香りで感じる、南仏プロヴァンスの心地よい暮らし。

Beauty 2019.11.21

降り注ぐ太陽、地中海から吹く風、大地を彩る果実や花々……南フランス・プロヴァンスの豊かな自然をインスピレーション源に誕生したフレグランスブランド「パルファム ドゥ ラ バスティード」が、この秋日本に初上陸。公式オンラインショップ、一部店舗での取り扱いがスタートした。できる限りの天然香料を使ったナチュラルな処方の香水とホームフレグランスは、日常に寄り添う心地よさでありながら、私たちの肌や空間に洗練をもたらしてくれる。来日したブランド創業者のウィリアム・ブエレとアンーセシル・ヴィダルに、製品づくりのこだわりを聞いた。

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オードパルファムのボトルは、テラコッタオレンジのキャップが目を引くシンプルなデザイン。

―― 「パルファム ドゥ ラ バスティード」を立ち上げたきっかけについて、教えてください。

ウィリアム・ブエレ(以下、W):以前はパリやシンガポール、香港、イタリア……海外のいろいろな地に赴任して忙しい日々を送っていました。50歳になった頃、その忙しさにハッとして「ゆったりした生活を送ろう」と決めた時に、プロヴァンスが思い浮かんだのです。プロヴァンスの魅力や人生の素晴らしさを、最高の職人による上質な香りで伝えたいと。

アンーセシル・ヴィダル(以下、A):私はパリにいたのですが、大都会に暮らしていることにフラストレーションを感じていました。観光客としてよくプロヴァンスを訪れていましたが、山もあれば海もあり、景色が多様性に富んでいて歴史的建造物もある。またペタンクが盛んな友情の土地でもありますね。人々がゆったりしていて、開放的なんです。そういったところも含めて、プロヴァンスが大好きでした。

―― プロヴァンスの植物がインスピレーションとなっている香り、調香師とはどのようなコミュニケーションをとって創り上げているのですか?

A:香りを創り始める前に、私たちはまずプロヴァンス中を旅します。森やラベンダー畑、花畑を訪れ、植物の香りを嗅いで、それを育てている人たちに実際に会い、話を聞くのです。そして香りの軸となる素材を選んだら、イメージをしっかり固めて、ファッションの世界でいうイメージボードのようなものを調香師に渡し、説明をします。畑で植物を栽培している様子やその土地の風景、そしてどういう香りにしたいのかが正確に伝わるよう、たくさんの言葉も添えて。調香は、天然香料の分野の第一人者であるロベルテ社にお願いしているのですが、誰かひとりが担当するわけではなく、複数の調香師にブリーフィングを行い、その説明にピンときた人が香りを創ってくれるんです。その中で、私たちのオーダーを一発で理解してくださった調香師の香りを採用しています。

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アンーセシル・ヴィダル
ボン・マルシェのバイヤー、ラグジュアリーブランドでのマーケティングなどを手がけた後、2014年パルファム ドゥ ラ バスティードの共同設立者兼最高業務責任者に。おもにブランドのクリエイティブ面を担当。 

―― 香りの調整は行わないのですか?

A:幸いなことに、いままで変更のオーダーはしたことがないんです。いつも複数の調香師が香りを提案してくれて、その中に、私たちのフィーリングとぴったり合う香りが必ずあるので。

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―― どのフレグランスも、植物そのもののピュアな香りを感じられるのが魅力ですね。

W:3ツ星レストランのシェフは、いい素材に出合ったら、その素材のいちばん良いところを引き出す方法を考えますよね? 私たちも、植物の持つ素晴らしい香りを引き出すことを最優先します。ただし、主役の植物がありながらも、全体的な調和やバランスも大切にしています。

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ウィリアム・ブエレ
フレグランスブランドのエグゼクティブとしての多忙な生活の後、職人的な小規模ブランドの立ち上げを決意し、2014年、パルファム ドゥ ラ バスティードの共同設立者兼社長に。現在はエクス=アン=プロヴァンスの北に位置するルベロンの町に暮らし、自宅でオリーブやラベンダーも栽培中。

―― ところで、オードパルファムのネーミングが「アンスシアン<楽観的>」「アンソリット<不思議>」などユニークですが、どんなふうに名付けているのですか?

