内装もきれいで料理も美味しいクレイ・サン・ソヴール。

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21世紀に入るか入ったかの頃、パリのレストランはインテリアだけを眺める時代だった。デザインに力を入れた店が多かったのはいいけれど、味がいまひとつという店ばかり。そのひと昔前は味が良いレストランは、なぜか店の内装がいまひとつだったのだ。両方ともに素晴らしいというのはパリでは期待できないのか……と思いきや、近頃のパリにはインテリアがきれいで気分の良い空間の中、新鮮素材の美味しい料理が味わえるレストランが増えている。

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バー・スペースの壁を飾るのは、ジュリアン・コロンビエのチョークアート。

夏にオープンしたレストラン・バーのKlay Saint Sauveur(クレイ・サン・ソヴール)は、その良い例だ。ここは同じオーナーによるLe Klayというスポーツジムが奥の建物にあるのだが、スポーツウエアの男性がうろちょろ、ということはなく、ジムとは完全に独立した場所である(といっても、このジムの常連客はおしゃれ系なので何を着ていても絵になるのかもしれないが)。内装を手がけたのは、トロ&リオタールというパリのインテリア界で人気上昇中の若い男性二人組。まずは彼らとインテリアの紹介から始めよう。

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左:ユーゴ・トロ(左)とマキシム・リオタール。2人とも27歳だ。 右:レストラン・スペース。後方にバーが見える。店内で本物の大理石とトロンプルイユの大理石をミックス。

難易度の高いデザイン学校として名高いペニンゲン校で室内装飾を5年間学んだユーゴ・トロとマキシム・リオタール。卒業後、マキシムは Studio Koに入って、現場のチーフとして4年間の経験を積んだ。このオフィスが東京のAmiのブティックを手がけた時には、東京にも来ている。その間、ユーゴはウィーン大学の建築学部にて勉強を続け、資格をプラス。生徒を学期ごとにさまざまな外国の都市に送り出す大学で、ユーゴは香港、東京、ヴェネチアといった街での暮らしも経験できたという。

パリに彼が戻って間もなく、このバー・レストランの仕事を依頼されたことから、二人で急遽オフィスを設立することになったそうだ。デュオを組むなら、この相手しかいない、という関係の二人である。

ユーゴが語る。「ひとつのプロジェクトに取り組むとき、僕たちは補い合う関係といえますね。マキシムはどちらかというとディテールに対する配慮という点に強く、僕は空間のビジョンを主に担当する、というように」

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左:外観。夏場はガラスが開いてテラスになる。 右:竹をイメージした白い陶で下部を覆ったバー・カウンターの周りに、マルセル・ブロイヤーの椅子を並べて。

この仕事の他に、彼らはサン・バルト島の高級ヴィラ、パリのマルシェ・サントノーレ通りのブティックMaison Pèreの内装を手がけている。次に手がけるピガールのレストランは、クレイ・サン・ソヴールとはガラッと異なり、1901年に建築された個人邸宅内だ。プティ・パレと同じ建築家シャルル・ジローによる建物で、とても美しく、そして巨大なスペースだとか。パリのレストランには珍しく、広い中庭もある。

「歴史的建造物の指定をされているので、ここでは可能な限り存在する要素を残しています。それはそれで面白いですね。クレイ・サン・ソヴールの場合は逆でした。以前はガレージだったような、何もなかった場所。そこに3つの異なる空間を、僕たちが作り出しました。通りに面したスペースが、バー。 仲間とうちとけた時間を過ごせるような寛ぎの場です。夏場は通りに面したガラス窓が全開してテラスのようになるんです」

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左:朝早くから営業していて、気軽にカフェとしても活用できる。 右:奥に見えているのが、中央に大きなテーブルを配したプライベート・サロン。

マキシムの説明に、ユーゴが次のように続ける。
「2つめはレストラン・スペースです。 ゆっくりと時間を過ごす場所なので、椅子の奥行きも深くなり、座り心地もいいですよ。テーブルもバー・スペースより大きめ。コージーな空間を求めました。バー・スペースからレストランに続いての植物は、ジュリアン・コロンビエのチョークアートです。 バー・スペースでまずはオークル系のクラシックな色から始まり、レストラン・スペースにかけてピンク系へと少々ファンタジーを帯びて行っています」

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レストラン・スペース。壁にバーからのジャングルが続く。

これは地下の化粧室との関わりでもあるそうだ。そこは TVドラマの『マイアミ・ヴァイス』をイメージした空間で、ネオンを用いた少々アングラな雰囲気。レストランでは天井の扇風機が冬でもゆっくり回転し、L.A気分を演出している。それは食事に来た人々が、わずかの時間ながら気分転換できるようにということからだ。と、同時に、フェイク・マーブルや床の木製タイルなどが生かされていて、昔からずっとある店という印象も得られるのが面白い。なお、3つめのスペースは、中央に大きなテーブルを置き、プライヴェート・サロンのイメージ。書棚や鏡を飾り、アパルトマンで食事をしているという設定の空間にした。

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左:この店の成功で、トロピカルな内装を得意とするという印象を世間に与えてしまったトロ&リオタール。次にパリで手がけたブティックMaison Pèreで、そのイメージから即脱出に成功。 右:地下の化粧室。気分はマイアミ!

さて、きれいな内装だけにル・クレイ・サン・ソヴールの魅力は止まらない。ここは料理を目的に来る人たちにも好評のレストランなのだ。新鮮な素材にこだわった料理であるのはいまや当然のこと。さらに、ヴィーガン、ノーグルテン派にも喜ばれる料理を用意。インテリア同様にL.Aを意識し、複数種のスーパーボウルもしっかりとメニューに並ぶ。グルマンだけどヘルシー、という2つの希望を叶えてくれるのが、うれしい。

朝食、ランチ、ティータイム、アペリティフ、ディナー、食後の一杯……長い営業時間とバー、レストランの2つのスペースをうまく組み合わせて、しょっちゅう活用したくなるニュー・スポットだ。

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左:前菜のOeuf partait à la carbonara 10ユーロ。右:メインの魚料理は抹茶ソース! 27ユーロ。

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メニューは季節によって変化するが、料理はどれもカラフルで視覚的にも食欲をそそる。

Le Klay Saint Sauveur
4bis, rue Saint Sauveur
75002 Paris
tel:01 40 26 69 66
営)7:00~23:30
http://www.klaysaintsauveur.fr/

réalisation:MARIKO OMURA

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