ヴィンテージの家具や古いオブジェ。好き!! が大集合したアパルトマン。

PARIS DECO

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ティフェーヌ・マンガン
Les Causeusesクリエーター

アンティークの壁紙やミニチュアで飾ったダンボールのドールハウスを作っていたティフェーヌ。幼女の心を持ち続ける彼女らしいインテリアで整えられたアパルトマンは、建物の最上階にあり採光にとても恵まれている。

ダブル・リビングルームの半分はダイニング・コーナーで、中央を大きなテーブルが占めている。日中、ここが彼女の仕事場だそうだ。残り半分はテレビを置き、その前に快適そうなソファを配したリビング・コーナーとなっている。50~60年代の家具が多く、白い壁や棚を飾るのも時代を経た品々だ。ティフェーヌは、両親のおかげで古い品を大切にする心を養われたという。

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ダイニング・コーナー。蚤の市やネットオークションで集めた家具やオブジェが大集合。

 

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左:リビング・コーナーの一角。白い壁に額縁の黒が映える。
右:ピンクやヴァイオレットがティフェーヌの好みの色。リビングのこのソファで、ディナーの後ご主人と映画鑑賞や読書で寛ぐ。

 

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ダイニング・コーナーの壁。ここはモノクロームにまとめられている。

 

「小さい時、週末になるとブロカント、ヴィッド・グルニエ(個人宅の不用品一掃)、競売などに両親に連れられて行ったの。今は私が2人の子供たちを連れて行く番よ。古いおもちゃとか何かしらお気に入りの品を掘り出すのを、ふたりとも楽しみにしているわ」

子供たちと一緒にティフェーヌもいろいろ見つけている様子で、ダブル・リビングルームの白い壁、低い家具の上にさまざまな愛らしいオブジェがたくさん飾られている。 小さな鏡が5ユーロだったり、子供部屋の椅子が2脚で1ユーロ……彼女は状態の良い古い品を見つけることが楽しみ。インテリアにはお金をかけるつもりはないそうだ。

「大きな家具などはebayなどのネットオークションで買っています。買う時には、いつもこれは後で売れるかな、って考えるのよ。50年代のテーブルなどはすぐに買い手がつきます。でも、量産ゆえに安い家具というのは、不要になっても引き取り手がいないので、逆に高くつくことになるでしょ」

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左:最近仲間入りしたツバメのオブジェはヴィッド・グルニエでの掘り出し品。額はロンドンに暮らしていた時代、ポートベロー・ロードにて購入した。
右:額、鏡、花……ティフェーヌが何かを買うときは、その品が持つポエジーに惹かれて、ということがほとんど。

 

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左:チーズ入れとして使っている陶器のバター入れは、この女性の魅力に一目惚れして購入した。ポートレート2点はロンドンのポートベロー・ロードにて、花の額はebayで入手。彼女にとって物の価値は価格より、その物が持つ魅力にかかっている。
右:リビング・コーナーの棚は自分でピンクに塗り替え、内側に壁紙を貼った。

 

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左:上の2点の鏡は地方のブロカント・ブティックで見つけたもので、新品だった。下の王冠はバスティーユのブロカントで見つけた古い品。フォルムのハーモニーがあれば、新旧のミックスも厭わない。
右:壁を飾るのは北欧製のイヤーズ・プレート。1枚割ってしまったそうだ。

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パリでは壁紙全盛時代。モチーフ好きのティフェーヌも、もしもここが持ち家だったら……と。

「このアパルトマンは借りているので、好きなようには壁紙を貼れないの。でも、リビングのテレビの後ろの壁に、板と細い棒でパネルを作ってそれに壁紙を貼ろうと思っているの。そうすれば、引っ越すときに持ち運べるでしょう。壁紙はもう選んであるのよ。ウィリアム・モリスの雌鹿の……すでに鹿の置物もあるし、最近買った昔の絵も鹿がモチーフ。これは偶然なのだけど、テレビの後ろには鹿の模様がいい! って思ってるの。この家に動物のアイテムが多いのは、私が子供の世界を愛してるせいでしょうね」

