インテリアもファッションも 高級"リサイクル"

PARIS DECO

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Constance Rey/コンスタンス・レイ
デザイナー

インテリア・デザイナーだったコンスタンス。方向転換し、モードを学び、ブランドをスタートしようとしているところだ。 彼女が暮らすのはブローニュの森に面した16区のアパルトマンで、ゴールデン・レトリバーの愛犬ウォトカを散歩に連れて行くには、とても便利な立地である。

「1950年頃の建築だと思うわ、この建物。私はこのアパルトマンで生まれ、育ったのよ。結婚のため数年間留守にしたけれど、最近両親に代わって、私と夫と6歳の長男がここで暮らすようになったの。素晴らしいし環境で、この広いアパルトマンを全部私たちの自由にできる、というのは本当に幸運なことね」

若いカップルである。予算がないので、アパルトマンの間取りに手をつけることはしなかった。家具やオブジェは、蚤の市で見つけたり、あるいは両親から譲り受けたりと、リサイクル品が多い。とはいえ、コンスタンスはモダン嗜好なので、家の中が過去の古臭さを帯びてしまわないよう、気をつけている。

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左:すっきりとしたキッチンの中に、家族が食事できるようテーブルと椅子を配置。
右:ベランダの植木、リビング・ルームの盆栽など、コンスタンスは植物の面倒を見ることを楽しみにしている。キッチンにも、窓の内と外にグリーンを置いている。

「例えばキッチン。ここはペンキを塗りなおし、ドアを替えて……。 私は物が溢れてる、という眺めが嫌い。マニアックで、それに機能的であることが好きなので、すべて清潔でクリアでなければ。それで作業台を新しくして、調理台の後ろの壁と床は大理石のトロンプロイユにしたの。テーブルは本物のビストロ・テーブルで、椅子は学校で使われていた物。どちらも蚤の市で探したのよ。仕事柄、蚤の市にはよく行くわ」

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左:キッチン前の廊下がウォトカの居場所。古いラジオは最近e-bayで購入したもので、玄関のバッグ置き場として活用している。古ぼけた音で今のラジオ番組が聞けるのはなかなか面白いとか。
右:蚤の市での掘り出し品を、リビング・ルームの一角に置いて。

モード学校に通う前から、自分の手を使って何かを作ること、表現することが好きだったコンスタンス。小さい頃は祖母から刺繍を習い、ミシンも使えるようになり、その後は絵画や陶芸……。今は彼女が息子のガブリエルにそうしたことを伝えているそうだ。

「寝室のカーテンやクッションは、マルシェ・サン・ピエールの布地屋で買った生地で自分で作ったわ。あ、ベッドカバーも。ランプシェードも、あるとき思い立ってローラーでグアッシュを塗ったのよ。私が撮影した写真も飾っているけど、この部屋のインテリアには友達の仕事もひと役買っているの。例えば、壁にかけているのは 写真を立体にするコンセプトを思いついた友人が始めたAtelier Reliefの作品。インドのカラーフェスティバルに行った友人が撮影した素晴らしい写真、とか」

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左:寝室のランプ。グラフィックなモチーフはコンスタンスがシェードに描いた。
右:クッション、ベッドカバーも彼女のお手製。

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左:ベルナール・ビュフェの絵画、写真、19世紀の鏡……寝室は思い出のある品々で満たされている。
右:肘掛椅子を古いシーツで覆っている。壁には友人が撮影した写真を掛けて。

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寝室。白い壁を活用し、コレクションしている蝶の額、ベルギーで友人が始めた新しいコンセプトの作品をアートギャラリーのように飾っている。

西向きで朝日は入らないけれど、音楽を聞いたり、ごろごろと過ごす時間が快適だという寝室。ここはファミリーの部屋ともいえる。コンスタンスの父親の肘掛け椅子、ご主人の祖母が使っていたタンス、叔父の描いた絵画、親戚の船乗りが持っていた海洋地図、祖父の家にあった19世紀の鏡、母が使っていたクロス……。

森に面して広いバルコニーがあるリビング・ルームは、アパルトマンのかなりのスペースを占めている。壁を飾るのは、彼女がコレクションしているアフリカ・アートやご主人がコレクションしているギター。家具は時代もタイプもさまざまで、彼女はミックスを楽しんでいるという。

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リビング・ルーム。向かいにはブローニュの森の眺めが広がる。奥まった小さなスペースにコンスタンスはアトリエを設けた。

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左:音楽好きのご主人が持つレコードのコレクションを収める家具はコンスタンスがデザインし、木工職人に作らせた。
右:ご主人のギターのコレクションと彼女のアフリカのオブジェのコレクション。

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左:リビング・ルーム。後方に見えるのは廊下の書棚。コンスタンスはこのソファで読書を楽しむ。
右:書棚の一角。彼女の父親は、ロープを使ったアート作品を制作していた時期があるそうだ。

その奥にある小さなスペースが、ブランドをスタートするという彼女のアトリエだ。壁の一面が淡い茶色の鏡張りで、それに調和するように椅子もテーブルも60年代風でここはまとめられている。

「壁を鏡張りにしたのは両親。この鏡、少し色がついてるので、空間に温かみが生まれていいわね。それに服の仕事に鏡が必要なので、これはキープしているの。この鏡には外の景色が映り込むのよ。私が子供のころから知っている、この自然。特にこの家から見える夕暮れの西の空はとても美しくって、毎日飽きずに眺めてしまう。数年間ここから離れて暮らしてるとき寂しかったのは、この日没の景色がみられなかったことよ」

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左:茶系の鏡が壁を覆うアトリエ。
右:カミーユ・クローデルにインスパイアされたコレクションを準備中。

コンスタンスは、家の中で物を動かしたり、布を替えたりして、インテリアを頻繁につくりかえるそうだ。幸い地下の倉庫が広いので、使わない家具やオブジェは保管するか、あるいはe-bayで売ったり、知り合いにプレゼントしたりで、模様替えをする。変化が必要なのだという。目下は、カミーユ・クローデルからのインスピレーションによる11点のコレクションの準備に忙しい。

「カミーユの伝記を読んだことがきっかけね。彼女の世界にすっかり入り込んで……大きなインスピレーション源は彼女の白い作業着。物語のある、アルチザナルな仕事をしたいと思ってるの」

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左:整理整頓好きの彼女。ガラス容器に布や小物入れに。
右:フィリップ・スタルクの椅子を60年代のガラスのテーブルに合わせて使用。

母親が雑誌Jour de France のファッション・ジャーナリストだったことから、小さいときからモードはコンスタンスの慣れ親しんだ世界。さまざまなビッグメゾンから贈られた素晴らしい服を持っていた母親のワードローブからコンスタンスに譲られた品も少なくない。

「例えば、サンローランのスモーキングとか。でも、ママはとっても小柄だったので、私はジャケットしか着られないの。パンタロンは短すぎて……これはすごいフラストレーションね! 今日のスカートもママのお下がり。セーターはデパートのBHVで見つけた、Mo and Coという新しいブランドのもの。ダイナミックな色が気に入って買ったのだけど、着心地もすごくいいのよ。蚤の市や古着屋で掘り出した服もたくさん持ってるわ」

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左:アトリエ。コレクションのインスピレーションを壁に。
右:スカートはファッション・ジャーナリストだったママのお下がり。

大村真理子 Mariko Omura
madame FIGARO japon パリ支局長
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏する。フリーエディターとして活動し、2006年より現職。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

photos:Mariko Omura

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