Editor's Blog

旅に「空の思い出」が加わる! ヘリコプターで京都から金沢へ飛んだ編集者。

長年お世話になっている知人から「ヘリコプターの旅、興味ありませんか?」と連絡を受けた編集YK。記憶をたどれば、10代の頃に初めて行った海外旅行、オーストラリアのグレートバリアリーフの上をヘリコプターで飛んだことがあるような……。そういえばヘリコプターに乗ったことある人の話ってあまり聞いたことないな、と新しい旅の予感に胸を弾ませた私。すぐにカバンに荷物を詰め、ヘリポートのある京都へ新幹線で向かいました。

京都駅で迎えてくれたのは、ヘリコプターの遊覧飛行を運営しているSpace Aviation株式会社の代表、保田晃宏さん。車に揺られること15分、伏見にある宇治川沿いののどかな土手にJPD京都ヘリポートが姿を現しました。空港のような建物を想像していたら、ヘリの格納施設と事務所だけの案外コンパクトな空間が広がっています。施設内にはプロペラを外されて収納されたものから整備中のもの、出発準備に余念のないものまで10機以上のヘリコプターがいたる所に顔を覗かせます。

「実際に乗っていただくのが、いちばんわかると思います。今日宿泊予定の金沢まで、ヘリで向かいましょう」かくしてジェットエンジンを積んだこの上なくカッコいいヘリコプターで京都→金沢の1時間30分の旅が幕を開けました。

回転するプロペラの下を潜って座席へ。シートベルトを締めるのはクルマや飛行機と同じです。プロペラの回転音があまりに大きいので、機内ではノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンを着用し、インカムで会話することに。回転の間隔が狭くなっていき、とうとう離陸の瞬間を迎えます。持ち上がる瞬間は実感できるものの、地面とほぼ平行に浮き上がるため、飛行機よりも離陸に対する恐怖感は薄いように感じました。すぐに家や学校、ビルの高さを越え、京都の美しい街並みが眼前に広がります。今回搭乗した機体は、頭上から足元まで窓が広がり、180度以上の視界が開けていて、「パノラマ」とはまさにこういうことだと実感させられました。街を過ぎると田んぼの景色が広がり、そしてすぐに山岳地帯の上を通過していきます。なるほど、京都は盆地なのだなと思っているのも束の間、大きな湖が見えて来ました。

「あれが琵琶湖です」とインカムを通じてパイロットが教えてくれます。湖岸沿いに北上していきますが、行けども行けども湖の岸が途切れない……。何も知らなかったら海と間違えるのでは、というほどの大きさです。日本地図を上から見ているだけでは実感できない、新鮮な感動に心が震えました。また町を離れると田んぼや畑が見えます。滋賀県を越え岐阜県に差しかかると、雲が目線の高さに。真白な雲を横目に見ながら、また切れ間のない雲の下をくぐり抜けるように、山の上をヘリは飛びます。山の切れ目から、飛騨山脈の青い山肌が覗いた瞬間は「おお!」と声が出てしまいました。眼下の山を見ると、こんなところにもと思うような場所にまで道があり、日本全国に網目のように道が続いていることが分かります。前日に出した宅配便が翌日にあらゆるところに届くのは、こうした交通網のお陰なのだな……とまた感動を覚えました。

時速何キロくらいで移動しているのかをパイロットに質問すると、なんと170キロメートル/時、しかも向かい風でスピードをセーブしているので最高スピードはさらに上とのことです。そうして岐阜→富山を抜け、とうとう石川県に入りました。金沢の住宅街の上空を越え、少し山のある方向へ。「では着陸の準備に入ります」と言われた時には、ヘリポートが全く見えませんでしたが、高度が下がっていくと断崖の上に大きく「H」と書かれたコンクリートが見えてきました。大きな揺れもなく、バランスを保ったまま着陸。時間にして1時間30分ほどの飛行でしたが、目まぐるしく変わる景色を眺めることに興奮していたため、同じ時間の映画を観ているよりも短く感じるほどでした。