A:たとえば「アンスシアン<楽観的>」はグラースのバラがインスピレーションなのですが、ストレスがなく、余計なことに悩んだりしない、ゆったり生きている女性のようなイメージ。毎日“気軽につけられる香り”、という意味合いを持たせています。「アンソリット<不思議>」は、特異な、ほかにはない、常識外れ、といった言葉です。悪い意味ではなく、使っているラベンダーが山間部でしか育たない希少な種類のもので、香りが非常に強いので、それをコントロールするのが調香師にとっても難しいんです。ほかの植物の香りを打ち消さず、うまくバランスをとれたということでアンソリットという名前をつけました。こんなふうに、香りのキーワードがネーミングに反映されています。

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左:グラースのローズ・ドゥ・メが主役になった、ピンクシャンパンのように生き生きとフレッシュな香り。パルファム ドゥ ラ バスティード アンスシアン オードパルファム 100ml ¥13,750 右:アロマティックなラベンダーに、ウッディノートが得も言われぬ深みを添える。パルファム ドゥ ラ バスティード アンソリット オードパルファム 100ml ¥13,750/ともにブルーベル・ジャパン

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―― そのイメージを想像しながら使うと、いっそう楽しめそうですね。ホームフレグランスには、どんなこだわりが秘められているのでしょうか?

A:ホームフレグランスはオードパルファムとはまったく別の香りにしています。それは、肌につける香水が個人的なものであるのに対して、家の中で香るものは、万人に受け入れられるものにしたいからです。

W:香水はつける人の肌との相性があって、トップ、ミドル、ラストと変化していきますよね。でもホームフレグランスはずっと同じ香りでなくてはならないし、最初に家に入ってきた時には「いい香り」と感じても、そのうちなじんで、ごはんを食べる時などでも気にならない、そんな香りにしたいと思いました。

A:通常のフレグランスキャンドルはロウの種類が最初に決まっていて、そこに香りを混ぜて創っているものが多いんですが、私たちのキャンドルは、職人たちがそれぞれの香りに合わせてロウの調合を行っています。香りの広がりが最適になるように、ゆっくりと燃えるよう計算して。流し込みも機械ではなく手作業で行っているんですよ。

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リュベロン地方アプトで出合った、マンダリンオレンジの砂糖漬けにインスピレーションを得た香り。柑橘の爽やかさに穏やかな甘さを加えて。左:パルファム ドゥ ラ バスティード エコルス ドゥ マンダリン キャンドル 190g ¥8,030、右:同 ホームスプレー 100ml ¥4,950/ともにブルーベル・ジャパン

―― 香りを最大限に楽しむために、使い方のコツはありますか?

W:キャンドルは火を灯してから香りが広がるまで少し時間がかかるので、まず空間にスプレーをした後に、キャンドルの香り立ちをゆっくり楽しむのがいいと思います。また、ラベンダーのスプレーなどは、寝る1~2時間前に枕やシーツにシュッとしておくと、リラックス効果が得られていいですよ。

A:キャンドルを長く楽しむには、表面のロウが液状になるまでは火を消さないこと、毎回芯を切り詰めて使うようにすること。そうすれば、合計50時間くらいは楽しめます。

―― ブランドを立ち上げたことで、プロヴァンスへの視点に変化は生まれましたか?

A:もはや、私たちの一部だ!という気分ですね(笑)。

W:プロヴァンスの職人たちと手を取り合って仕事をしているので、彼らを日本に紹介できることを誇りに思います。彼らも日本で製品を使ってもらえることを喜んでいるので、ぜひ楽しんでくださいね。

●問い合わせ先:
ブルーベル・ジャパン株式会社 香水・化粧品事業本部
0120-005-130(フリーダイヤル 受付時間10時~16時)
www.latelierdesparfums.jp/brands/parfums-de-la-bastide

※ 商品の価格は、標準税率10%の消費税を含んだ価格となります。

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