モンドリアン展と、パッシーの商店街。

雨がシトシトと降っていた日曜日の朝。
いつもはジョギングに出かけるが、諦めた。
数日前から天気予報を見ては、今週の日曜は走れなさそうだと思っていた。
先週の木曜から始まった無期限の大規模ストの影響で、パリのメトロは14本中10〜12路線が連日閉鎖されており（駅の入り口が閉まって、駅の中にさえ入れない）、朝から記録的な渋滞が起こっている速報を受け取って、出かけることは考えないようにした。
どうなるか分からなかったから、10日くらい先までの、どこかに出かけて済ませなくてはいけない用事や取材を、ストが始まる前に全部片付けたので、家にいてOK！な状態だ。
でも。3日目くらいからちょっとムズムズしてきた。ちょっと出かけたい。
それで、地図帳を広げた。
走りにいけない代わりに、日曜の朝に美術館に行くのいいかも！
と名案を思いつく。
自宅から徒歩圏内のマルモッタン美術館で、観たい展覧会があるのだ。
そんなところに、友人から、パッシーにオープンしたパティスリーのお知らせが届いた。
日曜も午前中は開いている。マルモッタンからなら徒歩5分。
バッチリじゃない！
土曜のうちにそんな計画を立てていたから、日曜の朝、雨が降っているのを見たときも、雨で遠足は中止だけれどその代わりに今日は映画鑑賞ですよ、と言われたようなワクワクした気持ちだった。

日曜の朝に美術館を訪れるのは初めてな気がした。
観たかったのは、『具象画家 モンドリアン』展。
抽象画で知られるモンドリアンの、具象画に焦点を当てた企画展だ。
19歳の時に描いたという野ウサギの絵画がエントランスに掲げられた展示は、最初の風景画の間から「私、すごく好きかも」と思う作品の連続だった。
じーっと見ていると、絵の中が動きそうな感じがしてきて、大いに楽しんだ。
モンドリアンは、毎日必ず花の絵を描いたらしい。
毎日っていうのは大きいよなぁ、なかなかできないよなぁと菊の絵を見ながら、想いにふけった。
美術館は空いているかと思いきや、そんなことは全然なくて、なかなかの人出だ。
親子連れ（特に父親連れ）もけっこういる。
そういえば、パリジェンヌの友人が、以前シャンゼリゼ劇場へクラシックのコンサートに出かけた時に、「子どもの頃は日曜の朝によくパパと来たなぁ」と言っていた。
フランスは日曜日に、子ども向けプログラムを組んでいることが多い。
毎度のことだけれど、よくまあ親も絵を観ながら一緒に話そうとするし、子どもも「パパ、こっち来て。僕、これが好き」などと普通に言っているよなぁと感心する。
前述の友人も、娘が3歳になるかならないくらいから「慣れてもらわないと」と言って美術館に連れて行っていた。
私には子どもがいないけれど、いたら、したいことだなぁと思う。
モンドリアン鑑賞後は、下の階に降りて、モネの作品に囲まれた空間を散歩するようにゆったり観て回って、外に出た。
来た時よりも激しく雨が降っていた。

歩いているうちに雨が止んだ。
5分もせずに目的のお店、フィリップ・コンティチーニ（Philippe Conticini 42, rue de l’Annonciation 75016）に到着。
ボン・マルシェの近くに1軒あるが、2店舗目では、店頭でバウムクーヘンを焼いていた。
でも、バウムクーヘンは買わずに、カヌレとナッツ類の散りばめられたブリオッシュ、それにドライフルーツ入りのパンを購入。
同じ通りの先にある、オ・メルヴェイユ・ドゥ・フレッド（Aux Merveilleux de Fred）にも足を伸ばして、パン・オ・レを買った。
パン・オ・レはいろいろなところで買って試したけれど、このお店のが好きなのです。

雨の降る日曜の朝に美術館に行くのは、名案だったな。