素敵。ナオミ・ハリスはこのクールビューティなドレス姿とはまったく逆の、麻薬中毒のシングルマザーを演じています。

real_finalfinal_170309_07-harris,naomie-calvin-klein-by-appointment-ACADEMY-AWARDS-022617_ph_wireimage-global-6-mos.jpgストラップレスで、ブラ部分とタイトスカート部分がセパレートしているように見えるデザイン、そのセパレートした部分から少しだけ肌がのぞくところもコントラストが効いていてとてもスマート。『ムーンライト』(3月31日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開)は、この授賞を受けて公開タイミングも早まりました。2017年3月号フィガロジャポンのP68-69の「必殺映画買い付け人」座談会でも『ムーンライト』について少し触れています。『ムーンライト』も未見(涙)ですが、観た後にレビュー書きます! 最初予告編を観た時、漂うボーイズラブのムード、独特な色調から生まれるニュアンスが見事に絡み合っていて、期待させる作品だと思わされました。

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170309_09 20151113_012346_Moonlight_D23_0771.jpgⒸ2016 A24 Distribution, LLC

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ほかにも素敵なドレス姿がい~っぱい!

賞はノミネートに留まったものの、WOWOWのスタジオデコメンテーターを務めていた映画評論家レベルの映画通俳優・斎藤工さんは主演女優賞に関して、「流れ的にはエマ・ストーンですが、『ラビング 愛という名のふたり』の女優ルース・ネッガだったらいいな、と……」というようなコメント。そのルース・ネッガは赤いドレスで、とても愛らしかったのです! 『ラビング~』はフィガロジャポン2017年4月号のP150映画レビューにて、衣装デザイナーの北村道子さんの原稿をいただき、大きく紹介しています。

170309_10 Ruth Negga - February 26th 2017 - Hollywood.jpgヴァレンティノの透け感のある繊細な素材を、大胆な真っ赤で表現したドレスに身を包むルース・ネッガ。ヘアバンドも同色で揃えていてキュート! 『ラビング 愛という名のふたり』(大ヒット上映中)では、白人男性と結婚し、立場を失っていく夫を支える明るくて献身的な妻を演じている。惜しくも賞は逃したものの、女性観客に訴えるこの作品、必見です!

170310_11main.jpgⒸ2016 Big Beach, LLC. ALL Rights Reserved.

もうひとりは、今回は授賞には直接的には絡んでいないですが、プレゼンターとして登場したダコタ・ジョンソン。グッチをロマンティックに纏いました。

final2_170309_12-GettyImages-645643982.jpgグッチの2017-2018年秋冬コレクションから。フロントにプリーツ、ウェストにボウやチューリップスリットなど、繊細にたくさんの小技が効いたディテールあしらいながら、シャンパンカラーのサテン地でシンプルにまとめたドレス姿。ファッション好きからは、このルックが人気ありそうです。

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感動のスピーチ賞!

オスカーの授賞場面で、スピーチは本当に楽しみ! 毎回80パーセント以上の確率で素晴らしい!のは、実は外国語映画賞だとKIMは思っています。今回はイランの映画『セールスマン』が授賞作品です。アスガー・ファルハディ監督の授賞は2度目。トランプ政権の指定国からの入国禁止令に基づき、会場に行くことをボイコットした、というびっくり事態です。「今日、皆さまと一緒にいられず残念です。アメリカへの移住者の入国を禁止する非人道的な法律によって、敬意を払われていない私の国と他の6ヶ国の人々に対する尊重から、私は欠席することにしました。世界を私たちと敵というカテゴリーに分けることは、恐怖やごまかしを生みだします。映画はカメラを通して国籍や宗教の固定概念を壊すことができます。これまで以上に共感が必要とされている今、映画は共感を生みだすことができるのです」という内容の文面を、在米の民間の女性(イラン国籍で初の宇宙飛行旅行者のアニューシャ・アンサリ氏)をあえて起用し、読んでもらっていました。

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ⒸMEMENTOFILMS PRODUCTION–ASGHAR FARHADI PRODUCTION–ARTE FRANCE CINEMA 2016

final_170309_12-GettyImages-salesman.jpg『セールスマン』(6月10日よりBunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開)は、イスラムの戒律が厳しい社会で、妻を襲った犯人を捜す夫と、事件を隠したい妻のすれ違う心情を追う物語。常に、現代社会への問いかけをスクリーンを通して訴えかけてくるファルハディ監督の新作、ぜひごらんください。


そして今回のベストスピーチは、疑いなく『Fences』(原題)のヴィオラ・デイヴィスです!!! 助演女優賞授賞! ここに誘うまでの、プレゼンターであり、昨年の助演男優賞授賞者マーク・ライアンスの言葉も美しかった。「敵は強いほうがいい。スポーツでも。女性のほうが憎しみを持たずに反対意見を言えるのだ、と、今回のノミネート作品を観て感じました」。――KIMは、この言葉が男性の口から出てきたことに、ものすごい衝撃と感動を覚えました。日々、女性が働いていくなかで、まさに感じていることだからです。そして、無理解と不寛容の劣等感から生まれる「壁」に常に囲まれている女性たちが、こんな言葉を男性が言ってくれるシーンを見て、少しでもリラックスした気持ちを感じてくれたら、と思いました。そしてベテラン女優ヴィオラ・デイヴィスの授賞の言葉です。「私たちは――アーティストとは、人生を生きることを祝う職業です。『Fences』は、人を描いた物語であり、許しを描いた作品です。私のキャプテン、デンゼル・ワシントンに感謝します。そして、どう愛し、どう負けるか、その負け方までも教えてくれた両親に感謝します。どう生きたらいいのかを教えてくれた家族に感謝します」……素晴らしくないですか??? どう負けるか、それを教えてくれた、なんて。斎藤工さんも、「映画のワンシーンを観ているようなスピーチだった」と感想を述べていました。

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170309_16.jpgブレスレットとリング、イヤリングはすべて日本のブランド、NIWAKA()の京ノ祭(KYO NO MATSURI)シリーズ。NIWAKAは、昨年上野の国立博物館にて素晴らしい催しを行い、日本の伝統の美学を世界に発信する役割を担ったジュエラーです。ご注目を!

このような素晴らしいスピーチがあった作品が、2017年3月現在、日本公開がまだ決まっていないだなんて……。映画ファンのみなさん、公開を祈りましょう!

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