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左:リビングの書棚には本だけでなく、展覧会で買った絵ハガキ、家族の写真、オブジェなども。
右:子供の世界が好きなだけに、動物や花がテーマのオブジェが多く飾られている。

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左:キッチン。ティフェーヌが食事の準備をする間、子供たちはここで宿題をするそうだ。壁は家族のフォトギャラリー。
右:機能ばかり追求せず、キッチンにも古い肖像画を飾る。

 

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長男の部屋。お祭りの装飾を使って、陽気な雰囲気を作った。

 

このパネルのアイデアは、 夫妻の寝室のベッドのヘッドボードで、実はすでに実験ずみなのだという。使ったのはCole and Son社が扱っている、生い茂る葉の中に鍵が隠れているというフォルナセッティの壁紙。ティフェーヌはパネルにランプを仕込み、さらにベッドサイド・テーブルも手作りした。既製品の脚を使い、それに濃いグリーンの板を合わせ、さらに板の周囲にリボンを糊付け、というDIY。同じ壁紙を使い、サークル状の鏡も作ってみたそうだ。

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夫妻のベッドルーム。ベッドのヘッドボードとして、壁紙を貼ったパネルを置いた。引っ越すときはパネルごと持って行けるので、好きな壁紙と泣く泣く分かれるということにならない。

 

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左:壁紙にコーディネートしたベッドサイド・テーブルも自作。
右:鏡。棚を作って、機能性を持たせた。鍵を下げられるように、棚の下にフックを付け、玄関用の鏡に、というアイデアもある。

 

古い品が好き! 模様が好き! ……ティフェーヌはこのふたつを結びつける素晴らしいアイデアを思いつき、今年実行に移した。

「19世紀のとか古い布をフランスのあちこちで探してるのよ。すでにけっこうな量のコレクションとなっていて、そうした昔の布を古いソファに貼ったり、あるいはベンチのクッションにしたり……。そんなクリエーションをLes Causeuse(レ・コズーズ http://www.lescauseuses.fr)という名前で始めているのよ」

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左:ヴィンテージのテキスタイルを古い椅子のフレームと組み合わせて。
右:19世紀の布を使ったベンチ。ベンチは新しいものなので、布を違えて複数作れるという利点がある。彼女のサイト(http://www.lescauseuses.fr)で他の作品を見ることができる。

 

コズーズというのは二人がけの小さなソファで、おしゃべりな女性という意味もある。彼女が椅子などの布張りをしている友人と一緒にこのアイデアをスタートしたときに、デュオが対話するイメージが気に入ってコズーズと命名したというのが名前の由来だ。現在は彼女ひとりで続けているのだが、家具の名前でもあるし、客や実際に作業をするアルチザンとの対話という意味にも通じるので、とキープしている。オーダー・メイドが基本。現在椅子4脚の注文を受けているといって、アパルトマンの玄関前の廊下の一角に、古い椅子のフレームが積み上げられていた。

「19世紀の第二帝政時代の布は、とりわけモチーフが素晴らしいわね。気にいる布を見つけたときって、とにかく興奮してしまう。ただ、古い布には問題がひとつあるの。それは布の量が十分なことが少ないということね。いずれ、コレクションしている布からインスピレーションを得たテキスタイルの仕事をしたいと思ってるのよ。そして、それらを使ったオブジェをデザインすることを考えているわ」

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左:廊下の奥に、ティフェーヌが壁紙を周囲に貼ってリサイクルした古い家具があり、そこに布のコレクションを整理。
右:2007年のIKEAの布コレクションは古くはいけれど、黒地に鮮やかなプリントがとても気に入っている。
photos:Mariko OMURA

 

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ティフェーヌのコレクションから。何に使おうか……と考えるのが楽しみな、お気に入りの布たち。

大村真理子 Mariko Omura madame FIGARO japon
パリ支局長 東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏する。フリーエディターとして活動し、2006年より現職。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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