街歩きと自然の中でのウォーキング、身体にいいのはどっち?

Beauty 2021.03.02

ウォーキングが健康にいいことは、いまさら言うまでもない。ただ、歩く場所が街中だったら? 自然の中を歩くのと同じメリットがあると言えるのだろうか。専門家の意見を聞いてみよう。

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都会でのウォーキングは、自然の中を歩くのと同じ効果がある? 専門家たちの答え。 photo : iStock

テレワークや外出禁止令が日常になったいま、ウォーキングは、外の空気を吸って普段の息苦しさから抜け出す究極の手段。週末はこうやって息抜きへとスイッチを切り替える。気分を変えて、さあ歩こう………ただし、歩くのは、我々都会っ子の暮らすアスファルトの道路だ。

そこで、こんな疑問が浮かんでくる。大都会を歩くことは、大自然を歩くのと同じくらい身体にいいといえるのだろうか。緑の大地とはほど遠い、野山でもなく静けさとも縁遠い、そんな場所で、歩いても効果がないのではないだろうか、と。

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ウォーキングはなんであっても効果抜群

効果がない? いやいや、もちろんそんなことはありません、と専門家たちは口を揃える。「ウォーキングは、どこを歩くのであっても癒しの効果があります。最初の10分ぐらいから、さっそく人は安らぎと自尊心を感じます。そのあともずっと、その状態が続きます」。そう力説するのは精神科医のミッシェル・ルジョワイユ(1)。

心臓疾患の専門医であるミュリエル・ビゴによると、都会を歩くほうが身体によいという。理由はシンプル。都会の生活では、よりダイナミックなリズムが必要になるからだ。「効果的で、引きこもりがちな生活から生まれるリスクを減らすためには、トニックでアクティブなウォーキングが必要です。努力は、しなければどんどんできなくなっていきます。しかし、どの程度の負荷に耐えられるかは、寿命に大きく関わっているのです」

「忘れてはならないことは、ウォーキングが最もナチュラルな治療法だということです」。そう話すのは『ウォーキングで治す』(2)という著書がある精神科医のエリック・グリエ。つまり、どんな場所でもいい。大切なのは、歩くという行為なのだ。歩くことの健康への貢献度は都会というハンデをゼロにする、と、グリエは強調する。「ウォーキングは、肥満、糖尿病といった慢性疾患やメタボリック症候群の予防にもってこいなのです。炎症を抑える効果もある。心臓血管系の病気を防ぐのにも役に立ちます」

もちろん大自然の景観は都会より素晴らしい。「自然は身体にいいだけではなく、心にも良い影響を与えます」とエリック・グリエ医師。遠出をすると、私たちは美しい森や自然に心が満たされ、達成感も感じるものです」

ただ、場所が都会だからといって、それがゼロになるわけではなかろう。街中にも探せば美しい場所はたくさんあるというものだ。

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大気汚染……多少とも、いたるところにある

大気汚染についてはどうなのだろう。もちろん、都会は大自然より空気が悪く、とくに冬は汚染が気になる季節だ。「このシーズンは主に自動車、暖房、そして周辺地域の農薬散布の3つが問題になります」、国立科学研究所所長のカティ・クレルボーはこう説明する。彼女の仕事は、人間の活動が大気の成分にどんな悪影響を与えるかをチェックすること。大都会では、この3つの条件が重なる3月ごろに大気汚染のピークを迎えるという。

ただし、田舎なら空気がいいと思うのは、いささか早とちりというものだ。「肥料の散布に伴ってアンモニアが空気中で微粒子状となり、たいへんな汚染源となっています」とカティ・クレルボーは力説する。「さらに夏にはオゾンが非常に広範囲に移動して、田園地域まで広がります」とも話す。

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都会で、賢く歩こう

では、都会でウォーキングを楽しむなら、公園や庭園の方が良いのだろうか。「そんな単純な話ではありません」と言うのは、環境技師のローラ・ヴェルデイエ。「公園などの都会の緑地は汚染源に近すぎて、それほどの違いはないでしょう」 

では周辺の森はどうだろう。ヴェルディエいわく、「都会では、人とともに有害な微粒子が運ばれ、広い範囲を覆います。パリのブローニュやヴァンセンヌの森でも、空気は汚れています」

都会での大気汚染の弊害、つまり心血管や呼吸器系の疾患をできるだけ避けるには、いくつかのシンプルな約束事を守るといい。例えば、交通渋滞のピークの時間帯に何時間も歩くのは避ける。都会の汚染が絶対的に少ない日、つまりは日曜日を選んで歩く、など。こうしたポイントを心にとめて、都会でのウォーキングを楽しもう。

(1) Michel Lejoyeux 著  « Les 4 temps de la renaissance » Editions JC Latès 刊
(2)Eric Griez 著« Guérir par la marche »Editions Eyrolles刊

texte : Kassandre Fradelin (madame.lefigaro.fr)

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