Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

ウッフィツィのヴァザーリ回廊ツアー

「パリ発、たまに行くならこんな町☆フィレンツェ編」

久しぶりにウッフィツィ美術館(Galleria degli Uffizi)へ行こう!

だったら「ヴァザーリ回廊」も!という訳で、ガイド付きツアー(英語)に参加しました。

というのも、私達が見学するのは2回目になる回廊ですが、現在「ヴァザーリ回廊」は個人での見学は難しく、現時点では10−11月の期間限定で事前予約のガイドツアーのみ見学可能。

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今回ツアーに参加したのは約20名。栗色の瞳とふわふわなロングヘアが印象的なシブリーヌさんという女性のガイドさんとまわるウッフィツィの主要人気作品とヴァザーリ回廊見学の3時間ツアー。イヤホンガイドを受け取ってレッツ・ゴー♬

が、スタート時間になってもなかなか美術館に向かわない…と思っていたら、あと2名アメリカからの参加者が来ていないのでもう少しだけ待って欲しいというシブリーヌさん。

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「しかたない。もう行きましょう!」と歩き出したその時、遅れてやってきたのは12、13歳くらいの男の子とママの親子。

遅れておきながら、参加者全員を待たせておきながらsorryの一言もない。ってことに団体行動は得意な日本人代表ケーコとしては、ちょっとカチンときました。そんなことを感じながらツアースタート。

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シブリーヌさんのお話が楽しい! 一方的にお経のように美術品の概要説明をするのではなく、おもしろエピソードを交え、参加者たちに問いかけたりで飽きさせないガイドなのです。

S「じゃ、ここからガイドをスタートします。その前にはウッフィツィってどういう意味が知ってますか?」

参加者「なんだろー?」「前に聞いたことけど忘れましたー。」

S「ウッフィツィは、オフィスという意味です。元々はここはお役所だったのよ。」

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ジョット「王座の聖母子」(左)、チマブーエ「荘厳の聖母」

まずは、初期ルネッサンス絵画鑑賞から。

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ピエラ・デッラ・フランチェスカ「ウルビーノ公夫妻の肖像画」

「男性の鼻が特徴的でしょ。実はこの鼻は整形手術。というのは彼は右目の視力を失っていたので左目で右側もよく見えるようにするため手術でこうして削ったんですよ。」と、シブリーヌさん。

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「裏側も見てください。裏に描かれたのは勝利の馬車で、添えられた言葉は出産後に亡くなった奥さんへの追悼文です。」

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フィリッポ・リッピ「聖母子と2人の天使」

K「もしかして一番好きな聖母子はフィリッポ・リッピの描いたものかも…」

夫「確かにマリア様はキレイ。でもキリストの顔がやっぱりオジサン過ぎないか?!」

K「そこらへんの無邪気な赤ちゃん風には描けないでしょ…。生まれた時から悟った聡明な感じがしないと!」

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個人的にはこの美術館で一番好きなのは、やはりボッティチェッリルーム。

この部屋に入った瞬間、空気が変わった!そんな気がしました。

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ドラマチックな一瞬の「受胎告知」。

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有名作品「プリマヴェーラ(春)」。

タイトルは春ですが、テーマは愛と解釈されることが多いようで、向かって右から左へストーリーが展開する様子と登場人物についてシブリーヌさんが一人ずつ説明してくれました。

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同じぐらいの時代に描かれ「プリマヴェーラ」と対をなすと言われる「ヴィーナスの誕生」もボッティチェッリの代表作ですが、個人的にはプリマヴェーラの方が好き。なぜなら春というタイトルなのに、なんとなく暗さも感じられ、一枚の絵の中にかなり複雑な世界が展開し、ちょっと畏怖の気持ちが湧いてくるから。

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自画像

シブリーヌさんによると、本来ボッティチェッリの作品はもっとあったのだそうですが、その多くを本人自ら処分。それはフィレンツェの腐敗を批判し市政への影響力を強めたドメニコ会修道士・サヴォナローラの思想に傾倒したため。

ボッティチェッリの晩年はサヴォナローラの宗教的影響を強く受け、硬質的で神経質な表現へと作風が一変。しかしサヴォナローラの失墜で彼の人気も急落、ついには画業を止めることに。最晩年は孤独のうちに65歳で死去。

