涼を演出する夏のテーブルフラワー
~和洋アジアン自在、八重咲きのリシアンサスを楽しむ~

花のある週末 2016.07.15

01-1-weekendflower-160714.jpg

7月のはじめ、東京の下町では夏の風物詩、「朝顔市」「ほおずき市」が催されます。縁日を浴衣で歩く夏デート、ちょっとときめく感じが素敵ですよね。

江戸時代、世界でも類を見ないほど日本の園芸文化は発達し、武家から庶民に至るまで園芸は人々の大きな楽しみでした。とりわけ人気があったのは朝顔で、珍しく華やかな「変化朝顔(へんかあさがお)」を競うように育て、愛でたと言われています。今回は、そんな江戸の夏にインスパイアされた、ガラスと水に浮かぶ涼しげな花あしらいをご紹介しましょう。

潔いまでの純白に江戸紫がにじむ八重咲きの「リシアンサス(トルコキキョウ)」。変化朝顔を思わせる繊細な細工、美しい浴衣を思わせる粋な花色。凛としていて、艶やか。大人の色香が漂います。和洋アジアン、どんなテイストにも応えられる幅広いラインナップのリシアンサスですが、日本古来の奥ゆかしく高貴な紫を宿す品種は和の趣が一層色濃く、"日本の夏"を表現したくなりますね。花持ちがよく、暑い夏の花活けの強い味方です!

01-2-weekendflower-160714.jpg

そして、気品ある青紫色の星型の花は「桔梗(キキョウ)」。中国や日本が原産国で、「秋の七草」として知られますが、最盛期はちょうど今頃になります。桔梗の根は咳に効く漢方薬として重宝されましたが、野生種は今や絶滅危惧種だそうです。平安時代の陰陽師・安倍晴明は、五行の象徴である五芒星(ごぼうせい)を桔梗の花に模し、「晴明桔梗」を神紋としました。また、吉凶を占う花とされた桔梗は、明智光秀など戦国時代の武士たちの家紋でもありました。

画像の小さなガラスの器は、旅先で出合ったちょっとレトロな雰囲気の一輪挿し。青いガラスはきれいなビー玉のような色合いでお気に入りです。コウモリの絵柄が珍しい藍の染付の鉢皿は、益子の陶器市で見つけた若い作家さんの作品。一輪挿しでなくてもグラスなどでOK、ガラスや青系の色合いの器を並べて、鉢皿に短くカットした花を浮かべるようにあしらうだけで、水辺の涼し気な景色が作れます。ちょうど東京はお盆なので、渋カッコいい花材「黒鬼灯(くろほおずき)」を添えて。

************

リシアンサスをガラスや藍の器に一輪ずつあしらうテーブルフラワー

【材料】
リシアンサス「NFマーブルブルー」 1本(1本に4~5輪ついています)
キキョウ 2本
利休草 2本
黒ほおずき 1本
ガラスの小さな花器や食器、銀のトレーなど
切花栄養剤小袋 1袋
500mlの空のペットボトル

02-weekendflower-160714.jpg

器は、ガラス製の一輪挿しや染付の深さのある鉢皿などをいくつか組み合わせて。

【作り方】
1. リシアンサスを小分けにカットし、1輪ずつにバラします。水に触れそうな下葉は手で取り除きます。
2. 500mlのペットボトルの水に切花栄養剤の小袋を入れてよく混ぜ、それぞれの花器に移し入れます。
3. 器ひとつひとつにリシアンサス1輪+他の花材を組み合わせて活けていきます。利休草は蔓の動きをいかして軽やかに流すように活けます。

※リシアンサスを小分けにする方法

03-weekendflower-160714.jpg

************

ところで、リシアンサス=トルコキキョウは、桔梗の名がついていますがキキョウ科にあらず。リンドウ科の植物で原産国も異なります。そしてトルコ共和国とも全く関係ナシ(笑)。では何故「トルコキキョウ」か? と言えば、北米から渡来した際に、花の形がトルコ人のターバンに似ているからとか、花色が地中海の海の色に似ているからとか......で、どうやら適当にトルコキキョウと呼ばれてしまったようです。その花言葉どおり「優美」な花姿にあわせて、最近はヨーロッパと同様に「リシアンサス」と呼びましょう、という流れになっています。

リシアンサスは、マム(菊)、バラ、ユリ、カーネーションに続き国内生産量が多い花で、一年中手に入るようになりましたが、旬の時期は初夏から秋口。通常800円前後とお高いイメージですが、1本にたくさんの花をつけているボリューミーな点も魅力、むしろお得な感じがします!

