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上海で開催、ロロ・ピアーナのスペシャルな試写会へ。

素材と仕立ての美しさに目を引くイタリアメゾンのロロ・ピアーナ。その世界観を作り上げる唯一無二の素材であるカシミアの世界を覗きに、10月、上海で行われたドキュメントフィルム『CASHMERE-The Origin of a Secret』のプレミア試写会に参加してきました。フィルムの監督は『皇帝ペンギン』でアカデミー賞を受賞したリュック・ジャケさん。試写会の翌日には記者会見も開かれました。

Cashmere - The Orgin of a Secret_Shanghai Premiere_Loro Piana (2).jpgドキュメントフィルムの主役たちは、険しい崖に佇むヒルカス山羊。

ロロ・ピアーナはレディ・トゥ・ウエアを中心に、シューズやバッグなどアクセサリーも展開。ブランドの代名詞ともいえるカシミアのアイテムは、貴重な山羊の毛が原毛であることは、皆さんもご存知の通り。

実は6世代に渡り、最高品質の希少な繊維を追い求め最高級のファブリックとウエアを作ってきたロロ・ピアーナでは、すでに10年も前からイタリアや中国の大学、そしてイタリアの環境局などとの共同研究により、持続可能なカシミアの生産プロセスの開発に力を入れていました。でもいま、このカシミアをもたらしてくれる山羊や生産者たちの生活が環境破壊や山羊の乱繁殖などによって脅かされていることも事実。

山羊や生産者たちへのオマージュ、そして、自然界を脅かしてしまっていることへの啓発のため、ロロ・ピアーナはカシミアを含むブランドのアイコニックな自然素材である3種をテーマに、3年の歳月をかけて3つのドキュメントフィルムの製作に取り組んでいるのです。
そして、記念すべき三部作の第一弾であるカシミアをテーマにしたフィルム『CASHMERE-The Origin of a Secret』の上映会が上海で開催されたのでした。

実は初めての上海。煌びやかな高層ビルだけでなく、モダンに蘇った建築物も多いのが印象的です。上映会場も建築家の隈研吾がリノベーションした元造船所の”船厰1862”。

Cashmere - The Orgin of a Secret_Shanghai Premiere_Loro Piana (9).jpg

夜、ライトアップがされた外観がきれいでした。建物の前は広場になっていて、お散歩にも気持ちよさそうです。

入り口にはフォトブースも。監督のリュック・ジャケさん、フィルムに登場する畜産家の人々はもちろん、中国の著名人たちとともに日本からはモデルで女優の冨永愛さんが参加されていました。

Ai Tominaga-6.JPG上品なキャメルカラーのロングコートとドレスがとってもお似合いです。冨永愛さんは先日、日本で始まったポップアップツアーにゲストとして登場。その様子はこちらから。

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建物内へ足を踏み入れると、大きなパネルによって壮大なモンゴルと内モンゴル自治区の景観が四季ごとに広がっています。圧巻の空間を抜けると、山羊から取れたカシミアが樽に。

Cashmere - The Orgin of a Secret_Shanghai Premiere_Loro Piana (4).jpgCashmere - The Orgin of a Secret_Shanghai Premiere_Loro Piana (6).jpg

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永遠に触り続けたいほど気持ちよい、優しい肌触りのぬめりがありました。

カシミアの原毛の感触を味わった先に辿り着いたスクリーンエリアでは、オーケストラピットが用意されていました。なんとお披露目はスペシャルバージョンとして、中国の楽器、胡弓とオーケストラによる生演奏です。作曲はエミー賞のノミネート作曲家であるシリル・オフォールが手がけたそう。

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20分間の作品、ナレーションは入らずに映像と音楽だけの世界が繰り広げられます。
言葉はなくとも、厳しい環境とそこで生活する山羊と畜産家の間で交わされる会話や愛情がビシビシと伝わります。撮影が行われたモンゴルと内モンゴル自治区の険しい崖を駆け上り、砂漠をすべるように下り、極寒のなか突風が吹き荒れても動じずに、たくましく生きるのは小さな身体に強い生命力を秘めたヒルカス山羊たち。山羊に子どもが生まれると、畜産家たちの子どもが遊びながらお世話をする姿には愛らしさと感動がこみ上げます。
私たちが日ごろ手にするウエアなどは、最終プロダクトであり、それが完成するまでのことをもっと知りたいし、知るべきだなと、純粋に美しい映像への感動と同時に、さまざまなことへ自然と思いが巡ります。
このフィルム、実はロロ・ピアーナのサイトで現在フルバージョンが公開中なのです。
ここでしか見られない映像、ぜひしっかり音楽をONにしてカシミアを巡る旅を満喫してください。

こちらは30秒バージョン、ぜひ本編のフルバージョンでご覧いただきたい。 四季の移り変わりの美しさと、生命を扱うことの偉大さ、いまも同じように暮らす山羊と畜産家の日常は、見る人それぞれに受け取る何かがあるのです。

フルバージョンはこちらから

あっという間の上映を楽しんだ後は、ロロ・ピアーナが毎年表彰をしているカシミア オブ・ザ・イヤーの表彰式へ。良質なカシミアを生み出した畜産家を称える賞は、ブランドから生産者へのリスペクトを感じました。

Pier Luigi Loro Piana, Breeders.jpg

真ん中の男性、ドキュメントフィルムでは山羊とおでこをくっつけ合い、信頼し合っている様子がとても微笑ましかったです。

試写会の翌日には、監督のリュック・ジャケさんと、ロロ・ピアーナのCEOファビオ・ダンジェラントニオさんによる記者会見も行われました。なぜこの作品を製作したのか、畜産家との製作秘話なども披露。この様子はインタビュー記事でご紹介します。

3年の歳月をかけて製作中のフィルム、残りの二作では、ペルーに生息するラクダ科の野生生物ビキューナそして最高級ウールと呼ばれるメリノ種の羊毛をもたらすザ・ギフト・オブ・キング スが登場予定。どちらもロロ・ピアーナならではの動物たち。どのような自然界のストーリーと映像美が観られるのか、いまから期待せずにはいられません。

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