神宿る松と福を呼ぶ花々で迎える、清々しいお正月

花のある週末 2016.12.26

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早いもので2016年も間もなく暮れようとしています。今年は皆さまどんな1年でしたでしょうか。
かく言う私……11月にひいた風邪をこじらせ12月早々まさかの入院! となってしまいまして、今月は月初めのコラムが書けずに申し訳ありませんでした!(もうすっかり大丈夫です)

おせちや初詣など、お正月には「縁起」ごとがたくさんありますが、そうした謂れのひとつひとつが私は好きです。先人が古くから大切にしてきたことには、自然と共生する知恵や生きる辛さを楽しさに変えようとする祈りが込められているようで、それはまさに日々の「暮らし」であり、日本人らしさであり、とても愛おしく感じます。

毎年ご紹介していますが、お正月の花の場合、縁起物の花選びだけでなく「飾るタイミング」もとても重要。その意味は、玄関の「門松」や「しめ飾り」に由来します。

門松は、神様が宿る場所とされ、歳神様がお正月に家に降りてくる際の目印だそう。つまり、お正月に神様を迎え入れるためのものですので、年末28日頃までに飾るのが慣わしです。家の中に飾るお正月花も同じ。29日に飾るのは「二重の苦しみ」となり縁起が悪いとされ、31日に飾る「一夜飾り」も神様に対して失礼との理由でNGなのです。忙しくて28日までには間に合わなーい! という方は、頑張って30日中に飾ってくださいね。そして「松が明ける」1月7日(=関東地方/関西地方は1月15日)に片付けましょう。

迎春の花といえば、慶事のシンボル・松竹梅、千両や南天(難が転ずる)などの縁起物たち。不老長寿を願う高貴な花・菊(マム)や吉事が重なるとされる葉ボタン、ひと際華やかな胡蝶蘭には「幸福が飛んで来る」というおめでたい花言葉があります。今年は特に「千両」が上出来! と全国の花市場でも大評判♪ 艶々の朱赤の実がたっぷりついた、金運がアップしそうな(笑)素晴らしい千両がたくさん出回っていますで、ぜひ飾っていただきたいです♪

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今回はまず、青々と凛々しい神の木「松」の種類をいくつかご紹介しつつ、千両や胡蝶蘭など「紅白」のコントラストがあでやかな迎春アレンジをご紹介しましょう。風水的ラッキーカラーなど「色」については様々な情報がありますが、PANTONE社の発表による2017年の流行色は、「自然との結びつき」を象徴する“明るいイエローグリーン”とのことですので、そんなトレンドを先取って、目にも鮮やかな黄緑の大輪マムをあわせました。この黄緑色が、洋風のインテリアに和モダンな花をしっくり溶け込ませる繋ぎ役でもあるのです。

かつて一世を風靡したグリーンのマム「シャムロック」は、モダンな印象ながら菊特有の古典的な豪奢な品格が宿ります。すーっと心地よい高貴な香りもまた、清浄なお正月にふさわしいものです。

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胡蝶蘭舞う、松と千両、マムの迎春アレンジ

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【材料】

  • 若松               3~4本
  • 千両               1~2本
  • マム(菊)・グリーンシャムロック 3本
  • ミディコチョウラン        1本
  • ヒバ               1本
  • 器                1個
    (画像は直径20㎝、深さ10㎝のボウル)
  • 水引(赤)            数本
  • 吸水性スポンジ        1ブロック
    (器のサイズにあわせてカット、高さは器の8分目程度に)

※塗り物など繊細な器の場合はセロハンなどを敷いてから吸水性スポンジをセットした方がベターでしょう。
※吸水性スポンジ(画像外)は、花店や東急ハンズなどの資材店で購入可能です。

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【作り方】
※玄関や窓際、壁際に飾ると良い「三方見」のアレンジです。

  1. 吸水性スポンジをカットし、水につけます。
  2. 器の中にセロハンを敷き、その上に1の吸水性スポンジをセットします。
  3. 若松を同じ長さにカットしながら、アレンジの背景になるように真っすぐに立てるように挿します。枝がしっかりと立つようにぐっと深めに挿します。
  4. 千両を小分けにカットし、器の手前左半分にたっぷりと活けます。
  5. マムの余分な葉を落とし、器の手前右半分に集めて活けます。(画像上右)
  6. マムの下部分や背後にヒバの小分けにした枝を入れ、吸水性スポンジが花の隙間から見えないようにします。
  7. ミディコチョウランを手前に飛ばすように活けます。松の葉で花弁を傷つけないように気をつけましょう。
  8. 最後に、水引をさっとあしらい、出来上がり!

画像は赤い塗り物の器を使用していますが、こちらが白い器だと一層グリーンが引き立ち清々しく、黒い器だとよりシックな雰囲気にまとまります。いずれにしても安定感のある器がおすすめのデザインです。

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 大王松のお正月飾り(左) 根引き松のお正月飾り(右)

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お正月といえば「松」。1年を通じて青々と繁る常緑の松は、樹齢がとても長いこともあり、“永遠の命”や“不老長寿”の意味があるとされます。お正月には神様が降りてくる依り代でもあります。お正月とはそもそも、新しい年の歳神様をお迎えし、その年の豊穣を祈る行事でした。門松やしめ縄、水引のお飾りは、歳神様への目印として飾られ、松の名の由来は“神を待つ”“神を祀る”からきているとの説もあります。ちなみに「しめ縄(注連縄)」には不浄物の侵入を防ぐ魔除けの意味があり、「水引」の赤は魔除け、白は神聖を表し、水引を結ぶことで、人と人、人と神様を結ぶ、という願いが込められているそうです。

画像左のお正月飾りには「大王松」の若芽といわれる、ひと房の葉をあしらっています。マツ属の中でもっとも長い葉を持つのでこの名がついたそうです。扇形に広がる葉の神聖な美しさを引き立たせるように、紅白の水引(市販の水引のお飾り)と金色の実だけのミニマルなデザインに。

画像右のお正月飾りには、根がついたままの「根引き松」を使っていますが、“大地にしっかりと根付くように、成長し続けるように”との意味がこめられた縁起物。そこに“難を転ずる”「南天」をあしらった少し大胆なデザインです。冒頭のアレンジで使用した「若松」もこの「根引き松」もそういう品種の松ではなく、元は同じ「黒松」で、生産方法が異なるため形状も異なり、違う名前で流通しているのだそう……「松」とひと言で言ってもまだまだ奥が深いのです。

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ひとり心静かに居住まいを正し、凛とした冬の空気の中でお正月の花を活けるひととき。この1年の出来事に感謝しながら、来たる新年に想いを巡らせ、花と向き合いながら自分とも向き合うひととき。自然と背すじが伸びて、来年も良い年にしよう! という前向きで幸せな気持ちが溢れてくるのです。

丁寧にゆっくりと、心をこめて。
素敵な花々とともに、よいお年をお迎えください。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

<INFORMATION>

c04-waku-weekendflower151026.jpg花の国日本協議会では、昨秋より本格的に
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◆WEEKEND FLOWER 公式サイト
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photo,styling,text:NORIKO OGAWA

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