パリの子ども事情

難関のLE CHAUSSON D'ORコンクールと春野菜。(パリのバレエ事情-10)

朝0℃かと思ったら、日中17℃まで暖かくなったり、そんな気候のパリです。
でも、家の中はいつも暖かで我が家のにゃんこは好き勝手にひなたぼっこです。
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春は確実に近づいているけれど、まだ出番じゃない植木鉢。
早くお花に囲まれたい。
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季節先取りはマルシェです。
春野菜がずらりと並び始めました。
子どもたちがこの季節に必ず食べるのが"新キャベツ/chou nouveau"
小さくて先が尖っていて、 葉が柔らかいので生でも食べられます。
通常出ているキャベツは煮込み用で苦みも強いけれど、新キャベツは苦みがありません。
日本のキャベツに似ているかも。
春だけのお楽しみなので、つねに冷蔵庫に入っている状態です。

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そして"行者ニンニクの葉"、フランス語では"L'ail des l'ours"。クマが冬眠から目覚めて最初に食べる物、ということから名付けられました。
冬眠中に胃の中が空っぽになったクマが、スタミナを取るためにこの葉っぱを食べる。それだけ栄養があるんですね。
これは1ヶ月くらいしかマルシェに出回らないので、見つけたら即買います。
そして、醤油漬けにしておくと冷蔵庫で1年はもちます。
生でお味噌を付けて食べると大人の味。
子どもたちはニンニクの代わりにチャーハンに入れるのが好き。
グリーンがきれいなチャーハンに仕上がります。
コンクールシーズンと重なるので、スタミナを付けるためにも先週末も食べました!

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長男、先週末は難関の国際コンクール"金の靴"に出場しました。
採点基準がテクニック重視なので、出場者も元々少ない。
そして、こんな小さい子がこんなに上手なの!! とビックリさせられるほど。
去年は次点で予選落ちでしたが、今年は一番下のカテゴリーで2年目の出場なので、予選通過を目標にして練習してきました。

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コンクール前は週に5日通っているスクールのある体育館。
校庭ではサッカーをやったり追いかけっこをする子どもたちを横目に、レッスン場へ向かいます。

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レッスン場に着いて必ず確認するのは、先生からのレッスン日告知。
毎週変わるので、先の予定が入れられません。

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さて、コンクール当日の土曜日はパリのメトロが無料でした。
ここのところ光化学スモッグはひどく、霞んだ空のパリでした。
メトロを無料にすることによって、車を使わないように市民に呼びかけます。
素晴らしい!

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会場は去年同様、新凱旋門の近くのThéâtre de Neuilly-Sur-Seineです。
オフィスっぽいビルの中に入ると、真っ赤なビロードの会場です。
踊る順番もコンクールによってまちまち。
年齢順だったり、女の子が先で最後が男の子と性別で分けたり。
LE CHAUSSON D'OR コンクールはイニシャル順、毎年先頭のイニシャルが変わり今年は"S"からでした。

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自分のカテゴリーが始まる1時間前に会場に入ります。
そして、ウォームアップを念入りにします。

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審査員の紹介や今年の出場国、写真・ビデオ撮影の禁止や携帯電話の音を切ること等を呼びかけ、始まりました。
という訳で、写真がありません。

カテゴリーは今回こんな感じです。

PREPATOIRE(8歳~9歳)
ETUDE A (10歳~11歳)ドゥミ・ポワント
ETUDE B (10歳~11歳) ポワント(トゥ・シューズ)
ESPOIR (12歳~13歳)
SUPERIEUR
PROFESSIONNEL

と細かく分かれています。

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PREPATOIREはほとんどが朝イチなので、夕方の結果発表までは会場で同じスクールのお姉さんたちの応援をします。
予選はシンプルなスタイルで踊ります。
長男はグレーのスパッツに白のピタッとしたTシャツ。

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やっと19時。
いつもガラス張りの扉に外に向けて貼り出されます。
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64点で7位に名前がありました!
念願の予選通過。
次の日の日曜日はコスチュームを着て競い合います。

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決勝前にはピザを食べる。
これがジンクスになっている長男。
例外に漏れず、4フロマージュのピザを食べて明日に挑みます!

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日曜日も昨日に引き続きメトロは無料。
そして、日曜の早朝だというのに運行間隔が短い7分ごと。
いつもは10分ごとくらいだったと思う。

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衣装に着替えウォームアップ。
やはり朝イチだったため、会場で過ごす1日。
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予選通過3人組は自分たちの出番は終わったので、かなりリラックス。
同じカテゴリーの女の子たちのテクニックは素晴らしい!

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応援に来た妹や弟たちとも遊びます。
女の子にシニヨンをしてあげるのも、常。
毎日自分で結っているのだからあたりまえだけど、とっても上手。

長男の来年のカテゴリーETUDEは、急にテクニックがすごくなる。
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来年までにこのレベルに追いつけるのかはわからない、難しい......。
そして、その上の ESPOIRは激戦区。
このまま舞台に立てそうな子どもがゴロゴロ出場している。
今回、すべてのカテゴリーを見てこのコンクールの難しさを目の当たりにしました。

決勝終了後「フィナリスト/予選通過者はコスチュームに着替えて下さい」というアナウンス。
オペラ座の若手ダンサーのスペクタクルが30分あり、その後すぐに結果発表があるため。
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ジャックリーヌ先生が生徒を集めて、受賞したら会場への挨拶、審査員への挨拶を忘れないようにと指示。
その後、なぜかずっと女性名詞か男性名詞かを当てるクイズで盛り上がる。
子どもたちをリラックスさせるためだったのかな? きっとそう。

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オペラ座のダンサーはくるくる回って飛んで、すごいテクニックを披露。

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同じスクールで固まって座ります。

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下のカテゴリーから発表です。

なんと、予選通過した3人ともが銅賞を受賞しました。
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すべてが終わった最高の笑顔。
9歳の君たちを見ているだけでワクワクする。
右の超美形のルーちゃんは長男の一番の仲良し。
真ん中のファニーフェイスのイゾルドちゃんは、来週末行われるCNDインターナショナルコンクールで長男とDUO(デュオ)を踊る相方です。

コンクールはドラマに溢れているのですが、今回も!
長男と同じカテゴリーの女の子、踊り出して10秒ぐらいで音楽が流れなくなってしまったのです。
普通、この時点で幕に戻るのですがその子は踊り続けました。
「音響の問題で曲が流れません」という場内アナウンスが流れてもまだ踊り続け、最後まで踊りきった。
コンクールでは拍手は採点の妨げになるので禁止ですが、会場中がためらわずに彼女の根性に拍手しました。
ルールはルールだけど、例外はある。
踊りきった女の子、拍手をした大人たち、両方に感動しました。

<おまけ>
Concours International de Danse "Nijinsky" - Deauville 7 & 8 Février 2015

Concours-Deauvillle-2015 from Théo Steiner on Vimeo.


【関連記事】
パリのバレエ事情(1)
https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/post-1335.html
パリのバレエ事情(2)
https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/post-1338.html
パリのバレエ事情(3)
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松永麻衣子

パリ在住ジャーナリスト

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