パリで夢を見ている

【白金】パリ在住アーティスト川俣正個展が開催!

Bonjour ! Vous avez passé de bonnes vacances?

みなさん、こんにちは。良いバカンスを過ごされましたか?
 
6月から私がインターンシップをしている白金高輪にあるMISA SHIN GALLERYで、8月2日から10月7日までパリ在住アーティスト川俣正個展「Early Works」が開催されます。
 
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MISA SHIN GALLERYは、1970年代に鉄工所して使われていた建物の余韻を残すギャラリースペースです。

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鉄の重い引き戸を開けると、国内外の優れたアーティストによる作品が目に飛び込んできます。

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私がMISA SHIN GALLERYを知ったのは、昨年10月にパリで開催されたAsia Now Paris Asian Art Fair でスタッフをしていたことがきっかけです。ギャラリーのスタッフのみなさんはとても真摯かつ丁寧に仕事をされていらっしゃる、素敵な方々でした。

今年東京に一時帰国するにあたり、日本のギャラリーでインターンシップをして経験を積みたいと考えました。ご縁があり、インターンの受け入れを許可してくだいました。5月初旬から8月末までの約4ヶ月間、お世話になっています。

ギャラリーのディレクター、辛美沙さんとスタッフのみなさんとの記念撮影しました。

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どこのギャラリーもそうだと思うのですが、展示数週間前から英語と日本語のプレスリリースの作成、作品のプライスリスト、展示されている作品の情報を記載したファイル作りなどをパソコンを使って作成する仕事が中心でした。

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展示が近づくと、搬入作業が始まります。少しだけ紹介します。

まず展示する作品を倉庫から取りに行き、ギャラリーまで運びます。額装が必要な作品は額装屋さんに相談します。一番大切なのは、どのような空間構成で作品を展示するか、にかかっていると感じました。

作品にもよりますが、どのサイズの釘を使うのかなど毎回異なってきます。必要になるのは、トンカチやメジャー、針金など工具が必要です。それから、体力も根気も。

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川俣さんの指導の元、作品同士のバランスを見ながら、展示する位置を決めました。準備している日は、30度を超える暑さでした。でも、興味のあるアーティストの近くで、搬入をするのはとても良い経験でした。

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展示準備が無事に終わると、晴れ晴れした気持ちになります。ギャラリーの空間の面白いところは、毎回展示によってギャラリーの雰囲気が変わるところです。世界観や訪れる人々にもその変化が見られます。

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川俣正さんは、現在350年以上の歴史を持つフランスの国立美術学校・エコール・デ・ボザール(École Nationale Supérieure des Beaux-arts)で指導されています。

私は、昨年レンヌにあるボザールを卒業しました。結果は不合格でしたが、実は、パリのボザールも受験したことがありました。その時に、川俣さんのアトリエを窓ガラス越しに眺めていたことがあります。あの時から、数年が経って、まさかご本人の個展に立ち会うことができると思っていもなくて、嬉しい気持ちで胸がいっぱいでした。

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川俣正さんといえば、世界中のいたるところでプロジェクトを行われている印象があります。でもいつも1人でやっているわけではなく、地元の方々と一緒に行われています。

人々の記憶に残って生き続けるアート体験。変容する社会において同じ場所で継続させていく難しさ。場所性について、社会におけるアートの立ち位置。そして何よりも、川俣さんの活動には、人と人が強く結びつき合っていると感じました。

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ギャラリーのHPに掲載されているプレスリリースを一部抜粋します。

「アートの制作において、「プロジェクト」という言葉が日本で使われ始めた 80 年代、川俣はすでに準備、設置、そして解体までを含めたプロセス全体を作品とみなす、ワーク・イン・プログレス(work in progress)と言われるスタイルで制作していました。

それはワーク・イン・プログレスの言葉の通り、未完であり、仮設であるという概念とともに、関わる人々の動きや新たな可能性の萌芽を促し、そして模型やレリーフやドローイングなど一つ一つがプロジェクトの実施に至るプロセスを内包して制作されます。

ニューヨークのワールド・フィナンシャル・センターにバッテリパークシティーが建設される時に出た廃材で、ブラジルの不法占拠者住宅ファベーラを組み立てた「Favela in Battery Park City N.Y.」(1988年)や、ドイツ・カッセルのドクメンタ9でファベーラを制作した「People’s Garden (D9) Plan #7」(1992年)などのレリーフなど、いずれも都市の多様なありようや変化と関わりながら、新たな着眼点でその隙間に潜む問題や可能性をあぶり出し、その場を巻き込んで行く川俣の初期の作品群を展示いたします。」

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オープニングパーティーには多くの人々がきてくださいました。

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最後に、川俣正さんと、ギャラリースタッフの嘉悦さん、ギャラリーディレクターの辛さんと一緒に写真をとっていただきました。

オープニングパーティのあった夜は熱気と興奮で眠ることができませんでした。昨年まで、燻っていた火が少しづつ大きくなっていくのを確かな実感として感じることができたからです。

フランスで1人で暮らしていくのは、楽しさだけではありません。うまくいかないことも多いです。スタート地点にようやく立てた気がしました。将来何になりたいの、目標は何と聞かれることにうんざりすることがあります。それはそんなに言語化して他人伝える必要があるでしょうか。心のときめきに素直に、進むしかないと思います。

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辛さんが書かれていたVOGUEブログの引用を残して、今回の記事の終わりにします。

私の関心事は、目に見えない価値がどのように見える価値に転化するかということになりました。ギャラリーはコマーシャルですから売らないといけません。しかし、売ることに適してない作品をいかに売っていくか、そして、そんな作品を買う人はもっともカッコいいと思うようになりました。現実にはそう簡単でないですし、時間もかかると思います。でも、やってみたいんですね。
形あるものはいずれ無くなります。残るのはアイデアや哲学なんだと思います。それをいかに伝えていくかがギャラリーの仕事なんだと思います。」

辛さんが書かれていたように、「目に見えない価値がどのように見える価値に転化し」て、その作品をどんな人が購入していくのか。作品のコンセプトは何か、アーティストやアーティストの人生をめぐる物語や歴史、私はそういうことにとても興味があります。また、アートを通した人と人の出会いも、魅力だと感じました。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

【ギャラリー情報】

MISA SHIN GALLERY

住所:〒108-0072 東京都港区白金1-2-7

休廊日:日曜、月曜、祝日

時間:12:00-19:00

http://www.misashin.com/

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