ポンピドゥー・センターのマグリット展
只今パリ4区にあるPompidou Centre(ポンピドゥー・センター)で開催中のルネ・マグリット展“Magritte. La trahison des images”(イメージの裏切り)を鑑賞に行ってきました。
20世紀のシュールレアリスト、René Magritte(ルネ・マグリット)の回顧展。本展は不可思議な風景や構図、意外なオブジェの配置等で知られる、マグリットの最も有名な作品から知られざる作品まで約100点の絵画、デッサン、アーカイブ資料をテーマごとに展示するという企画。
何年か前にベルギー・ブリュッセルの「マグリット美術館」開館当時に鑑賞に訪れて以来、マグリットの作品をまとまった形で観るのは久しぶりだったので、とても楽しみに出かけました☆
事前に予約をして出かけると、最初のセクションはちょっと人が多めだったものの、どんどん先へ進むうちに空いてきて、比較的ゆっくり鑑賞することができました。(撮影可)
La clairvoyance(洞察力)
卵をみながら鳥の絵を描く…というなんともユニークな作品、これがマグリット!な感じでスタートしました。
La trahison des images(イメージの裏切り)というタイトルで、絵の中には「これはパイプではない」と書かれています。これは、パイプの「絵」(イメージ)であって、パイプそのものではない、だから『これはパイプではない』というのがマグリットの言葉。
確かにこれは絵で、パイプそのものではないけど…。
これも林檎だけど、林檎じゃない…ただの絵、イメージだ…と思うとマグリット的なモノの見方って面白いな〜という感じがしてくるわけです。
Les merveilles de la nature(自然の不思議)
上半身が人間なら人魚でちょっと素敵に見えるのに、こうして逆に下半身が人間だとなぜか不気味で気持ち悪い感じがするから不思議。
L'art de la conversation(会話のアート)
マグリットの絵には音がない、とも言われるようですが、確かに静寂を感じさせるものが多い。
Decalcomanie(デカルマコニー)
*デカルマコニーとは紙に絵の具を塗り、それを二つに折るか別の紙を押し付けるかして写しとる画法のこと。
マグリットの生い立ちを読むと、彼が13歳の時に母親が行方不明になり、数週間後に近くの川で遺体で発見、入水自殺というショッキングが出来事が起こっています。
その悲しい出来事により、彼の描く絵には暗さや死のイメージがあるとも言われているようですが、私はネガティブな暗さというよりも、思春期に経験してしまった大切な人の死から、若くしてちょっと人生を達観してしまったというか、世の中と自分に距離ができ、客観的、多角的に物事を観るようになってしまったように感じます。
Le Beau Monde(美しき世界)
マグリットの描く空、雲が好き!
Les Amants(恋人達)
今回の展覧会で個人的に一番印象に残ったのは、この一枚かも。
お互い白い布で顔を覆ってキスする恋人たちの姿は、ホントはお互いのことは何も見えてない、わかってないってことかな…。そもそも人を完全に理解することなんてできないのだろうけど?!
Le Blanc-Seing(白紙委任状)
そして最後に鑑賞した一枚は、一見とても古典的。
白紙委任、それは観る側が好きなように観て、解釈して、ということなのか?!
見えるはずのものが隠れて見えない、隠れて見えないはずのものが見える、というマグリットの世界観はやっぱり面白い!と思った充実のマグリット展でした。
本展のグッズコーナーも充実☆
代表作「大家族」(鳥と雲の絵)やパイプの作品をモリーフにしたエコバッグ、トレー、お皿、マグカップはじめ、ユニークな形状の傘、雲形ランプ、Delvaux(デルヴォー)とのコラボバッグなど色々。
☆おまけのパリはBelle et Bonne☆
Pompidou Centre(ポンピドゥー・センター)
Place Georges-Pompidou, 75004 Paris
*“Magritte. La trahison des images”(イメージの裏切り)展は2017年1月23日迄