パリ社交界、夏は南仏のリゾート地 サントロペへ移動。

特集

その昔は、コート・ダジュールの小さな漁村に過ぎなかったサントロペ。1950年代になると、パリのセレブリティたちが毎夏、村を賑わすようになった。芸能人、文化人……人気絶頂のミック・ジャガーがビアンカと結婚したのもサントロペなら、ジェーン・バーキンが丸いバスケットを腕にかけて、小さなシャルロットを抱きかかえているところを撮影されたのもサントロペでのことだ(今年の夏のモードに欠かせない、このバーキン・バスケットはwww.bonjourcoco.comで購入できる)。

サントロペはパリからの交通の便が少しだけ悪い分、一般大衆に荒らされることなく相変わらず夢のリゾート地であり続けている。港からすぐの場所に、ホテル経営を夢見た夫妻が1931年にオープンしたHôtel de Paris(オテル・ドゥ・パリ)は、サントロペの変遷の証人。最初は2フロアと屋上のテラスからなるプチ・ホテルながら、クラーク・ゲーブルなどハリウッドのスターを迎える。1950年代、1フロアをプラスし、そして当時のフランスで珍しいことにいち早くクーラーを設置したことから、ホテルはさらに知名度をあげた。この時代、夏のオテル・ド・パリはパリのサンジェルマンをホームベースにする知的階級のたまり場と化し、ジュリエット・グレコ、ボリス・ヴィアン、ジャン・ポール・サルトルなどが集まるホテルとして、国際的に紹介されることになった。

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大改装により機能的でモダンなブティック・ホテルに変身したオテル・ドゥ・パリはサントロペの伝説のホテルだ。

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レストラン、プール、スパ……快適な滞在が約束されている。

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スイートルームDolce Vitaのテラス。紺碧の地中海の美しい眺めが目の前に広がる。

この春、4年半に渡る大工事を終え、オテル・ド・パリの新しい時代がスタートした。オークルの外壁と瓦屋根が港町の高級ヴィラといった趣を漂わす建物内に、70年代の家具と21世紀のテクノロジーを配した52室と38のスイートルームからなるデザイン・ホテルに大変身。クラランスのスパがあり、さらにジェットセッターたちを満足させるべく、パリ一番のキャビアのメゾンであるPetrossian(ペトロシアン)がホテル内レストランのLe Pationata(ル・パシオナタ)のメニューに大々的に参加! という美味しい話題もある。ペトロシアンは1920年代に生まれたキャビアのメゾンで、パリのリュクスの代名詞。ハイクオリティのペトロシアンのキャビアに始まり、キングクラブ、スモークサーモンなどハイクオリティな海の幸をフィーチャーした料理は、ル・パシオナタのシェフによるクリエート。「パッショネモン・キャヴィア」と命名されたこれらの料理を味わいたい食いしん坊は、サントロペのオテル・ドゥ・パリに行くしかないのである。

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レストラン、ル・パティオナータのメニュー内「パッショネモン・キャヴィア」で味わえる料理例。photos:Mariko OMURA

Hotel de Paris
1, traverse de la Gendarmerie
83990 Saint-Tropez
tel:04 83 09 60 00
www.hoteldeparis-sainttropez.com

≫ サントロペを撮影しつづけたフォトグラファーによる写真展。

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■サントロペの写真と家具デザインのウィリー・リッゾ。

明るく開放的な昼、グラマラスに酔いしれる夜。イタリア人カメラマン、ウィリー・リッゾ(1928〜2013)はサントロペを撮影しつづけた。7区のステュデュオ・ウィリー・リッゾの1階と地下のスペースでは、彼がサントロペで撮影したカラー、モノクロ合計35点の写真を7月25日まで展示販売している。

70年前の初回カンヌ映画祭のルポを手がけ、その後もポワン・ドゥ・ヴュ、パリ・マッチといったフランスのセレブ情報雑誌からの撮影依頼を彼は多数こなした。ブリジット・バルドーや ロジェ・ヴァディム、フランソワーズ・サガン……スターたちは陽気なイタリア人が向けるカメラに対して無防備な表情を見せている。今も健在のカフェ・セネキエ、伝説のクラブ55で踊る若者たち、港の景色などサントロペの雰囲気を伝える写真の数々の展示は、もちろん鑑賞するだけでもOK。

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ブリジット・バルドー(1958年)、ジャック・ニコルソン(1994年)などセレブリティが開放的なサントロペでみせる貴重なプライベート時間。photos:©Willy Rizzo

