夏、パリから直行できるプチ・カルチャー・トリップを。#01

パリから25分。画家カイユボットの家と庭。

特集

パリのリヨン駅からMelun(ムラン)行きのRER D(高速地下鉄D号線)に乗って約25分。Yerres(イエール)駅で下車し、徒歩10分くらいの場所に、画家ギュスターヴ・カイユボット(1848〜1894)が暮らした邸宅がある。修復工事がなされ、彼と家族が暮らしていた時代を再現すべく家具調度品が整えられ、一般公開が今年の6月半ばから始まった。かつてカイユボット家が所有していた川の流れる11ヘクタールの広大な庭は、現在はイエール市の公園として市民が気軽に散歩を楽しんでいる。画家の彼に興味がなくても、このように自然の中の散歩ものんびりと楽しめるのでオススメの場所なのだ。

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ギュスターヴ・カイユボットが暮らした家(photo:Sébastien Erras)が立つ広大な敷地内では、野菜畑も訪問できる。

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イエールの邸宅の前で時間を過ごす女性たちを描いたギュスターヴ・カイユボットの『田舎のポートレート』(1876)Gustave Caillebotte, Portraits à la campagne © Bayeux MAHB / photo Mathieu Ferrier

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敷地内、恵まれた自然は無料でたっぷりと楽しめる。

19世紀のブルジョワの暮らしを知ることができるという、この修復後のカイユボットの家。ギュスターヴの父親というのはナポレオン3世の軍隊の制服などの毛織物を一手に扱い、巨額の富をなした人物である。26歳のときに父親が亡くなり、彼はその遺産で作品制作に専念できたばかりではなく、仲間の印象派画家の作品を買い上げたり、印象派美術展開催の費用を提供したり……。彼が12歳の頃に父が夏の別荘として購入したのがイエールの家で、もともとは ピエール=フレデリック・モレルという19世紀の人気料理家の家。彼がマニアックな趣味を発揮して建てさせた建築物である。時は王政復古時代で、家の売買の際にやりとりされる書類に残されていた詳細な記録をもとにした今回の修復によって、この時代のインテリアが完全に再現された貴重な家となった。個人宅だが、装飾芸術美術館を訪問するような価値もある。

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修復された邸宅内の1階。玄関(photo:Sébastien Erras)には来場者にわかりやすくカイユボット一家のポートレートが飾られている。オランダのタイル、銅鍋、オーブンが見事なキッチンに、家族の豊かな食卓での時間が想像できるよう。

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フランス庭園をテーマにした風景の壁紙が覆い、ペルゴラのイメージで内装されていた食堂。天井にはトロンプルイユで空が描かれている。テーブルセッティング(photo:Sébastien Erras)も、19世紀の食器を並べて再現。

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食事が終わると、女性たちはグリーンの家具が並ぶ、寓話をテーマにした壁紙のサロンでおしゃべりし、男性たちはビリヤードに興じる。

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家具調度品はオークションで競り落としたり、あるいはフランス国有動産管理局で見つけたり。それゆえ今回の修復で買い集めた品の中には、ロイヤル・ファミリーに属していたという家具なども混じっているそうだ。

3フロアからなる家で、1階は玄関の左に台所(ブティックを兼ねている)、右手に食堂、サロン、ビリヤード・ルームと続くフロアだ。かつて家族の寝室が並んでいた2階は、今はカイユボット家の歴史を物語るフロアとなっている。ギュスターヴ・カイユボット、作曲家の弟、神父の兄についてそれぞれの部屋があり、庭に面した両親の寝室も家具を昔のように揃えて公開。なおギュスターヴ・カイユボットについては、彼が船のデザインにも情熱を燃やしていたことも紹介している。最上階、彼のアトリエだったスペースでは9月末まで、彼がイエールで描いた作品を10点近く展示中だ。イエールのこの敷地にインスパイアされて、彼が制作した絵画は90点近くあり、そのうち川やボートをテーマにしたものが20点くらいとか。『イエール川のカヌー』(1887)、『イエール川畔の釣り人』(1878)、『ボート漕ぎ』(1878)など、日本でもよく知られた作品ばかり。この時代のように、夏の週末は平底船あるいはカヌーでの川散策(30分、1時間コースあり。有料)が楽しめることだし、晴れた日、パリから日帰りでイエールへ行ってみよう。

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2階奥、両親の寝室の再現。ベッドの上のカーテンのドレープなども、当時の写真をもとに同じように。ベッドの向かい側、暖炉の上の壁がガラス張りというのはフランスの建築の歴史において珍しいそうだ。

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小規模だがカイユボット展を開催中。photo:Sébastien Erras

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ギュスターヴ・カイユボット作『Périssoires sur l’Yerres(イエール川のペリソワール)』(1877)© Ville de Yerres。彼が描いた灰色のパリと対照をなすように、イエールでは明るい光を感じさせる作品を多く残した。

Propriété Caillebotte(プロプリエテ・カイユボット)
8, rue de Concy
91330 Yerres
www.yerres.fr

カイユボットの家(3月15日〜11月1日オープン)
料金:8ユーロ
開)火〜日 14:00~18:30

敷地内公園(1月以外オープン)
入場無料
開)9:00〜21:00(7月)、9:00~20:00(8、9月)

réalisation:MARIKO OMURA

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