きもの上手になりませんか?
スタイリストの原由美子さんが、長らくフィガロジャポンできもの選びと執筆を手掛けてくださっていた連載の書籍化第二弾が発売されました。
幾人か担当していた編集者のひとりでもあった編集KIMは、当時、きもの文化の美しさにインスパイアされ、ひとりで着られるようになりたい!と渇望したものの、浴衣どまり……。ただ、お貸出しでうかがう呉服店や和小物で見る色彩や柄行にいたく感激し、文様の持つ意味やメッセージ、失われつつある手仕事の職人文化などを支えたい、と感じていました。それゆえ、第二弾が発売されたことは本当にうれしい出来事です。
きものの地色と帯と帯締めのカラーコーディネートって綺麗だと思いませんか? こちらの表紙の写真は、私が編集担当だった時に撮影されたものです。橘の文様のふくよかで愛らしいこと! 橘は日本に自生するみかんの仲間の果物です。¥2,200 CCCメディアハウス刊
『原由美子のきもの上手 染と織』は、タイトルどおり、染めのきものと織りのきもの、二部で構成されています。小紋を愉しむ染め、カジュアルに纏えるとされている紬などの織りのきもの、と、着る機会や特徴、覚えておきたいTPOなどを語りかけてくるような原さんの文章で味わいながら読めます。
和装はルールが厳しいのではないか、と心配する方も多いと思いますが、こちらを読んでいくと、自然に、堅苦しくない形で、和装の決まりごとがアタマにはいってきます。
「きもの暦」としてスタートした連載が、途中で「きもの上手」と名前を変えて続いていたのですが、連載が始まってからも一貫して守られていたのは、「洋服を着るような感覚できもの選びをする」ということでした。
敷居が高いと思われて、きものに手を出さなくなってしまう若人たちよ、待ってください!という気持ちで、原さんも、担当編集者たちも作っていた連載でした。
フィガロジャポンでハイブランドのモード撮影を手掛けるスタイリストの方々やブランドのPRの方々も、この連載が大好き、と言ってくれました。きもの姿は利休バッグが決まり、などと思わずに、ハイブランドのバッグを自由に組み合わせて紹介してくださったのが原さんです。実際京都の有名な呉服店の若女将がフェンディのA4サイズの書類が入るハンドバッグを、グレイトーンで全身まとめた和装で持たれている姿は美しかったです。
そういう「洒脱な纏い方」を原さんはこの書籍のなかでも教えてくださっています。
女優やモデルの方々が纏った姿も、『きもの上手』には収めました。宮沢りえさんもです。宮沢さんの着方は艶っぽくて、まさに映画のワンシーンを見ているかのようです。
モデルの琉花さんには銀座の街を歩いていただきました。歌舞伎やお能の鑑賞の際にも、きもの姿でお出かけできたらうれしいですよね。琉花さんは、気負わずにきものを着こなす天才でした。和装の所作は難しいものです。琉花さんはなんともナチュラルに動いてくださった。
こちらは第一弾の『原由美子のきもの暦』¥2,200 CCCメディアハウス刊
合わせて読んでいただきたいのが、第一弾のこちら。和装の色柄は季節のモチーフを宿していることがほとんどなので、それらを学べるようになっている一冊です。
温暖化の昨今、夏のきものの時期が長くなったり、着方にも変化が出てきました。ルールに縛られすぎることなく、自分らしくきものを着たいかたへ、ぜひ手に取っていただきたい自身作たちです。
2020年はオリンピックイヤー。国外の方々が東京を訪れ、必ずや和の伝統やものづくりは注目されるはずです。そんな時、日本古来の文様や、きもののおもしろさを少しでも伝えられたら素敵ですよね!
ARCHIVE
MONTHLY