フルーツジュースは1日1杯まで。その理由とは？

フルーツジュースは食物繊維に乏しく、糖分が多い。あなたが想像しているほど健康的な飲み物ではない。5月に発表されたアメリカの最新研究によると、1日1杯を超えてはならないという。ふたりの栄養学の専門家がその理由を説明する。

フルーツジュースは自家製であろうと市販であろうと、あなたが想像しているほど健康的ではない。Photo : Getty Images

果物を食べる時間や食欲がないからといってジュースを飲み、フランスの国民健康栄養プログラム（Programme national nutrition sante：PNNS）の推奨を考慮し「1日に5つの果物と野菜を食べよう」と心がける……これは間違った考えだ。

自家製ジュースだとしても、生の状態で食べる果物と同等の恩恵を受けることはできない。そして多くの場合、特に市販のフルーツジュースにはソーダと同じくらい糖分が含まれる。

5月17日、医学雑誌「Jama Network Open」に発表された米国で行われた最新の研究は、1日1杯以上フルーツジュースを飲むと身体に害があるということを示唆した。研究者らは1日あたり2杯消費すると死亡率が11％増加する可能性があると発見した。これらの研究は、フランスの公衆衛生局の現在の勧告を認める一方、フルーツジュースは節度をもって適切な量を消費することがなぜ重要なのかについて説明している。

果物が持つ多くの効果が失われてしまう

果物はビタミン、ミネラル、フルクトース（果糖）、そして食物繊維が豊富である。しかしジュースになると果物は変化し、栄養豊富で身体によい大部分を失ってしまう。

「最大の損失は食物繊維です。繊維は腸内輸送が適切に行われるのに役立ち、免疫を刺激し、コレステロールの一部を排除する働きがあるのです。また、心血管系に必要なポリフェノール（酸化防止剤）やカロチノイド（酸化防止剤）も含まれています」と、ボーヴェ市にあるラサール・ボーヴェ工科大学（UniLaSalle）で調理と健康に関する研究を行うフェリペ・ポイヤール博士は述べる。

ジュースには、水、大量の砂糖、そしてビタミンとミネラルが含まれる。ジュースは作った直後に飲まなければ、ビタミンとミネラルはすぐに酸化し、蒸発してしまう。「たとえそれが新鮮な自家製ジュースであっても、1時間以内に飲まなければいけません。そうでないと、それは砂糖だけの飲み物になってしまうでしょう」とポイヤール博士は言う。

さらに驚くことに、コップ1杯のフルーツジュースは果物と同等ではない。80〜100mlのジュースを作るためには平均してふたつのオレンジが必要である。また市販のジュースに関しては、「およそ4〜5個のオレンジを含んでいます。するともっと大量にフルクトースを消費します」とパリ在住の栄養士、オリヴィエ・セップス氏は言う。「フルクトース、いわゆる果糖は身体の天然燃料です。しかし、それを大量に消費すると（1日当たり25 g以上）、それは脂肪に変わり、身体に蓄えられてしまいます」と、同氏は続ける。

果物がジュースやコンポートに変化した時、私たちは噛むことをしない、ということを忘れないでほしい。消化器系の働きを活発にして満腹感を得るためには、咀嚼が不可欠だ。さらに、「食物を噛むと血糖値が低くなります」とセップス氏は補足する。ポイヤール博士は「ジュースを1歳未満の子どもには与えないでください。また、子どもは1日100ml、大人は200mlまでに控えましょう」と推奨する。

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市販のジュースはもっと悪い

フランスには「ピュアジュース」、「濃縮タイプ」、「ネクター（果実をすり潰して作ったもの）ベース」の3種類のジュースが存在する。これらの中身は根本的に異なる。

ポイヤール博士によると、「ピュアジュース」は圧搾した果汁のみで構成されている。「濃縮タイプは、輸送を可能にするために凍結し、水で希釈されている。その工程でビタミンの大部分は失われ、ビタミンが添加されることはほとんどありません」と博士は説明する。フランスにおいて、この2種類のジュースに砂糖を添加することは禁じられている。「一方、ネクターベースのジュースは、水、砂糖、増粘剤を混ぜ合わせています。そして結局のところ、果物はほとんど含まれていません」と警告する。

もし選択の余地がなければ、冷蔵保存タイプの「ピュアジュース」を選ぼう。 「ピュアジュースは90度で15秒しか加熱されておらず、ビタミンの損失は深刻ではありません。一方、室温で販売されているジュースは、ビタミンが失われ、製造業者はビタミンを添加しなければなりません。しかし、必ずしもビタミンが添加されているわけではありません」とポイヤール博士は述べる。

この点を確認するためにはビタミンが含まれているかどうか、容器を見て確認しよう。「たとえピュアジュースであっても、市販品のジュースはすべて保存処理が行われ、加工されています」とセップス氏は警鐘を鳴らす。近所で買った新鮮なオレンジよりおいしいものはない。

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