先週、リシアンサス生産日本一の長野県に行ってきました。日照量が多く冷涼な長野の気候は、リシアンサスの栽培に適しているようです。展示会では、あまりの品種数と素晴らしさに圧倒されてしまいましたが、その中でも印象的だった、鮮やかなグリーンのリシアンサス「アンバーダブルモヒート」をご紹介しましょう。暑くなると恋しくなるカクテル「モヒート」と、モヒート色のリシアンサスとともに、爽快な夏のひとときを楽しんで♪

**********
アジアンな花々でモヒートを楽しむエスニックテーブル

04-1-weekendflower-160714.jpg

【材料】(画像左)
リシアンサス「アンバーダブルモヒート」  1本(1本に4~5輪ついています)
クルクマ「乙女の香り」 2本
ヤマゴボウ 1枝

ガラスの花器など
切花栄養剤小袋 1袋
500mlの空のペットボトル

※モヒートの材料
ミント、ライム、砂糖、ラム酒、炭酸水、氷

04-2-weekendflower-160714.jpg

*********

ほんのりと淡いピンクが美しいクルクマは、インドやタイが原産のショウガ科の植物。カップを重ねたような独特な花形が特徴ですが、これらは苞にあたり、本当の花はカップの隙間に咲く小さな濃紫色や赤色の部分。国内では福岡県糸島が、高品質なクルクマの生産地として有名です。もともと亜熱帯の花ですので、寒すぎる部屋や乾燥が苦手、人が涼しく感じる程度の快適な環境で、ときどき霧吹きで保湿してあげると良いそうです。クルクマの透き通る蝋のような質感は、パリっとした花弁のリシアンサスと相性抜群! 黄緑色のリシアンサスならエスニックなムードにも溶け込み、カラフルなモカラのようなランにも似合いそうですね!

この10年ほどの日本におけるめざましい品種改良で、実に多彩なリシアンサスが生まれています。国際的な賞を数多く受賞し、世界で高く評価されている誇るべき日本のリシアンサス! 薄いシルクのような花びらがフリフリと重なるグラマラスな大輪品種たちは、ウェディングシーンでも人気となりました。

まるでバラのような迫力のリシアンサスも数多く見られるようになりましたが、ゴージャス傾向からの反動なのか、最近は昔から親しまれている一重咲き品種のリバイバルや、小さな花をたくさんつける小輪系など、風情ある楚々とした雰囲気のリシアンサスが改めて注目されています。展示ハウスでは、これからのトレンドを担う新しいタイプのリシアンサスたちが、今か今かと出番を待っているようでした。

7月も半ば、梅雨もまもなく明けそうですね。ムシムシとした暑さには閉口してしまいますが、夏はこれからが本番! 花屋さんに並ぶ色鮮やかなトロピカルフラワーを部屋に飾って、南国ヴァカンスを妄想するも良し、目にも涼やかなブルー系の花々やレモンイエローのヒマワリを連れて帰って、避暑地の爽やかな風を感じるも良し、花で心に旅をさせましょう♪ 忙しい毎日からの逃避に花は効果抜群です(笑)。

ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

去る7月7日から、WEEKEND FLOWER の「Instagram」をはじめました!
毎朝更新していますので、ぜひチェックしてください。#weekendflower #ウィークエンドフラワー
@weekendflower_official

<INFORMATION>

c04-waku-weekendflower151026.jpg花の国日本協議会では、昨秋より本格的に
「WEEKEND FLOWER」企画をスタート!

家族や友人が集う食卓に、1週間がんばったご褒美に。ウィークエンドに花があるだけで、会話がはずんだり、笑顔が増えたり、心がほっとしたり。"日常の素敵"――花のある暮らしを提案します。


◆facebookページもよろしくお願いします!
https://www.facebook.com/weekendflower/

◆WEEKEND FLOWER 公式サイト
http://www.floweringjapan.com/weekendflower/

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

清川あさみ、ベルナルドのクラフトマンシップに触れて。
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
2024年春夏バッグ&シューズ
連載-鎌倉ウィークエンダー

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories