TOKYO世界ごはん巡り。 麺マニア 森脇慶子の絶品アジア麺、TOKYO巡り。

Gourmet 2016.07.01

無類の麺好きフードライター森脇慶子が、気になる麺をリサーチ&トライ。個性豊かな絶品を探しに、東京を闊歩する! 『フィガロジャポン』本誌には掲載していない+αの麺情報もチェックして。

 麺といえば、やはりアジアである。中にはイタリアのパスタのような例外もあるものの、基本、麺は箸の国の食べ物だ。一口に麺とは言っても、その素材、形状、味わいは実にさまざま。自称麺マニアとしてはそれらを食べくらべてみるのも一興とばかりに、日頃あまり見かけないマニアックなアジア麺を中心に、フィガロ編集者M氏と東京を歩いてみることにした。

 まず訪れたのは、東新宿の山西亭(A)。麺の故郷、中国・山西省の郷土料理を出す店だけに、レパートリーは数知れず。現地では、麺の種類がなんと400種類以上もあるのだとか。イタリアのオレキエッテにも似た「猫耳麺」もそのひとつだ。山西省では家庭の味だそうで、トマトや卵などと炒める五目炒めは定番メニュー。つるんとなめらかな食感の中にもシコッとした歯ごたえがあり、つい後を引く旨さだ。

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中国・山西省の「猫耳麺」¥1,026。親指でクルリと押し伸ばして作る。要予約。

 さて、炒麺の後は汁麺と行こう。シオナダ〜(スッキリする)な麺を求めて新大久保界隈を徘徊。で、見つけたのがコサム冷麺専門店(B)。専門店と銘打つからには手打ち麺では・・・という予測は的中。サツマイモデンプンを使った細打ちの「水冷麺」は、注文の都度、ところてんのように生地を押し出す自家製。しかもスープに氷は入れず、それ自体を凍らせたシャーベット状で提供。これはかなり本格的だ。しなやかさと弾力に富む麺は、乾麺と一線を画すおいしさ。具もシンプルで、クリアな牛骨スープや麺の持ち味を損なうことなく楽しめる。

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「水冷麺」(つくば美豚炭火焼肉付き¥1,180、単品¥880)は麺で焼き肉を巻いて食べるのがソウル流。

 さて、翌日。まずは東京で唯一のチベット料理専門店タシデレ(C)にて「トゥクパ」を食す。チベットでトゥクパといえば麺全般を指すそうで、麺はうどんにそっくり。私が食べたのはいちばんスタンダードな鶏肉と野菜入りで、日本人向けに辛さや脂っこさを控えたマイルドな味付けになっている。テントゥクというすいとんのような麺は次回の課題だ。

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チベット式の手打ち「トゥクパ」¥1,000。野菜をふんだんに使ったヘルシー麺。


(A)
CHINA
山西亭/Sanseitei
 東新宿

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山西風味鶏など黒酢を使った料理も名物。山西省の郷土の味が10品余りも並ぶコースは飲み放題付き¥4,406~とお値打ちだ。

東京都新宿区大久保2-6-10 B1F
Tel. 03-3202-7808 
営)11時~14時30分L.O.、17時30分~23時L.O. 
休)日 
夜は予約したほうがいい 
予算:昼¥1,000~、夜¥2,000~

(B)
KOREA
コサム冷麺専門店/Kosamu Reimensenmonten 新大久保

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カフェのような店内で、冷麺だけでも気軽に楽しめるカジュアルさが魅力。ビビン冷麺もおすすめ。キムチ餃子など餃子類も。

東京都新宿区百人町1-1-26 第三サタケビル1F
Tel. 03-6233-7081
営)11時~23時L.O. 
無休
予算:¥2,000~

(C)
TIBET
タシデレ/Tashi Delek 曙橋

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シャプタ(豚肉と野菜の炒め物)など珍しいチベット料理が充実。関連するワークショップも開催。

東京都新宿区四谷坂町12-18 四谷坂町永谷マンション1F
Tel. 03-6457-7255 
営)11時~14時、17時~21時30分L.O.(月、火、木、金)
11時~21時30分L.O.(土、日)
休)水 
予算:昼¥1,000~、夜¥3,000~
www.facebook.com/tashidelektokyo

森脇慶子 Keiko Moriwaki
フードライター、ジャーナリスト。中学生のころから食へのこだわりが芽生え、初めて愛した麺はビーフン。〆のみならずメインとしても食し、麺をめがけてひとつのエリアを練り歩くことも。食べ方は、必ずスープから。

*『フィガロジャポン』2016年8月号より抜粋

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無類の麺好きフードライター森脇慶子が、気になる麺をリサーチ&トライ。個性豊かな絶品を探しに、東京を闊歩する! 『フィガロジャポン』本誌には掲載していない+αの麺情報もチェックして。

 すいとんで思い出したのが新橋にあるモンゴリアン・チャイニーズ バオ(D)の羊の「ちぎり麺」。否、どちらかといえば岩手県のひっつみ風か。やや肉厚のワンタンのようなフルフルとした食感に塩味のシンプルな羊の茹で汁スープが心に染みる旨さだ。

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羊を煮込んだ塩味「ちぎり麺」¥880。ヨーグルトを入れて、本場モンゴル風味に。