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金沢に一泊し、翌朝10時。着陸したヘリポートに戻ってきました。今日は金沢から能登半島へ、上空からの観光を楽しみます。

京都のヘリポートより高い位置からの出発なので、離陸した瞬間から眼下に田んぼと街並みが広がります。徒歩でも回れる金沢の街をあっという間に通り過ぎると、一路能登半島へ。山を越えると、美しい日本海が見えてきました。青空の下の日本海は、澄みきった美しいブルーの世界。漁港の近くでは定置網の場所まで分かり、能登大橋が架かった能登湾の景色など、海外のリゾート地の風景と何の遜色もありません。リアス式海岸の山肌近くを通り抜けると、そこは真っすぐに続く美しい海岸線。日本地図の能登半島をなぞるように、ヘリコプターは進みます。海面近くまで降下してもらうと、上空とはまた違った時速170キロのスピード感が一気に味わえました。日本海の荒波が作った美しい景色を、鳥のような視点で眺められる……。一生忘れられない風景が心に刻まれた瞬間でした。

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とはいえ「セレブな乗り物」のイメージが強いヘリコプター。実際の日本での稼働状況はどうなのでしょうか?

「日本ではこれまで、ほとんどの需要がB to Bでの稼働、その多くは報道関係の仕事でした」と保田さん。日本ではそもそもヘリコプターの航空運賃が高く、アメリカやヨーロッパ、南米の遊覧飛行に比べ平均3倍近くの金額がかかっていたそうです。しかし、その金額は規制や法律の問題ではなく、積極的に旅客事業としてヘリコプターを運営する会社が存在しなかったことが原因だと言います。「アメリカでは日本の20倍以上のヘリコプターが飛んでいます。それは遊覧はもちろん、空の移動手段としての利用が進んでいるからです」。日本でも、離島や交通の不便な場所への移動手段として、また医療困難地域や災害発生時の支援にヘリコプターが利用できるのではないか……。新たな需要の可能性を発見したSpace Aviationは、4年前には1機しか所持していなかったヘリコプターを40機まで拡充。依頼があれば日本中にある300近い離発着場に、自社のヘリコプターを届けることができるようになりました。現在、北海道の洞爺湖では天気のいい日には毎日、遊覧飛行が稼働中。また、東京湾上空では上空でのプロポーズを演出するフライトを手がけることも多いのだとか!

「現在は沖縄の那覇空港から恩納村への移動プランを企画中です。レンタカーで移動したら2時間かかっていた道を、ヘリは20分で移動できます」と保田さん。ほかにも離島まで送り届けてくれるプランや、ヘリスキー、ヘリからのダイビング、はてはヘリを利用したサバゲーまで、さまざまな企画を全国で拡大中! ヘリコプターは飛行機と違い、空港でなくても条件さえ満たしていればどこでも降りることができるのが最大の利点だと言います。更地があって遮蔽物がなければ離発着場として活用しやすく、大きな駐車場などもヘリポートに利用できる可能性があるのだとか。

「ヘリコプターの維持費は変わらないので、稼働すればするほど、航空費を下げることができます。無限の可能性が広がる『空の交通網』をどんどん活用していってほしいと思います」

新しい時代を迎えたみなさまの旅に、「空」という感動の選択肢を追加してみては?

フライトチャーター参考料金(乗客3名のヘリコプター1機の場合)
・京都―金沢(往復)・能登半島遊覧(金沢離発着・1時間):401,720円〜
・京都ー金沢:片道140,360円(税込)〜
*片道のみの場合、別途ヘリコプターの移送費(片道料金と同額)が必要です。
・能登半島遊覧(金沢離発着・1時間):121,000円(税込)〜
*遊覧のみの場合、別途京都から金沢へのヘリコプター移送費(上記片道金額と同額)が必要です。
https://space-aviation.com
予約:reserve@space-a.co.jp

 

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