【WIDE PANTS】モードシックに着るなら、ジオメトリックが鍵。
スタイリストのスタイル塾
フィガロで活躍する人気スタイリストが着こなしのヒントを教えてくれる新連載「スタイリストのスタイル塾」。第1回の講師は、洗練されたミニマムスタイリングを得意とする田中雅美さんによる「ワイドパンツ」講座。今回はジオメトリックをテーマに、私服コーディネート、いますぐ買えるおすすめアイテム、インスパイア源などを、多角的に解説。前回の70s編と合わせてワイドパンツの着こなしをアップデートして!
Style Concept
「ジオメトリックこそ、ソリッド&プレイフルに!」
今シーズン、ワイドパンツに合わせるコートやニットなどの秋冬アイテムで、特に注目しているのがジオメトリックです。シンプルな着こなしやミニマムな装いに食傷気味だった昨今、私の"モード琴線"を揺さぶったのがマキシムだけどミニマム、そしてモードな幾何学柄のアイテムたちでした。私としては、そんなモードシックな"柄もの"を「主張させて着る」のではなく、できるだけシンプルに、ソリッドに「なじみよく着こなす」のが気分。ともすれば主役を張りそうな大胆なアイテムを、着る人の個性を引き立たせる名脇役としてコーディネートしてみてください。まさに、今回着用したジル・サンダーのニットのように、さらりとプレイフルに。より、ウエアラブルになったジオメトリックスタイルを実感していただけるはすです。そのようなジオメトリックの楽しみ方が半歩先行くおしゃれ、そんなシーズンの到来を感じます。
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Style Secret A, B, C
「柄で攻める、ディティールではずす。これが、ジオメトリックを制する黄金比」
今回、チョイスしたのは、いまを駆け抜けるイットブランド「ロエベ」のヘリンボーン柄のワイドパンツです。ファーストルックで登場した時、世界中のファッショニスタがウィッシュリストに加えたのではないでしょうか。モードシックなスタイルに仕上げるには、同じく"柄もの"のジオメトリックをトップにもってきて、ディテールに小技を効かせてみてください。モダンで軽やか、そしてアクティブな着こなしが完成します!
A:Layered
ニットとシャツを重ね着した秋冬らしいレイヤード。こだわりは、無造作に見えつつも計算されたシャツのカフの分量や袖口の適当なたくし上げ方。いますぐ、誰にでも真似できるちょっとした小技です。
B:Bag
ボストンバッグを抱えるように持つ。個性的な柄を着こなすうえで、抜け感を加味するためのテクニックとパフォーマンスです。
C:Pattern × Pattern
トラウザーズのヘリンボーン=「杉綾の織り柄」も、いわば柄。パターン × パターンでマッチングするなら、大胆に潔く! プレイフルな気分で"柄遊び"を楽しんで。
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Recommended Items
「大人仕上げを狙うなら、アーティなジオメトリックが正解!」
フィガロ読者が着るべき、大人のためのジオメトリック柄の条件は「芸術的」であることです。ロエベのパンツやヴァレンティノのニット、フェンディのバッグなどがまさにそれ。アイテム単体でもアートピースとして成立する「見た目の美しさ」に注目してみてください。また、直線的で流線的な柄や、不均一なバランス感で描かれた柄を、愛でるように自分の服として着こなすためには、多少のドレスアップやモード感は必要不可欠です。今回セレクトしたのはそれらを満たす、アート&モードフィーリングなアイテムたち。きっと、いつものスタイルを昇華してくれるはずです!
●問い合わせ先:
ヴァレンティノ インフォメーションデスク Tel. 03-6384-3512
www.valentino.com
ステディ スタディ(パコ・ラバンヌ) Tel. 03-5469-7110
www.pacorabanne.com
フェンディ ジャパン Tel. 03-3514-6187
www.fendi.com
ロエベジャパン カスタマーサービス Tel. 03-6215-6116
www.loewe.com
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Inspired by...
「コレクションと2人の画家から学ぶ、ジオメトリックの可能性」
●コレクションでは、ヴァレンティノのグラフィカルな格子のドレス、ポストモダンを連想させるフェンディの構築的な直線美、そして、ジル・サンダーの不均一なまとまりやロエベのアブストラクトな模様が印象的でした。ジオメトリックと一言でいっても、ワンシーズンでこれだけのバリエーションが登場しています。どれも洗練されていて、今のモードシーンを象徴するベストルックだと思います。
ジオメトリックとえば、2人のイギリス人画家は、はずせません。
●デイヴィッド・ホックニーは、光、自然、水など、ごく身近な生活の中にあふれる「芸術的な規則性」を、そのまま作品に投影しているところが面白いです。柔和なモチーフに宿るエッジーさ。そんなコントラストがファッション、とくにモードの感覚とリンクします。一方、●ブリジット・ライリーの作品は、もっと記号的で無機質。それでいながらカラーリングや曲線などは逆にソフトな印象。異次元や別次元の世界を彷彿とさせながらも、自然界の色と組み合わせる感性にとても惹かれます。
田中雅美/MASAMI TANAKA
1978年生まれ。ファッション誌を中心に、広告やカタログ、女優、タレントのスタイリングでも活躍。瞬発力を感じさせてくれるモードとエターナルな深みを与えてくれるクラシックが、ファッションにおいてのマイ・スタンダード。ハンサムな中にフェミニンさが垣間見えるスタイルを得意とし、エッジなトレンドと愛される名品の絶妙なミックスを日々のスタイリングテーマに掲げる。
photos:YOSHIYUKI NAGATOMO(MANNEQUIN), JOHN CHAN(OBJETS), sylisme:MASAMI TANAKA