【35歳の卵子凍結】いざ、病院探し......でも情報がない!

Beauty 2021.09.10

20代半ばで多嚢胞性卵巣症候群と診断され、妊娠しにくい体質だと判明したAさんは、35歳になったことを機に卵子凍結を決心した。

>>35歳・独身の私が、卵子凍結に踏み切るまで。

「35歳を過ぎると高齢出産になるのは、卵子の老化が加速するからです。私はその時点で結婚を考えられるパートナーがいなかった。だからといって焦ってパートナーを探してもうまくいかない。さらにコロナ禍でパートナー選びは困難な状況になってしまった。そんな私にいまできることは卵子凍結だと思ったんです」
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Aさんの場合、パートナー選びには不妊治療に協力的な男性というハードルが課せられる。
「自然妊娠じゃないと子どもはつくりたくない、という人とはパートナーシップは結べない。セックスと子づくりを別に考えてくれる人が理想です。不妊治療が前提であれば、卵子凍結をしても差し支えないのではと思ったんです」

卵子凍結は、排卵誘発剤を用いて数個の卵胞を育て、採卵するところまでは不妊治療と同じ手順を踏む。Aさんも、パートナーがいれば凍結はせず、不妊治療をしていただろうと言う。
「パートナーがいる場合は、相手の男性が不妊治療に対して協力的か、というところから探っていかなくてはいけない。夫婦でも、まずそこでつまずいて悩んでいるという話も聞きます。それに比べて私はすべてひとりで決められる。35歳をひとつの区切りにしていたので1日でも早い方がいいと思い、躊躇はありませんでした」

決断は早かったものの、卵子凍結についての情報が少なかったのも事実だ。
「まずはかかりつけの婦人科医に相談しましたが、あまりいい顔はされませんでした。卵子凍結よりもパートナーを探すべき、保険適応外の施術で高額なのに必ずしも受精や妊娠にいたるとは限らない、だから積極的には勧められないと」

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photo:iStock

医者の言うことはもっともだったが、Aさんはそれをすべて承知のうえで決断した。
「それまで多嚢胞性卵巣症候群の治療で通っていた婦人科のお医者様は、卵子凍結に関しては専門外だと。インターネットで調べても体験者の声もほとんどなく、決め手に欠ける。圧倒的に情報量が不足していました」

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技術力と経験値の高さが、病院選びの決め手。

決断から病院選びに3~4カ月を費やしたというAさん。最終的に選んだ杉山産婦人科(東京都新宿区)は、そこで不妊治療を行っていた友人の話を聞いたことがきっかけだった。自宅や仕事先からも比較的通いやすい。
「“卵子凍結”で検索すると上位に表示される病院のひとつです。私は20代から婦人科に通っていたので、自分の身体に対する知識もあったし、精神的な覚悟もできていた。判断基準としては、悩みを相談できる病院よりも技術力の高さを優先して探しました。卵子凍結というのは高度生殖医療で、結果重視なところがある。杉山産婦人科は、全国的にも経験値の高い病院であることが決め手となりました」

病院が決まるとそれからはトントン拍子に進んだ。
「予約を入れて初診で意思表明すると、もうその日に事前に行うべき検査をし¥34,000ほど払いました。次は生理開始3日後に来てくださいねと言われると、もうためらっている暇はありません」

杉山産婦人科では初診時にまず医師から卵子凍結に関する説明を受けた後、患者自身が後日どうしたいかを判断してから再診することもできる。ほかにも卵子凍結については現在、選択的卵子凍結サービスを行うグレイスバンクなどで定期的に説明会が開催されているので、事前にある程度の情報を調べてから来院するとスムースだ。Aさんの場合は事前にある程度卵子凍結の実情などを調べており、心構えもできていたので、病院を決めてからはすぐに受診することにした。必ず妊娠できるわけではないと認識したうえで、それでもいまできる最大限のことをやっておきたい、というのがAさんの心情だった。

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気になる金額の問題だが、Aさんは大まかに¥1,000,000の予算を組んだという。「病院のホームページなどを見ると、卵子凍結にかかる費用は総額で¥400,000くらいと掲載されている。私はアクシデントなども想定して多めに見積もっておきました」。コロナ禍で出費が減ったことも追い風になったという。「高い服やバッグを買う気分でもなく、旅行もままならない。独身で金銭的に余裕があったのも大きいかもしれません」。仕事を持つ女性が治療を進めるうえで、コロナ禍のステイホーム状況は奇しくもありがたい方向に作用したという。

次回は実際の治療の様子をリポートする。

【卵子凍結を行う際の検査】

卵子凍結を行うと決めたら、来院して超音波検査(経膣エコー)と血液検査で卵巣やホルモン状態をチェックする。経腟エコーでは卵巣の状態を確認、血液検査ではFSH(卵胞の発育に必要なホルモン)やAMH(発育途上にある卵胞から分泌されるホルモン)などの値によってどんな刺激(誘発)方法が適切かなどの目安とされる。杉山産婦人科では、初診料¥20,000に加え、これらの検査料約¥14,000ほどを初回に支払う。なお、誘発期間(採卵周期)中も来院の際には、卵胞の成長などを確認するためにこのふたつの検査が行なわれる。ただし、これらの検査が妊娠の可否を決めるものではない。

【グレイスバンク】

卵子凍結を行うクリニックと提携し、採卵・凍結した卵子を一括して保管庫に輸送し、体外受精を必要とする時までの保管を担う。妊孕(妊娠するために必要な能力)の喪失が差し迫っていない女性が、ライフプランのために卵子凍結を選択できる社会インフラの整備を目指して、2021年2月に開設された。安全性を担保しながらコストを大幅に削減することで、長期的な管理体制を目指す。21年9月現在は杉山産婦人科をはじめ11のクリニックと提携しており、今後は全国的にネットワークを拡大する予定。https://gracebank.jp
Aさん
都内在住の35歳、会社員。新卒から勤務する会社に在席して14年目。順調にキャリアを重ねている。学生時代から何人か交際した男性はいるものの、現在まで独身。サバサバした性格と面倒見のよさで周囲からは頼りにされる存在。趣味は読書と映画鑑賞。

 

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cooperation: Rikikazu Sugiyama(Sugiyama Clinic) text: Junko Kubodera

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