たばこをやめると体重は増える?

Beauty 2020.06.18

たばこをやめても体重増加を逃れることはできるだろうか? その疑問について解説しよう。

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たばこをやめた後、体重増加は回避できるのだろうか? photo : iStock

つい最近たばこをやめたという人は少なくないだろう。5月に発表されたフランス公衆衛生局の年次指標によると、2000年代以降、フランスで前例のない規模で喫煙が減少していることがわかった。この現象は18年から19年にかけて女性の間で特に顕著に見られ、喫煙者数(毎日喫煙する、または時々吸う)が28.9%から26.5%に減少している。

もしあなたがいまも喫煙をしているとしても、禁煙について真剣に考えたことはあるのではないだろうか。禁煙するとたばこが恋しくなるのが心配なだけでなく、体重が増えてしまうことも不安要因に違いない。たばこに詳しい栄養学者のアナヒタ・モタジ氏は、自身の経験を通じ、このことが「喫煙をやめた女性が再びたばこを吸い始める主な原因」であると考える。しかし、たばこに再び手を伸ばしてしまう罠は本当に存在するのだろうか? そして私たちはその難題を乗り越えられるのだろうか? 禁断の果実を再び手にする前に、いくつか実践すべきことを紹介しよう。

体重増加は体系的ではないが、非常に一般的

まず知っておきたいことは、致命的な体重増加はないということ。専門家たちによると、体重増加は体系的ではなく、「喫煙者の3分の1は体重が増加せず、5%の人は少し体重が減る」とinfo-service.fr(タバコに関する情報サイト)には書かれている。しかしながら実際のところは、体重の増加が気になる場合には歩く量を増やさなければならず、禁煙は困難を極める。

禁煙にチャレンジする期間、いくつかのファクターによって体重増加が起こり得ることを心に留めておこう。12年に科学雑誌「British Medical Journal」に発表された精神医学と中毒学の専門家であるアンリ=ジャン・オーバン教授が実施した仏英の共同研究では、症例の80%が禁煙後、体重が 平均1.8キロ〜2.3キロ増加したという。10人に1人は、10キロ以上の体重増加になることがある。研究によると、最も危険にさらされるのは1日あたり15本以上のタバコを消費し、運動量が少なく、体重が軽めで、または食事制限をしている女性だ。

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ニコチンがもたらす悪影響

“一部の人は食事を控えるのが難しく感じるでしょう” ――アナヒタ・モタジ氏(栄養士)

禁煙したいと思う誰もがさらされる、体重増加のリスクを知るためには、まずたばこの身体や心への作用、そしてニコチンがもたらす影響について知らなければならない。第一に、「ニコチンは基礎代謝を増加させる傾向があります。つまり、喫煙者は非喫煙者に比べてより多くのカロリーを消費するのです」とたばこの専門家であるダヴィッド・ヤウシ氏は述べる。次に何が起こるか? 答えはとてもシンプルだ。ニコチンが体内から消えると、喫煙者は消費するカロリーが少なくなる。そして食生活や運動量を変えなければ、体重が増える。

次に、ニコチンは私たちの脳、特に特定の神経伝達物質に作用する。「ニコチンはドーパミン(喜び、動機のホルモン)、ノルアドレナリン(集中、記憶のホルモン)、そして最後にセロトニン(静穏のホルモン)を刺激します。たばこをやめるとドーパミンによる刺激が減り、何かしら食べたくなる衝動に駆られます。また、セロトニンの分泌量が減って、イライラしやすくなり、甘いお菓子が食べたくなります」と栄養士でタバコに詳しいローレンス・ベネデッティ博士は説明する。

日常生活において、喫煙者はおそらく意識することはないものの、たばこは食欲抑制剤となっているのだ。「たとえば、午前11時に軽食を摂る代わりに一部の人は喫煙します。それらの人々がたばこをやめると、食事を控えるのが困難になり、体重増加に繋がる可能性があります」とたばこに詳しい栄養士のアナヒタ・モタジ氏は付け加える。

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味の再発見

“食欲が増します” ――ダヴィッド・ヤウシ氏(たばこの専門家)

体重増加のそのほかの原因を知るうえで、私たちは喫煙した結果起こることに注目すべきだ。たとえば、たばこはゆっくりと、そして確実に私たちの味覚を鈍化させる。しかし、うれしいことに禁煙して数日で味覚は戻る。ただし、ヤウシ氏は「私たちはいっそうおいしさを再発見し、ついつい食べすぎてしまいます」と言う。たばこは喫煙者にとって精神的な支え、儀式、無意識的な行為であることは忘れてはいけない。「喫煙という行為はたばこによって課される毎日のリズムのようなものです。 たばこをやめることは不安をもたらします。そういった習慣の行為がなくなると、間食によって心の隙間を埋めたくなるのかもしれません」と同氏は付け加える。

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喫煙の悪影響を最小にするための方法

当然のことながら、たばこをやめた後の体重増加の影響は、男性と女性では同じではない。女性は筋肉の量もカロリー消費量も男性に比べて少ない。その結果、男性よりも対価が大きい。また、たばこをどのくらいの量吸っていたかによっても影響が異なる。量が少なければ少ないほど、太る心配も減る。とはいえ、専門家たちは体重増加から身を守ることは可能だという。ヤウシ氏によると、ゴールへのイメージと周りによるサポートを準備しておくことが重要だという。

また、ニコチン不足によってしばしば体重が増加することも知っておこう。栄養士のモタジ氏は、「自分自身、そして食事を摂る時の感覚をしっかり観察することが重要です。空腹感が高まっているかどうか、禁煙するにあたって問題が起こっているかどうか、間食をしているかどうかを自らチェックしましょう。食事中は、時間をかけてゆっくり食べましょう。また、人生の喜びについても意識してみましょう。喫煙が唯一の喜びになっているとしたら、ほかのことを見つけなければいけません」と述べる。

もちろん、運動は不可欠だ。普段から運動するタイプでない場合には、激しい運動をする必要はないし、難しい課題をこなす必要もない。重要なのは、できるだけ歩いたり、自転車で仕事に行ったりと、身体を動かすことである。

食事に関しては3食しっかり食べて、間食は控えることだ。食材は慎重に選び、栄養価の高いものをるように心がけて身体を満たそう。「精製された砂糖の摂取はできるかぎり避け、食物繊維から栄養を得るためにホールフードを摂取するように心がけましょう」とローレンス・ベネデッティ博士は語る。また同氏は、水をたっぷり飲むことを推奨する。水にはマグネシウムが豊富に含まれ、気分を安定させてくれるからだ。

最後に、食事を生体リズムに合わせるように心がけよう。ベネデッティ博士は次のように結論づける。「ドーパミンは昼近くに減少するので、私たちは間食したくなります。これに対抗するため、朝食時にタンパク質を摂りましょう。午後の後半には、セロトニン(静穏のホルモン)が低下するため、乳製品と新鮮な果物の軽食を摂るとよいでしょう」

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texte : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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