 オリジナルの担々麺まで平らげて弾みがつき、〆麺はアナンダ(E)の「カオソーイ」に決定。チェンマイ名物のカレーヌードルだ。レッドカレーにココナッツミルクを加えた甘辛味、さらに茹で麺に揚げ麺と2種類の麺が入るのが特徴。これを赤坂のエレガントなタイ料理店で味わい、大団円の麺づくし週末となった。

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カレー風味のタイ風カオソーイ¥1,296。揚げ麺はカリカリ、茹で麺はもっちり。

まだまだある! 注目のアジア麺。

 そして、タイ料理でもうひとつ。ディープな味を楽しめると評判の渋谷タイ料理食べる パッポンキッチン(F)も外せない。ここでは、「舟そば」(豚の血入り牛出汁米麺)やタイの豆腐よう入り「トマトスープ麺」といった他のタイ料理店ではお目にかかれない屋台の味が何と言ってもおすすめ。中でも、私のお気に入りは米麺入りの「イサーン式もつ煮込み」だ。臭みが気になるもつも、丁寧に仕込まれているのだろう、脂も程よく掃除され、臭みは皆無。コブミカンやレモングラスの香りが爽かな、トムヤムクンを思わせるやや酸味のあるスープは、思いのほかサッパリとして食べやすい。中毒性のあるおいしさだ。

 一方、辛さが苦手な方にはヴェトナム料理がおすすめ。松見坂に去年オープンしたスガハラ フォー(G)は、無化調の軽やかなヴェトナム料理とワインが人気の一軒だ。自慢のフォーもあっさりとしてシンプル。その分、鶏ガラでとるスープの透明感のある味わいを楽しめる。

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牛モモ肉のローストビーフやハーブをのせた、スガハラ フォーの「牛肉のフォー」¥1,296

 ところで、近頃人気上昇中の注目麺といえば"ラクサ"だろう。マレーシアやシンガポール、インドネシアなど東南アジアで食べられている麺で、日本でよく見られるのは、海老出汁にココナッツミルクベースのラクサ。淡路町の松記鶏飯(H)のほか、原宿では日本初のラクサ専門店、シンガポール ホリック ラクサ(I)もオープンしている。


(D)
MONGOLIA
モンゴリアン・チャイニーズ バオ/Mongolian Chinese Bao
 新橋

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羊の骨付き塩茹でに羊の包子などマトン尽くしのモンゴル料理。いずれも料理上手なバオ氏の手作り。家庭の素朴な味が魅力だ。

東京都港区新橋3-14-6 小林ビル1F 
Tel. 03-6435-6366 
営)17時~22時L.O.(月~金) 17時~21時L.O.(土)
休)日、祝 
予約したほうがいい
予算:¥3,000~
www.facebook.com/mongolbao

(E)
THAILAND
アナンダ/Ananda
 赤坂

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ペニンシュラ出身のシェフが腕をふるうタイ料理店。料理は、盛り付けもあでやか。じっくり味わうディナーにもおすすめ。

東京都港区赤坂3-12-3 赤坂丸山ビルB1F
Tel. 03-5545-5305 
営)11時30分~14時30分L.O.、17時30分~22時30分L.O.
休)日 
予約したほうがいい
予算:昼¥2,000~、夜¥4,000~
www.anandathai.com

(F)
THAILAND
タイ料理食べる パッポンキッチン/Pappon Kitchen
 渋谷

東京都渋谷区宇田川町41-26 パピエビル2F
Tel. 03-6427-0377
営)12時~売り切れまで、18時~23時30分(22時30分L.O.)
休)日
予算:昼¥1,000~、夜¥3,000~

(G)
VIETNAM
スガハラ フォー/Sugahara Pho
 駒場東大前

東京都目黒区大橋2-8-21 1F
Tel.03-6407-0562
営)17時30分~22時L.O.(火) 12時~14時30分 L.O.、17時30分~22時L.O.(水~日、祝) 
休)月、6/26~29
予約したほうがいい 
予算:昼¥1,000~、夜¥3,500~ ※カードは¥15,000~使用可

(H)
SINGAPORE
松記鶏飯(ソンキージーファン)/Song Kee Jee Fan
 淡路町

東京都千代田区神田司町2-15-1 パレヤソジマ 1F
Tel. 03-5577-6883
営)11時30分~13時30分L.O.、 18時~22時L.O.
休)日、祝 夜は予約したほうがいい
予算:昼¥1,000~、夜¥4,500~

(I)
SINGAPORE
シンガポール ホリック ラクサ/Singapore Holic Laksa
 原宿 

東京都渋谷区神宮前1-13-21
Tel. 03-6804-1833
営)11時~20時(火~金)10時~19時(土、日、祝)
休)月
予算¥1,000~

森脇慶子 Keiko Moriwaki
フードライター、ジャーナリスト。中学生のころから食へのこだわりが芽生え、初めて愛した麺はビーフン。〆のみならずメインとしても食し、麺をめがけてひとつのエリアを練り歩くことも。食べ方は、必ずスープから。

*『フィガロジャポン』2016年8月号より抜粋

photos:YU NAKANIWA, DAISUKE YAMADA

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