編集KIMのシネマに片想い

フランス映画祭レポート② イザベル・ユペールという怪物。

編集KIMのシネマに片想い

こんにちは、編集KIMです。
もう「レポート」って表現しちゃだめですね~フランス映画祭終了して時間が経ちすぎてるのだからっ! スミマセン……
前回のタイトルでも示したとおり、今年の出品作はおもしろいものが多いです。特に、今年、マイベストに輝きそうな1本が選出されています。

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©2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

イザベル・ユペール主演の『エル ELLE』です。この映画は、なんと形容してよいか……スキャンダラスとか刺激的とか、そういう評価は多々読まれると思います。
が、KIMが感じたのは、ユペールが演じた女性像の感受性の奥深さ――底が見えないくらいの、奥深く、広い感受性に驚かされました。
この映画の内容そのものについては、サスペンス的な要素も強い作品なので、長々とは書けないのですが、短くシンプルに書くとすればレイプシーンから始まり、犯人探しと並行して、ひとりの女性の心の奥と、現在の彼女の生活が描かれていく、ということでしょう。
「あんな女性像キライ」「あそこまで挑戦するってスゴイ!」「やっぱりヴァーホーヴェンって変態だよね」……そんな感想も聞きます、実際に。
でも、私が感じたのは、ユペール演じるミシェルという主人公は、ユペールが演じることで、「リアル」と「物語」の領域を巧みに行き来しているがために、ベタついた感慨を観客に与えないのです。
一言でいえばクールってことなのか? そうかもしれませんが、単に「クール」と表現するのはいささか雑かもしれません。
警察を信じない、男性を心からは信用していない。ミシェルの心理を推測すると、いくつかのキーワードは見えてくるけれど、態度は極めてきっぱりしていても(そこがクールと表現されそうなとこですが)、断定的に他者をシャットアウトするような真似は絶対しない、という複雑なキャラクターです。それはユペールが演じることによって出た「役柄の奥行き」のように思えます。レイプという非常事態だけに観客の関心が行くのではなく、ミシェルの家族との関係(別れた夫含めて)、会社での立場と仕事の苦悩、女ともだちとの友情、など、「女の人生」を観察するように作品を観られるのはまさにフランス映画らしいフランス映画、と感じました。

事件の結末を追いかけるよりも、人生や生き方そのものに関心が行くように作られた作品。その作品に輝きと意義を与えたのは、怪物女優、イザベル・ユペールの実力ゆえ。公開は8月! ぜひ観てくださいね! そして、10月号(8月19日発売)には、立田敦子さんが書かれる女優と監督の対談もあります。お楽しみください。

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©2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

『エル ELLE』 
●監督/ポール・ヴァーホーヴェン ●出演/イザベル・ユペール、ロラン・ラフィット ●2016年、フランス映画 ●131分 ●配給/ギャガ ●8月25日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開

>>『愛を綴る女』

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日本でも人気のあるフランス人女優の筆頭といえばこの人、マリオン・コティヤール。ディオールのスポークスパーソンのひとりでもあり、ルックスもセンシュアルで可愛らしい! 実は、先に紹介した『エル ELLE』の主人公ミシェル役のオファーを受けていたそうです。断ったそうですが……マリオンのように、肉感的な女性が演じていたら、別の映画になってたと思います。

こちらのフランス映画祭出品作『愛を綴る女』。愛の理想を追いかけ、その高い理想ゆえに、自分が愛に恵まれない女なのだろうと思い込んでいたひとりの女(マリオン演じるガブリエル)が、実は気付かないうちに、長~い時間、強く、深く、忍ばれることもいとわない美しい愛に守られていた、という静かな映画です。この作品観ると、恋愛したくなります。男性を信じ、女性とは異なるつつしみ深いその愛情に身を任せたくなるような描写です。監督は女性で、もとは女優だったニコル・ガルシア。今回来日予定だったのですが、体調を崩されて叶いませんでした。

このブログがアップされるころ、スカイプでインタビューする予定です。こちらも、10月号にて久保玲子さんによるインタビュー記事が紹介されますので!

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© (2016) Les Productions du Trésor - Studiocanal - France 3 Cinéma - Lunanime - Pauline's Angel - My Unity Production

『愛を綴る女』
●監督・共同脚本/ニコール・ガルシア ●出演/マリオン・コティヤール、ルイ・ガレル、アレックス・ブレンデミュール ●2016年、フランス・ベルギー・カナダ映画 ●120分 ●配給/アルバトロス・フィルム ●10月7日より、新宿武蔵野館ほか全国にて公開

 

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