from TOKYO 瀟洒なシャクヤク一輪を大人っぽく、東洋趣味なエッセンスで。
~最旬のシャクヤクとクレマチス、初夏の花々を涼しげに~

花のある週末 2016.05.27

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5月最後のウィークエンド、気がつけば道端の紫陽花がもう色づいて......! 季節はほどなく梅雨へと移ろっていきます。今週末の主役は、初夏を待ち遠しくする花「シャクヤク(芍薬/英名Peony ピオニー)」。この時期、花屋さんの店先は華やかなピンクグラデーションのウェーブ、最旬のシャクヤクたちが甘やかな香りを漂わせながら、私たちを幸せな気持ちにしてくれます。

シャクヤクはボタン科ボタン属、花もボタン(牡丹)によく似ていますが、その違いはボタンは「木」で、シャクヤクは「草」という点。英名のPeonyは双方を指すそうです。シルクのような繊細な花弁、優しく零れ咲く花姿には気品が宿り、その香りとともに、欧米の女性たちには「Rose of May」と称され熱狂的に愛されています。

その人気の秘密を紐解いていくと......18世紀のヨーロッパ、フランスを中心にロココとともに大流行した「シノワズリ(中国趣味)」、19世紀には絵画などの芸術にも多大な影響を与えた「オリエンタリズム(東洋趣味)」「ジャポニズム(日本趣味)」など、西洋の人々の東洋への憧れに辿り着くように思うのです。

シャクヤクは漢名を「癪薬」、原産国の中国では根が咳止めの漢方薬とされ、日本にも薬草としてもたらされました。平安時代に中国から渡来したシャクヤクは一重咲きで「和シャクヤク」といい、ヨーロッパを経て明治時代に渡来した八重咲きのシャクヤクは「洋シャクヤク」、同じシャクヤクでも趣が異なります。現在はそれぞれの良いところを掛け合わせたハイブリッド系の品種もたくさんあり、色や咲き方も様々です。

今回チョイスしたのは、墨を滲ませたような紅色で、ビロード調に艶めく花弁が何とも魅惑的な「レッドチャーム」。咲き進むにつれて青みが増し、落ち着きのある深いフューシャピンクになっていきます。

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シャクヤク「レッドチャーム」
出典:Flower File

この妖艶な佇まいは、一輪でも圧倒的な存在感! ともすれば重たい印象になる色合いですが、季節のクレマチスと合わせれば、軽やかな蔓や葉の動きの効果で涼しげな景色になります。

クレマチスも赤みが強いピンク色の「プリンセス・ダイアナ」を合わせました。茎の下の方の蕊だけの残花も愛らしく、そのまま生かしています。クレマチスは水が下がりやすい花ですが、しっかり水が揚がっていれば小さな蕾まで咲いてくれて長く楽しめます。茎を少し切り戻したあと、ハサミの柄の部分など硬いもので茎の切り口をたたいて潰します。歯で噛むという方法でもOKですので、ぜひ試してみてくださいね! 家に持ち帰ったらすでに元気がない......という時は、花を壊さないように注意しながら新聞紙にしっかりくるみ、足元をぎゅっとセロハンテープで留めて、上記の茎の処理をします。たっぷりの水に2~3時間浸けていただくと、シャキッと元気になりますよ! 組み合わせ的には、これからが旬の蔓性のグリーン「利休草」でも同じような雰囲気が出せると思います。

日本酒の黒いボトルと、ガラスの酒器を花器にして、鮮やかな九谷焼の小皿をアクセントに初夏のテーブルを彩りました。ガラスの酒器だけだとちょっとシンプル過ぎるなあと思い、器の下に絵皿をひいてみたら案外素敵でしたので(笑)、ぜひお試しください♪

シャクヤク1本、クレマチス1本。美しい素材をただ並べているだけですが、選ぶ品種、合わせる花器や食器のコーディネート次第でテイストは随分変わります。オリエンタルな魅力を放つ花姿のシャクヤクには、東洋趣味を思わせる食器や小物をあわせると、瀟洒な美しさがいっそう際立ちます。

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シャクヤクの場合、固いつぼみを美しく咲かせるには、表面の蜜をふき取るなど少しだけコツがあります。ぜひバックナンバーをご参照ください。

◆ シャクヤクを美しく咲かせるポイント(コラムの一番下をご参照ください)
https://madamefigaro.jp/column/decor/weekend-flower/post-1563.html

もう1点、シャクヤク1本プラス1種の花材だけのアレンジをご紹介しましょう。
たおやかに咲く「かぐや姫」に、初夏に楽しみな花材のひとつ、サンキライ(山帰来)を1本合わせます。明るい黄緑色の実と葉が爽やかな、蔓性の枝ものです。

このサンキライの蔓を丸めてガラスの花器に沈め、水中花のような涼しげな演出に。サンキライの枝が花留めとなり、大輪のシャクヤクもちゃんと立てることができます。水辺に香り立つ花のようで、心癒される花あしらいです。それにしてもこの「かぐや姫」! ゆっくりとふんわりと優雅に咲き開いていき、直径20cm以上ものまあるい綿菓子のような姿に。甘い香りは幼子のようでありながら、日増しに輝くように咲く様は、それはもう神秘の域......「かぐや姫」とは言い得て妙なネーミング! 花屋さんでもし見つけたら、ぜひ家に連れて帰ってみてくださいね。

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シャクヤクは畑に植えられてから、切花として出荷されるまでに、なんと4~5年もの栽培期間が必要だそうです。そんな背景を知ると、ますます花一輪への愛を感じますね。今回は、そんなシャクヤク一輪を主役にシンプルな花あしらいをご紹介しました。あっ、シンプル過ぎましたかね......?(汗) 素材の美しさが決め手になりますので、花屋さんで納得のいく1本に出会って、コーディネートも考えながら楽しく飾っていただけたらと思います♪

今週のウィークエンドはぜひ、初夏だけのスペシャリテ、最旬のシャクヤクにときめいてくださいね♪♪ 

ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

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「レッドチャーム」の見事な散り様。散ってもなお、美しさの余韻が!

<INFORMATION>

c04-waku-weekendflower151026.jpg花の国日本協議会では、昨秋より本格的に
「WEEKEND FLOWER」企画をスタート!

家族や友人が集う食卓に、1週間がんばったご褒美に。ウィークエンドに花があるだけで、会話がはずんだり、笑顔が増えたり、心がほっとしたり。"日常の素敵"――花のある暮らしを提案します。


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◆WEEKEND FLOWER 公式サイト
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