Editor's Blog

2019年、新しい年ですね。

あけましておめでとうございます、編集MIです。
みなさまはどんな年末年始を過ごされましたか?
私は毎年実家で過ごすのが常で、特に目立ってやることはないけれど家族揃ってのんびりする、なんでもない日常が本当に幸せだなあと思っています。今年もささやかな幸せを大切に、日々過ごしていきたいと思います。
2018年も、さまざまな素晴らしいものを観たり聴いたりしました。アートや舞台が好きなので、日々展覧会や観劇に出かけていましたが、昨年師走に向けて印象的だったものをいくつか時系列で振り返ってみたいと思います。年明けにいきなり振り返りですみません。

1.平松麻展

FIGARO.jp「女性アーティストたちの、美しき挑戦」でもご登場いただいた画家、平松麻さん。11月に麻布台のGallery SUでの個展はとても印象的でした。静謐でしっとりとした絵は、気づくとその絵の中でたたずんでいるかのような、不思議ながら心地よい感覚に陥ります。奥行きがあって、描かれた対象の存在・気配を身近に感じてしまうのです。今回の展示で心打たれる出合いがあり、1枚の絵画を自宅へ迎えられたのも、心に残る出来事でした。

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会場であるGallery SUは、趣のある古い洋館の一室。佇まいが美しい古い館も作品と響き合っていました。

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入口横にかけられた絵。ちょこんとたたずむ立体作品も、絵画に気配を添えていました。

2.田根剛 未來の記憶展

エストニア国立博物館を若くして建築した田根さんのことは、みなさんもご存じなのではないでしょうか。そんな田根さんの個展が、オペラシティギャラリー間で同時開催されていたのは記憶に新しいところ。ギャラリー間の展示は見逃してしまったのですが、オペラシティの展示は、建築展の枠を飛び超えた、想像力を掻き立てるロマンチックなもので、心が洗われるような体験でした。

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天井6mの空間で、壁のみならず床まで資料で埋め尽くされた会場。「記憶」をリサーチしていく作業はとてもロマンチックです。ひとつめの部屋からノックアウト。

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ふたつめの部屋ではエストニア国立博物館での映像が流れていました。みんな熱心に見入っていたのが印象的でした。

3.インゲヤード・ローマン展

ガラスというものに、とても魅了されます。うつわやさんを訪れても素敵なグラスに釘付けになってしまうし、旅先の古い建物に陰影ゆらぐガラス窓が目に入れば、延々と見続けてしまう。透明なガラスの中にはなんともいえないロマンが宿っていると思うのです。インゲヤードのガラスにも、そんな感覚を抱きます。そこに関わる歴史や使い手のことを丁寧に丁寧に考え生み出された作品は、まさに用の美。インゲヤードという人の凛とした姿勢と、柔軟な脳のエッセンスが宿ったガラスひとつひとつはとても感慨深い。FIGARO.jpでもご本人を取材しています。「陶芸家インゲヤード・ローマンと用の美と。」、ぜひご覧ください。

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やわらかな光に映えるガラス作品たち。存在感のある透明度。

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会場となった国立近代美術館工芸館は、建物自体も趣深く、時が止まったかのような感覚に。

4.川内理香子展

川内さんも、FIGARO.jp「女性アーティストたちの、美しき挑戦」でご登場いただいたアーティスト。以前から彼女の作品に惹かれ、今回の取材の機会にお会いできたのは、とても光栄な出来事でした。写真の姿からもわかるように、細くて可愛らしい川内さんですが、彼女の生み出す作品には、痛みといっていいかはわかりませんが、鋭さが確実に潜んでいると思うのです。食と身体が作品に深くかかわっているため、自然と食の話になるのも楽しい。個展初日に鎌倉へ伺い、そして年末には個展でご本人ご案内の会&忘年会にもお声がけいただき、楽しいひとときを過ごしました。

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川内さん。今回の個展でいちばん大きなドローイング。

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館内に日が差し込んだ瞬間。ドローイングにまた違う表情が加わった感覚に。

5.山野アンダーソン陽子展

スウェーデンで活動している山野さんは、お人柄もとっても素敵なガラス作家さん。彼女と話していると、無垢な子どもにかえったかのような、ピュアな気持ちになれるのです。今回の展示では、少し実験的なアプローチをされたとのことで、興味津々。お天気のよい日、CURATOR’S CUBE を訪ねたら、山野さんと可愛いお子さんが一緒に迎えてくれたのがうれしかった。会場にはたくさんの作品が並んでいて、光を受けたひとつひとつが、その個性を影という形で放っていました。今回はうつわという体のガラスではなくて、アートピース的な作品。ガラスだけでなく、それが映し出す影までもが作品となっています。

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ガラスに宿る模様は、後ろの壁にかかっている網。ガラスに押し当てて制作したそう。網目の種類によって、さまざまな影が生まれます。

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大小さまざまなサイズの作品。こちらは直立タイプ。

6.ジャン=ポール・グード展

こちらはクリスマス直前に訪れ、度肝を抜かれたグードの展示。シャネル ネクサス ホールでの展示はいつも興味深いものばかりですが、今回、作品はもちろん展示のアプローチもインパクト大。湯水のように湧き出る斬新なアイデアは枯渇することを知らず、見るものに活力を与えてくれる。とにかくポジティブな気持ちで「人生万歳!」と思わずにはいられない。会場には常にパフォーマーがいて、踊るように回遊したり歌ったり。ワンダーランドへ迷い込んだかのような空間は、まさに夢のようでした。感動しきりで2時間弱滞在してしまった・・・。最新号ではグードのインタビューも掲載していますので、ぜひそちらもご覧いただけましたら!

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会場を回遊していたパフォーマー。纏うドレスも歌声も美しく、幻想の世界へ連れて行ってくれました。

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こちらの鳥かごの作品も印象的でした。鳥となったココが鳥かごの中を飛び回り、象徴的な言葉を発する。

7.阿古屋

歌舞伎を見始めて10年。とてつもない時を経て芸を受け継いでいくという尊さに、常に感謝のようなありがたい気持ちで舞台を拝見しています。2018年は勘三郎さん七回忌の追善公演もあり、個人的にも感慨深い年となりました。そんな年末の12月、過去と未来をつなぐ素晴らしい公演が行われました。『壇浦兜軍記 阿古屋』。阿古屋は、琴、三味線、胡弓という3種の楽器を弾きこなさなければならない、女形の大役です。玉三郎さんの阿古屋は以前も拝見していましたが、今回は玉三郎さんご指導のもと、若手である梅枝さんと児太郎さんも難役に挑むという、貴重な舞台。もちろん3人の阿古屋を観たい!と、12月は3度、歌舞伎座へと通いました。三者三様の阿古屋。特に若手おふたりの阿古屋は、私まで手に汗握るような緊張も感じながら拝見しました。今後どのように進化していくのかを楽しみに、歌舞伎を観続けていきたいと思います。

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ずらりと並んだ三人の阿古屋に圧倒。なんと贅沢な・・・。思わず合掌。

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