自然派コスメの選択肢がどんどん広がる中で、特にユニークな視点でものづくりをする国産ナチュラル系ブランドの動きが目立っていた約2年前、「メイドインニッポンの和コスメを選ぶ理由」という特集を担当した編集TIです。その時に紹介したブランドのひとつがシロでした。
当時のシロは国内のみならず、すでにロンドンにも進出していて、次はニューヨークへの出店というタイミング。きっと工場では最新機器での生産体制を整えているのだろうな~と想像していました。ところが予想に反して、製品づくりの要所要所には手作業の工程が。たとえばコスメの素材に使われている酒かすエキスは、機械搾りでは出せない仕上がりを追求した結果、「ガーゼで酒かすを包んで手搾り」という抽出方法で生産されていたのです。必然的に、機械よりも生産のペースは下がるけれど、量が制限されたとしても納得のいく製品づくりをする、というこだわり。「自分たちが本当に使いたいものを作る」というブランドの強い信念を知って、背すじが伸びるような気持ちになったことを覚えています。
そんなシロが、今年10周年を迎えることを機に、ブランドイメージを一新することに。先日開かれた10周年記念イベントで、その全容がお披露目されました。
代表取締役の今井浩恵氏。ロゴがshiroからSHIROへと、力強さを感じられる大文字の書体に変わります。
製品パッケージも、よりモダンな印象に。
いままでのシロに慣れ親しんできた私は、大きな変化を目の当たりにして、ブランドのよさが失われてしまったらどうしよう!と、少し身構えてしまいました。けれど、代表の今井さんの言葉を聞いて、その不安はすぐに払拭されました。シロはこれからも、いままで大切にしてきた次の4つについては、変えずに続けていくといいます。
- 自分たちが毎日使いたいものをつくること
- 自然由来の良質な素材を自分たちで探し、原料から生産すること
- 自社工場で原料を自ら研究し、素材の力を最大限に引き出すこと
- 環境に配慮した生産者の顔が見えるものづくり
そのうえで、海外市場を見据えたチャレンジも積極的に行っていくそう。10月には、新たな香りのコレクションが仲間入りします。
世界各国のパフューマ―に、「自身の記憶に残る香り」をオーダーしてできあがったフレグランス、全12種類。ジェンダーレスに楽しめる香りが揃っています。水の代わりに徳島県の木頭柚子と北海道のエゾヨモギの蒸留水を使用しているのが特徴。
メイクアイテムにも新製品が。こちらは、9月に登場するジンジャーリップスティック。唇をケアしながらもセミマットで美しい発色、こんなリップを待っていた!
会場には、北海道・砂川の自社工場を再現したブースが登場し、ラワンぶき化粧水の生産過程を特別に体験することもできました。
工場の一部が出現!
ふきの茎を包丁で刻み、エキスを抽出し……。充填、ラベル貼りまで、人の手と目で細かいチェックをしながら化粧水ができあがります。
この日、ブランドの10年間の歩みと新たなビジョンをさまざまな角度から見て、シロの魅力を改めて思い知りました。確固たるアイデンティティを持ちながら、新たなチャレンジを恐れず、つねに進化をしていく……。そして想像しました。もしシロがひとりの人だったら、めちゃくちゃかっこいい人なのではないかしら!と。
新生シロの描く未来が楽しみでたまりません!
前身のローレル時代からの製品を一気に振り返ることのできるコーナーも。この先、ここにどんな仲間が増えていくのでしょうか。