栗山愛以の勝手にファッション談義。

写真家ティム・ウォーカーに撮影を依頼するなら......。

パリコレ取材の帰り道、ロンドンに寄ってヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で開催中の写真家、ティム・ウォーカーの展覧会『Tim Walker: Wonderful Things』(2020年3月8日まで)に行ってきた。

いつも完璧な世界観を作り上げる彼の写真にほれぼれするが、自らの理想の実現だけをめざすのではなく、モデルや洋服の特性を最大限に活かすのがファッション好きとしては見ていてうれしい点。展覧会では、これまでの作品とともに、V&Aの所蔵品から着想を得た新作も展示されていた。なるほど、開催館V&Aならではの特徴が出せるし、なかなか良いアイデアだ。私のような立場でティム氏に接触するには、インタビューをするのか、撮影をオファーする、ということになるから、万が一のために参考にしておこう……

そこで今回は!

そんな機会が訪れないことは重々承知しているが、このたびはもしひょっとして私がティム・ウォーカーに撮影を依頼するならどんなテーマをお願いしたいか、妄想をふくらませてみることにした。

まずはせっかくならわが国日本を彼の目線で切り取ってもらいたい。
展覧会には芸者さんや浮世絵をモチーフにした作品が展示してあったが、歴史ものもいいけど、現代のアイコンを取り上げてもらえないか。
ティム・ウォーカーの真骨頂と言えば、ロマンティックなムード。テーマ「カワイイ」ではいかがでしょうか?!

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具体的には、原宿ガールとか、バレンシアガのランウェイでデビューを飾ったばかりのキティちゃんとか。
竹下通りを数日探索して、新キャラを発掘したり、構想を膨らませてもらってもいい。めくるめく夢の世界を展開してくれそうな……

ドラァグクイーンといった、性差を超えた、きらびやかな姿もうまく表現してくれそう。メゾン マルジェラのショー会場で目撃したアクアリア はじめ、『ル・ポールのドラァグ・レース』出身のファッショナブルなクイーンたちに登場してもらってもいいが、いまなら、ぜひこの方をモデルに撮影してもらいたい。

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2020年春夏ルイ・ヴィトンのショーで巨大スクリーンに映し出されていたスコットランド出身のアーティスト、ソフィーさんだ。
パフォーマンスも大迫力で、男性とも女性とも言い難いその妖艶な姿にすっかり心を奪われてしまった。きっとティム氏ならゴージャスに仕立ててくれるはず。気持ちがすっかり来季に向いてしまっていて恐縮だが、ぜひルイ・ヴィトンの新作を着てもらって……

先走りついでに、20年春夏、きっとファッション撮影のテーマとして候補となりそうな案件もこの機会に?お願いしておきたい。
それは、アースカラーをメインとした、ナチュラルなムードだ。
昨今のサステナビリティへの関心の高まりからか、自然回帰への動きがところどころで感じられた。凡人には、自然豊かな場所でロケかな……くらいしか思いつかないが、ティム氏なら、びっくりするようなアイデアを出してくれるに違いない!かなり丸投げだが、彼ならきっと応えてくれる。

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勝手にかなりベテランのような印象を持っていたが、まだティム氏は40代らしい。
いつか、スタッフのふりでもして撮影現場を見学してみたいものです……

栗山愛以

ファッションをこよなく愛するモードなライター/エディター。辛口の愛あるコメントとイラストにファンが多数。多くの雑誌やWEBで活躍中。

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