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サントロペを背景にした船上の若者たち(1949年)やダンスに興じるカップル(1958年)の写真は、装いを含めてサントロペの歴史を物語る。photos:©Willy Rizzo

ウィリー・リッゾって家具デザイナーでは? と思う人もいるのではないだろうか。写真家と同姓同名というのではなく、これは同一人物。1968年から彼は家具デザインをはじめ、それらは今もオリジナルに忠実にイタリアで生産が続いている。このステュディオ・ウィリー・リッゾではそれらの展示販売も行い、また地下には彼の家具を配したシネマ・ルームも! このスペースでは、ブリジット・バルドーの『殿方ごめんあそばせ』、ルイ・ド・フュネスの『サントロペ・シリーズ』などサントロペを舞台にした映画の抜粋が楽しめる。

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ウィリー・リッゾがデザインした家具を展示販売するブティックで、7月25日まで『サントロペ』展を開催。

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地下のプロジェクション・ルームではリッゾがデザインした椅子で鑑賞。1969年にデザインされた画期的なカセット&レコードプレーヤーは、残念ながら非売品だ。photos:Mariko OMURA

Studio Willy Rizzo
12, rue de Verneuil
75007 Paris
tel:01 42 86 07 31
営)10:30~13:00、14:00~18:30
休)日
www.willyrizzo.com

≫ フランスで最も魅力的なプティ・ミュゼへ。

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■魅惑の避暑地に、フランスで一番魅力的なプティ・ミュゼ。

紺碧の地中海に遊び、太陽と戯れ……リゾート地として有名なサントロペに、フランスで最も魅力的なプティ・ミュゼとうたわれるl’Annonciade(ラノンシアード)がある。16世紀に建てられた礼拝堂を改装した小さな美術館だ。港に面し、オテル・ドゥ・パリからもすぐ近く。

サントロペはフランスの絵画の歴史においても重要な役割を果たしている。画家のポール・シニャックが当時は小さな港町にすぎなかったサントロペに魅了されたのは、1892年。この地に家を持ち、アトリエを構え、そしてマチスやドランといった画家仲間を招いたのだ。南の明るい太陽が注ぐ地で、彼らが作品を制作せずにいられるわけがない。ラノンシアードは、こうした作家たちの作品を含むコレクションを所蔵している。

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サントロペのラノンシアードは、フランスで最もチャーミングなプティ・ミュゼ。

10月8日までは、『ジョルジュ・ブラックとアンリ・ローラン、40年間の友情』と題した企画展を開催中だ。1911年から約40年の間、友情を育み、そして互いの作品に影響を与えあった画家ブラック(1882〜1963)と彫刻家ローラン(1885〜1954)。会場には、両者の合計67点の作品が展示されている。感性を共にするふたりはキュビスムの時代を経て、第一次大戦後は自己のパーソナルなスタイルの追求へと。1915〜1920、20年代、30年代、40年代、最終期と、作風の変化がわかりやすいよう時代を追って作品を紹介。ブラックの作品はキュビスム時代の作品が展示されることが多いので、この展覧会ではあまり見かけない彼の作品を知ることができる。

なお、企画展期間中もラノンシアードの所蔵品の一部が展示されているので、併せて鑑賞を。

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ブラックの油彩『ギター』(1912/ Musée de Grenoble)とアンリ・ローランのコラージュ『Tête de Femme』(1917/ Hélène Bailly Gallery, Paris)。

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ブラックの『Canéphore』(1922/ Collection du Centre Pompidou, MNAM/CCI, Paris)と ローランの『La Mère』(1935〜1967/ Collection du Centre Pompidou, MNAM/CCI, Paris)。

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ブラックの『La Toilette devant la fenêtre』(1942/Collection du Centre Pompidou, MNAM/CCI, Paris)とローランの『人魚』(1944/ Collection du Centre Pompidou, MNAM/CCI, Paris)。

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ブラックの『Vase de fleurs la nappe rose 』(1961/ Collection Madama Sylvie baltazar-Eon)とローランの『La Lune』(1946〜1967/ Collection du Centre Pompidou, MNAM/CCI, Paris)。

『Georges Braque & Henri Laurens, Quarante années d’amitié』展
会期:2017年10月8日まで
L’Annonciade Musée de Saint-Tropez
Place Georges Grammont
83990 Saint-Tropez
tel:04 94 17 84 10
開)10:00~13:00、14:00~18:00
休)月
料金:6ユーロ

réalisation:MARIKO OMURA

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