コーチ 表参道が、エルヴィス・プレスリー一色に!
Fashion 2017.02.27
毎シーズン、さまざまなアメリカンカルチャーを再解釈したコレクションを発表しているコーチ。今季取り上げたのは、キング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリー。コーチ 表参道では彼をモチーフにしたアイテムを一堂に集め、インスタレーションとともに展開している。
コーチ表参道はシーズナルにイベントが開催されるコンセプチュアルストア。
2階へと続く階段にはエルヴィスの代表的なポートレートがコラージュされている。
ところで、エルヴィス・プレスリーとはどんな人物だったのだろうか?
以下、キーワードをもとにひもときつつ、コーチのアイテムととも5つのキーワードに沿って見ていこう。
1.The King of Rock and Roll キング・オブ・ロックンロール
エルヴィスは、1935年カントリー・ミュージックが主流だったアメリカ・ミシシッピ州テュペロで生まれた。信仰心のあつい地域だったため、家族で毎週日曜日に教会へ通い、賛美歌やゴスペル音楽に触れる。1948年にはブルース発祥の地でゴスペルの中心でもあるメンフィスへ移住。けっして豊かではなかったため、黒人地区のそばに住むことも多かった。
ロックンロールとは、白人音楽のカントリー・ミュージックと黒人音楽のリズム&ブルースを融合させたもの。エルヴィスは前述のような出自もあって、その普及と発展に貢献し、「キング・オブ・ロックンロール」の称号が与えられたのだった。そして、1950年代白人中産階級の画一的で平凡な生活に反旗をひるがえそうとしていた若者たちに支持された。
「Dinkier」をはじめ、人気のバッグやポーチにロックンロールスピリットあふれるスタッズやメタルパーツがちりばめられている。
2.Elvis Craze エルヴィス・クレイズ
エルヴィスは超スリムなパンツをはき、腰を突き出したり回したりする派手なパフォーマンスで若者たちを熱狂させた。そのさまは、「エルヴィス・クレイズ」と呼ばれている。1955年5月13日フロリダ州ジャクソンビルで行われたコンサートでは、1万4000人の観衆がステージに押し寄せ、エルヴィスの衣装がずたずたに引き裂かれた。興奮してはいているパンティを脱いで投げつける女性たちもいたという。
熱狂的なファンが自分でカスタマイズしたかのような小物も充実。
3.Elvis Bashing エルヴィス・バッシング
若者の熱狂的な支持を集める一方で、エルヴィスは大人たちから激しいバッシングを受けていた。その理由は、セクシーなパフォーマンスが「不良」「みだらで下品で動物的」といったもの。しかし、その背景には人種差別意識もあった。
戦後間もない頃のアメリカでは、住まいや学校、教会、公共施設などが白人専用と有色人種専用に分かれているなど、公然と人種差別が行われていた。白人音楽と黒人音楽が融合したロックンロールを「黒人のような」歌い方・踊り方・服装で披露するエルヴィスに対し、「汚らわしい黒人文化に健全な白人の青少年をさらすな」というのが大方の本音だったのだ。
エルヴィスの顔が刻まれたアクセサリーやポートレートがコラージュされたスウェットシャツも。
4.Love Me Tender ラヴ・ミー・テンダー
歌手に加え映画スターも夢見ていたエルヴィスの初主演映画。1956年に公開され、主題歌も大ヒットした。
舞台は南北戦争時のテキサス。兄の元婚約者とは知らずに結婚し、戦死したはずの兄が帰郷してくるというストーリー。エルヴィスが演じた弟は最後には死を迎えてしまう。
キールックがディスプレイされたウィンドウには「Love Me Tender」のネオンサインが輝く。
5.Riley Keough ライリー・キーオ
モデルで女優のエルヴィスの孫ライリー・キーオは映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などに出演。コーチのショーやパーティに参加するなど、コーチのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター、スチュアート・ヴィヴァースと交友がある。母親はリサ・マリー・プレスリー。マイケル・ジャクソンや俳優ニコラス・ケイジと結婚していたことがある。
©コーチ
エルヴィス・プレスリーヒストリーを知って、コーチ表参道で、エルヴィス・ワールドをより楽しもう!!
●店舗情報
場所:コーチ 表参道
●問い合わせ先:
コーチ・カスタマーサービス・ジャパン
tel:0120-556-750(フリーダイヤル)
http://www.coach.com
参考文献:
前田絢子『エルヴィス、最後のアメリカン・ヒーロー』角川選書(2007)
マイケル・T・バートランド『エルヴィスが社会を動かした』青土社(2002)
『エルヴィス・プレスリー THE KING OF ROCK’N’ROLL』別冊太陽 平凡社(1999)
『[総特集]エルヴィス・プレスリー ロックンロール・ヒーロー伝説』KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社(2003)
photos:TORU HASUMI, texte:ITOI KURIYAMA