パリ街歩き、おいしい寄り道。

カフェ・デ・ミニステールと、ドガ展。

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つい最近、友人の経営するレストランへ出かけたときに、「アキコ、カフェ・デ・ミニステールにはもう食べに行った?」と聞かれた。
「今週か来週に行こうと思っていたんだよ! ヴォロヴァン(vol-au-vent)を食べに!」
と、すでに行くつもりで手帳にも控えていた店の名前が出たことに、タイムリーだなあと思いながら答えた。
すると、友人が以前経営していたレストラン「スプリング」のスタッフが始めた店だという。
そうだったのか!と、その4日後、東京からパリに来ている友人たちとランチに出かけた。
カフェ・デ・ミニステール(Café des Ministères)は、国民議会議事堂の裏手に昨年オープンしたレストランだ。
何かの記事で、見事な姿のヴォロヴァンを目にし、チェックしていた。
そのヴォロヴァンは年末の華やいだ気分にもぴったりだったから、クリスマス直後に行こうとしたら、12月30日までヴァカンスをとっていて、タイミングを逃していたのだ。
ヴォロヴァンとは、折りパイ生地を焼いたものを蓋つきの器がわりにし、中にベシャメルソースやキノコ、鶏肉などを詰めたとてもクラシックな料理。
最近はめったに見かけなくなったけれど、パイ生地もベシャメルソースも好きな私にとっては、あると知ったら、食べたいものだ。
店名が示すとおり、官庁街の広場に面して店はあった。
一見シックながら入ってみると気取りのない雰囲気で、渡されたメニューには前菜・メイン・デザートが4つずつに、ランチの日替わり料理が書かれている。
目当てのメイン、ヴォロヴァンはボリュームがあるだろうから、前菜には、数種のビーツとスモークしたウナギのサラダを取ることにした。
このサラダが、ビーツの甘味とウナギの塩気のバランスがとてもいい塩梅で、メインで食べたいくらいだった。
友人が頼んだアンディーブとシャンパーニュ地方のレンズ豆、ブルーチーズ、リンゴのサラダも同様にジューシーでおいしかった。
そして待ち望んでいたヴォロヴァン。
こちらでは仔牛の胸腺と鶏肉、キノコとトリュフを詰めた、ブーシェ・ア・ラ・レンヌ風だ。
奇をてらうことのない王道の味に、心が踊る。
友人たちの、仔牛のもも肉も、トリュフがこんもり盛られ貝殻の淵にジャガイモがあしらわれたホタテも味見させてもらいつつ、大いに堪能したランチとなった。
場所柄、スーツ姿の男性率が高いかと思いきや、店内には女性客が半数以上を占めていて、だからか空気が柔らかい気がした。


この店からオルセー美術館へは、徒歩5、6分。
オルセー美術館というところはいつもいつも混んでいて、それで行くのをためらうことが多いのだが、ストが功を奏してか、この1週間ほど川向こうから連日様子を(バスの中から)見ていて、外まで行列ができていることはなかった。
チャンスである。
オペラ座の舞台裏を描いたドガの作品展、行きたかったのだ。
会期は今週末(19日)までだから通常だったら大混雑だったろうが、幸いにも並ばずに入ることができた。
展示からは、バレエダンサーだけでなく、リハーサル、稽古場、客席から観客たちの様子を含めてオーケストラを描いた作品など、当時のオペラ座の様子がいくつもの角度から見て取れた。
作品は主に1860年代から描かれたもので、その少し前に書かれた『椿姫』の背景と合わせ、19世紀半ばに繁華街だったパリ9区の様子を想像した。
好きなんだよなあ、この時代の話。
オーケストラの目前の席に描かれた観客が男性のみであることや、舞台裏、稽古場にも燕尾服姿の紳士たちが描かれているのはやはり印象的だ。
それにしても、オペラ座の模型が、観ていて楽しかった。
最終入場時間を過ぎて、企画展の入り口が閉められて人もまばらになってから、じっくり観た。
ストゆえに、美術館の閉館時間が17時で、残念ながら常設展までは回ることができなかったけれど、また今度。
曇り空の下、美術館入口の広場にいたゾウは、とてもうれしげだった。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


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