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ミケランジェロ・ブオナローティ「聖家族」

フィレンツェに残るミケランジェロの唯一の絵画☆ 

人物には躍動感があり、その衣服の色がとにかくキレイ。特に私は黄色が印象的で、こんな黄色見たことないかも?と。また、この画像ではわかりづらいですが、額装もユニークで人の頭が立体的に5ヶ所ついてます。これも当時のままの額装でミケランジェロのデザイン。

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夫「ミケランジェロの女性はいつも逞しいよな。」

K「彫刻も女性ボディビルダー並みだし。」

夫「女性の裸を見たことがないのかも。」

K「やっぱりそっち系だね…」

なんて話をしていたらシブリーヌさんが説明をしてくれました。

当時はサヴォナローラの影響でヌードモデルに女性を使うことが憚かられ、裸婦も男性モデルを使って描かれたのだそう。(なるほど…そっち系ではなかった?!)

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ちょっと、さっきから私が気がついてることがあるんですけど…。

それは、集合に遅れてきたアメリカ人親子の息子ケビンがこっそり美術品を触っていること。

なんちゃって優等生ケーコは、「先生、ケビン君が彫刻の足を触ってます!」と言いつけようとした瞬間、シブリーヌさんも気がつき「美術品には触らないでくださいねッ!」と笑顔で注意。

シブリーヌさん、優しい…。私が彼女だったらケビンに往復ピンタをお見舞いしたい…!

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こうしてちょっとケビンにイライラしながら続くガイドツアー。

K「ケビン、悪い子だな〜。」

夫「なんで名前知ってるの?」

K「さっきからママ(金髪のスネ夫のママ風)がケッビン、ケッビンでうるさいんだもん。」

夫「年を取ってからできた可愛い息子って感じで溺愛だな。」

K「だからってねー、子供を注意できない親ってどうなの?」

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窓から見えるポンテ・ヴェッキオ。あの橋の上にヴァザーリ回廊は繫がっています♬

その前にトイレ休憩ということで10分後に集合となりました。

が、、またしてもケビン! 集合時間になっても彼だけが戻ってこない…。

10分以上過ぎた頃に悪びれもせずにもやってきました。(ケーコ、心の中で彼をともえ投げ!エイッ!)

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K「ケビン、みんなの迷惑になってるって意識ないよね?」

夫「ま、何をやってもダメなタイプかね。あの母子はいないものと思えばいい。」

と、プリプリしていたら廊下にある、なんでもなさそうな扉がいきなり開けられ、「さ〜、ミステリーツアーに出発よ〜!」と眼下にある階段を降りて、ヴァザーリ回廊へ。

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約1キロあるという回廊には、レンブラントやダ・ヴィンチ、ルーベンスなど有名画家をはじめとする肖像画コレクションの数々。

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コジモ1世が住居から庁舎へと通うプライベートな通路として造られたこの回廊には所々窓があり、気づかれずに市井の人々の様子がわかってオモシロイ。コジモも聞こえてくる市民のゴシップに耳を傾けたそう。

そしてここは一番賑わう、ちょうどポンテ・ヴェッキオ(橋)の上。

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(私の隣りのムッシュは回廊を管理する美術館の人で、すぐに出口の鍵を閉めてました)

こうしてヴァザーリ回廊ツアーが終わり外へ出ると、それはまた秘密の出口のような地味な扉。でもすぐ横にはメディチ家の紋章を掲げた洞窟のような建物が。そこはピッティ宮の中でした。

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日が暮れかけたピッティ宮をあとに、3時間のツアーは終了☆

シブリーヌさんの巧みなガイドであっという間の楽しいツアーでした。

おまけのパリはBelle et Bonne

「我が家的には事件です!」
⇒ http://belleetbonne.blog.fc2.com/blog-entry-1326.html


ウッフィツィ美術館(Galleria degli Uffizi)

Piazzale degli Uffizi, 6, 50122 Firenze

+39 055 23885

http://www.uffizi.com/

KEICO

新潟県の旅館に生まれるも女将にならず、上京、進学、就職、まさかの出逢いと結婚。
約10年間のOL生活の後、2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆


そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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