Editor's Blog

本で味わうポルトガル、本で旅するポルトガル。

こんにちは、編集NSです。旅に出たいのにいろんな意味で余裕がない!という時、私は映画や料理に心を満たしてもらっています。映画なら、観光名所は出てこなくても、つらい現実を突きつけられる作品でも、かの地の雰囲気や人々の考え方の一端に触れられます。歴史や風土が作り上げた料理について知ったり味わったりすると、行かずして旅行気分を楽しめます。

この春に発売された馬田草織さんの『ムイト・ボン! ポルトガルを食べる旅』は、まさにそんな魅力が詰まった紀行本。いつか行ってみたいけど遠い国ポルトガルを、ぐっと身近に感じさせてくれました。

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ムイト・ボン! ポルトガルを食べる旅』は産業編集センター刊、¥1,575。馬田さんはほかに『ようこそポルトガル食堂へ』『ポルトガルのごはんとおつまみ』といった著作があり、ポルトガル料理とワインを楽しむ教室「ポルトガル食堂」を主宰しています。

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ポルトガルの食や日本に伝わった南蛮文化に興味を持ち、国内外での取材をライフワークにしている馬田さん。本書は彼女の最近のポルトガル訪問を1冊の本にまとめたものです。友人知人を訪ねたり、あるいは有名店や町場の食堂に足を踏み入れ、美味しいものに導かれるかのようにポルトガルの食を満喫していく様子が綴られていきます。タイトルにある「ムイト・ボン」は、ポルトガル語で“とってもおいしい”という意味なのだそうです。

聞いたこともない食材や料理もたくさんでてきます。でも、歴史や背景をじっくり解説してくれますし、日本との関わりという点で紹介される食文化や物事もあり、置いてけぼりはくらいません。食べたこともないのになんだか味を想像できてしまう、馬田さんの筆致にどんどん引き込まれていきます。

なかでも楽しかったのが、前半で展開される小学生の娘さんとの旅。市場やレストランはもちろんのこと、家庭で行われる宗教的な祝祭を体験したり、知る人ぞ知るローカルなパン作りをしたり、小さな村の人々が集う昼食会に参加したり。ふつうの旅行では絶対に味わえないであろう、ディープなポルトガル料理との出合いが紹介されていきます。同じような年齢の子どもを持つ身として思ったのは、こんな豊かな旅を親子でしてみたい!ということ。グルメな娘さんが何度も口にする「ママ、東京でこれ作って」は、馬田さんにとって最高の言葉だったんじゃないかなと思います。

実は馬田さんには、昨年撮影でお世話になりました。フィガロジャポン2019年2月号のポルトガル特集に合わせて、オンラインではポルトガル料理のレシピ紹介を掲載。そこで“緑のスープ”と呼ばれるカルド・ヴェルデ、豚とアサリのアレンテージョ風、デザート「天国のクリーム」と、それらに合うワインや酒精強化ワインを紹介していただいたんです。準備中、撮影中、その後の試食の時に、食文化にとどまらないポルトガルのことをいろいろ教えていただきました。

よく笑いよくしゃべる、そんな馬田さんのポジティブなエネルギーもにじみ出ていた『ムイト・ボン! ポルトガルを食べる旅』。つかの間のポルトガル旅行はいかがでしょうか。

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